ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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ジャクソンホール前に

2014年08月22日 | 2014年の資産運用
 前回の記事にみなさんからたくさんのコメントをいただきました。ありがとうございます。

 その中で私が気になったのは、やはり株式投資で高い授業料を払っている方が多いことです。2・3年前に自己申告していただいた数名の方の運用成績でも、やはり多くの方が1千万近い損失を出していることに驚いたことがありました。

 「投資とは損失覚悟の株式投資」という日本の常識を、何としても打ち破らないといけませんね。最近は外貨建て投資に個人投資家の目もだいぶ行くようにはなっていますが、その内容が「ハイイールド投信」では株式投資と同じ、いや、もっとハイリスクで、嘆かわしいことにかわりはありません。

 さて、一昨日7月末のFOMC議事録が公開されました。その内容を日経新聞からそのまま引用します。

引用

「要旨によると、地区連銀総裁ら多数のFOMC参加者は米失業率の大幅低下などから『この数カ月、雇用の改善はこれまで考えていたより大きい』と指摘した。株高や住宅価格上昇に伴う資産価値増加で家計の実質可処分所得が増え、消費は底堅いとの見方を示した。
 自動車受注や企業投資の見通しを踏まえ、FRBスタッフは『2014年後半の成長ペースが速まる』との見方を堅持した。大半のメンバーは利上げ時期は『今後の経済次第だ』とした。インフレを懸念する複数のメンバーは『緩和終了後も相当な期間のゼロ金利を維持するという公約が不適切だ』と指摘。『ただちに引き締めの方針を表明すべきだ』とも主張した。」


引用終わり

 何という変わりようでしょうか。これではまるで明日にでも利上げすべしという話があったように聞こえます。議事録公表前の私の記事はまるでこの議事録を事前に手に入れていたように思えるほどです(手前ミソ、笑)。
 きっと今日のイエレン議長の演説はちょっと水を差す言葉も入れるのでしょうが、経済の実態が概ね好調であることは、数字が物語っています。議長の言葉尻を深読みするフェッド・ウォッチャ―の悲しそうな顔がかいま見えますね。

演説内容を詮索するよりも実体の数字がよほど大切です。


 話はちょっと変わりますが、なんだかんださんから以下の難しい質問をいただきました。

>現在の104円/$どころは$を買えるレベルだと思いますが、いかがでしょうか?←US MMFで金利上昇を待ちます。

 私は金利と同様、為替の先行きについても自信を持って数字を示せるほどの力を持ち合わせません。このところのちょっとした円安についても、鋭い皮膚感覚はないので(笑)説明はできません。数字だけを追っていて見てとれる長期のトレンドから申し上げますと、100円前後は104円台も含めて買えないレートではないと思います。本当は怖い円安も、政府・経済界・投資業界・マスコミはこぞって大歓迎。「円高の方がいい」と声を上げようものなら、袋叩きでしょう。

 長期で円安を見ている理由は以前と変わりありません。2012年のブログの「円高・デフレに嵌まり込む日本」のシリーズでは、2015年前後1・2年で経常収支の赤字化を見ていました。14年現在、およそそのとおりの展開になっています。赤字化は当然円安につながると予想しているのですが、残念ながら「いつ、どれくらい」というところまでの予想はとても不可能です。言えることは、「円安トレンドが逆の円高トレンドにはますますなりにくくなっている」ことだと思います。貿易収支しかり、そして外貨建て投資の動向もしかり。突然、パニック的な円安に振れないことを祈ります。

 なんだかんださん、この程度でご勘弁を!

コメント (18)
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