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初歩の投資教室 33 いったい何に投資したらいいの? 山崎元氏の推薦商品

2012年11月28日 | 初歩の投資教室

今回は山ちゃんのコメントへのコメントです。

>意図がわかりません
「うーん」というところでしょうか。 どなたかがおっしゃったように、いつでも売り逃げできるということなのか。それとも、日本国債には当分の間危機はない、という判断なのかがわかりません。ただ、マーケットが崩壊する時には、一般 の投資家が、売り抜けられるものなのか、いや、そんなことは不可能ですよね。


  山ちゃんのおっしゃるとおりで、氏の考え方はバックにある基本的スタンスを知らないとわかりずらいです。
  山崎氏は「日本国債は当分大丈夫」という考え方です。であれば短期金利物のカテゴリーで個人向け10年国債の選択はおおいにあるでしょう。

  一方、氏が「当分」がいつまでなのかをはっきりとは書いたものは見かけません。当分ということは裏を返せば「いつまでもじゃない」ことになります。

  短期金利なのになぜ10年国債かといいますと、個人向け10年国債は短期の変動金利をもらい、元本変動リスクがないからです。変動金利のメリットは元本変動がないこと、デメリットは長期金利よりかなり低いことです。・・・ここまでが教科書どおりのコメントです。

  私の本音は、「現在の短期金利レベルで日本国債のリスクをとることは私にはできません」です。

  何故なら、日本国債が本格的にヤバくなる時には、変動金利か固定金利かに関わらず、国債に買いの手が入らなくなる可能性が大きいからです。デフォルトもしくはデフォルト寸前に至った債券は、必ずそうなるのです。


(注)個人向け国債は種類がいくつかあって固定金利もあります。売却時に若干のコストがかかる場合もあります。財務省のHPで内容を確認できますが、説明はかなりわかりづらいです。URL;http://www.mof.go.jp/jgbs/individual/kojinmuke/index.html


>日本株への投資も有効ということならば、これが国債の暴落はありえないということなのか、国債が暴落しても、株式は、そんなに下落はしないということなのか。

  氏の考え方は、国債は大丈夫だし株は選択さえ間違わなければ投資すべし、ということでしょう。

>銀行預金をペイオフの範囲内としているということは、銀行を信用できないとしているということですが、国家財政が破たんすれば、ペイオフなんて、実施不能でしょう。なんか、すっきりとは、わかりにくい推奨ですね。

  そうですね。一応、個別の銀行は信用するな、でも国家は当分信用できる、という考え方ですね。

   全体を通じると山ちゃんのおっしゃる「すっきりしない」というのはそのとおりですね。10年物、5年物国債を推奨するからには、それまでは国債の暴落やデフォルトはない、という考え方に立たないと矛盾します。

  

  さてここまで、いただいたコメントに私のコメントをお返ししました。ここで彼のコラムのタイトルに戻ります。タイトルは『買ってもいい運用商品全リスト』となっていました。短期金利物はリストのとおりですが、リスク物として並んでいたのは、

4. 株式
5. 投信ではTOPIXもしくは日経平均のインデックスファンド、ETF
6. 先進国・新興国の外国株インデックスファンド
7. REIT


でした。この4つはいずれも損得は投資タイミングによることになります。つまり「買ってもいいけど損しても知らないよ商品リスト」です。

  特に株式は銘柄の選球眼も持つ必要があります。プロでも勝てない現在の日本株相場でシロウトが勝つのは至難の業に思えます。日経平均などのインデックスに勝つのは、投資家には全く意味はありません。
  銘柄リストのない株の推奨に果たして意味があるのか。つまりこのリストがタイトルの標榜する「買える商品の全リスト」になっているかは疑問を感じざるを得ません。

  このように見てくると『山崎リスト』全体を通じた私のコメントとしては、「買っていいもののリスト」からヒントを得るより、買ってはいけない『べからず集』をヒントにすべし、となってしまいます。

   明日から4日間、旅行に出ます。   

   そうだ、京都に行こう!
コメント
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