ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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米国債投資のタイミング もりもりさんへの回答です

2014年08月05日 | 2014年の資産運用
 もりもりさん、プロフィールの登録、ありがとうございます。しっかりと追加いたしました。またご質問をいただき、ありがとうございます。団塊リタイア組世代の方はこのブログの読者の方に多いと思います。その方々にも参考になると思いますので、こちらの本文でしっかりと回答させていただきます。

 小売業のご出身ですと、資産運用はなじみが薄いと思いますが、よく勉強されていらっしゃる様子がうかがえますね。質問項目に沿って私の回答・見解を述べさせていただきます。順序を変えます、あしからず。

質問2: 「債券価格が100を超えていても、満期時点で円安になれば持ち出し分が戻る」との理解で正しいでしょうか?債権の価格、金利や為替は、わかりにくいですね。

回答; たしかに債券の世界は単純なようで複雑ですね。では回答です。まずクーポン利率の高い残存期間が5年程度の債券に投資して満期まで保有し、その償還時に長期債に再投資するという戦略ですが、この作戦も「あり」だと思います。現在の低金利がいつまで継続するか予想するのは難しいのですが、少なくともFRBの緩和策は終わりが見えてきていますので、将来の金利上昇の可能性に賭けるのは大いにありだと思います。

 いただいた例の5年物債券の最終利回りを計算しますと、1.64%くらいです。クーポンは3.375%と高いですが、5年後に9%弱程度のキャピタルロスが生じますので、それを加味すると最終利回りは1.64%になるという計算です。これはイールド計算機でないと計算できません。そしてこの1.64%はドル建て計算です。あくまで為替が現在のレベルを維持したとすればということになります。

 ご質問は、満期時点で現在より円安になれば、為替益で元本のロスを回復できるかということですが、もちろんその通りです。9%程度の円安で相殺されます。

問1: 5年後の満期の時点で買い換えを予定しているとして、今後米国の金利が上がれば、クーポン4%前後の長期の債券も出てくる可能性はあるのでしょうか?

 現時点でも30年債の新発債であれば3.3%程度のクーポン利率ですので、今後4%くらいの長期債が出てくる可能性は大いにあると思います。また既発の残存20年程度の長期債であれば、4%以上のクーポンのついた債券はありますが、このところ日本の証券会社の利付債券の在庫は払底していますね。きっと私がリタイア世代に示唆している「インカム重視」という考え方の投資家が増えているからでしょう(笑)。高齢になって元本が返ってきても使えないことの方が多いと思いますので、どうせなら20年債という中途半端な年限でなく、金利のより高い30年債を選択してみてはいかがでしょう。20年経って売却する時には残存10年債になっていますので、もしその時点で売却されても大きな損失が出るとは見込みにくいと思うからです。

質問3:それとも、金利が3%以上になり価格が下がるまで、しばらく米ドルで待ったほうがよいでしょうか? しばらく=年内位でしょうか?

ここでの金利は10年債のことですよね?
10年債の金利が3%超えになるのが年内くらい、あるいは来年なかば、ということを確約することは私の手に余ります。私の勝手な見通しでいえば、3%を超える可能性は大いにあると思います。

 これまでの回答と若干矛盾するようですが、もりもりさんの場合かなりの程度ドルに転換済みですので、5年債投資プラス長期債への再投資でいくより、のんびりと金利上昇を待つのが得策に思えます。

 以上、当たるか否かわからない金利予想を含めて回答させていただきました。

参考になれば幸いです。



コメント (1)
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