前回は彷徨さんのコメントにお答えしましたが、さらに追加でコメントをいただきましたので、まずはそれにお答えします。
>プロの運用の方が素人の運用より勝っているということを前提に投資信託が成り立っているのだと考えていましたが、ある程度長い期間で考えると、運用手法より手数料の多寡がものを言うとは驚きですね。
投信はもちろんそれを目指しています。しかし実績はインデックスに負ける投信が8-9割もあるのです。原因はフィーが高いからではなく、運用がへただからです。この勝てない比率は日米ともに同様なのです。日本の場合アメリカより深刻なのは、たとえインデックスに勝っても、実は両者ともマイナスの可能性が高いというところです。
>今でもハイテク製品のコアーとなる部品はほとんど日本で生産されています。こうした日本の会社の株式なら投資してもいいと思うのですが、如何でしょうか。
賛成できません。私は4月頃に「600ドル近くに上りつめたアップル株はバブっている、i-TVだとかの新商品でもう少し上に行くことがあっても、もう買うべき時期ではない」とこのブログに書いています。その後さらに700ドルまで上昇しましたが、その後のアップル株は一気に下落しています。アップル株と関連企業株はひと山越えたと思います。そうしたバブルの臭いを的確に嗅ぎ分けられる自信があれば、勝負するのもいいでしょう。
>財源が減れば公務員の仕事も数も減らさざるを得なくなりますから、公務員改革を嫌がおうにも進め・・・・・この際セフティーネットをしっかり張って、世界に先駆けて景気後退から抜け出すという考え方は如何でしょうか。
そうなればよいのですが・・・。公務員の人数・給与を本格的に削減するような事態に至った時は、ギリシャやスペインのようになっていて、大混乱の可能性が大きいと思います。崖から真っ逆さまに落ちるほどの超緊縮財政を実行中に景気回復は無理だと思います。かなり時間を経て、焼け跡から急回復することはあるでしょう。そんなことになってほしくないのですが・・・
さて今回は、モンドさんのコメントへのコメントです。
>流動性が高く経費が低い商品を基本とし、経済は全体的に上昇していくという方向に賭ける、といった方法かと感じますので、その賭けに賛成するかどうかは別として、シンプルでありかと思います。
そうですね、山崎氏の考え方は確かに投資の基本をしっかりと捉えた考え方で、しかもシンプルですね。
>この考え方からすると、株式については「個別株式」だとすると、選球眼が必要でしょうから少々難しめかと。
はい、そのとおりですね。その選球眼がある人なら、今の日本株はほとんど見逃して、四球を選ぶでしょう(笑)
>リートについては、現在すでに上がっていっている部門ですので、出入りのタイミングの問題になりつつあるのかなぁと思います。
賛成です。株式同様、タイミングを間違えずに投資できる人なら、今はすでに売りのタイミング探しが正解だと私も思います。
>この二つ(個別株とREIT)は入れるなら、インデックスより低い割合のサテライト組として考えるのかなと思います。
これにも賛成です。あまり入れ込まない方がいいと思います。「退職金投資のポートフォリオの組み方」でも同じく山崎氏のお薦めポートフォリオを紹介しました。そこでは彼のお薦めは以下のとおりでした。
山崎氏;預金;27% 国内債券;40% 国内株式;13% 外貨建資産(株式);20%
国内株は13%と少ないのですが、外国株にいきなり20%という比重は疑問を感じます。外国株投信だとしても、例えば中国はピークの3分の1になったままだし、ベトナムなどは5分の1くらいになってしまいました。ブラジルもだめです。
>外貨預金は、最後に円に替えるのであれば、指摘の通り手数料の点からもアウトだと思います(外貨で将来使うならありかと)。
なるほど、為替リスクを取らないで高金利をエンジョイする、私もこれには賛成ですが、単なる預金は債券に比べても金利が低く、有利とは思えません。
>外債は、確かに売り買いの際の債券自体の価格で、どれだけ証券会社に抜かれているかわからないような気がしますので、素人はそこらへんは不安です。
売買を繰り返す投資なら、債券投資はシロウトがやるべきではないでしょう。償還まで持ちきりなら、実に単純明快な商品です。
>ただ、為替のリスクはとるものの、ゼロサムではないと思いますし、国外への投資比率を上げることを考えると考慮してもよいツールかと思います。
こちらもそのとおりだと思います。外債投資はゼロサムとは全く異なるので、山崎氏の意見ははっきり言って間違いです。
もう一つ私個人にとって大事なことを加えます。
昨年10月に、山崎氏は私の著書を彼のコラムでフルページで取り上げてくれました。タイトルは「米国債で投資の基礎を固める」でした(笑)。その記事はオンライン版に今もあります。
URLはhttp://diamond.jp/articles/-/14544
そんなタイトルで記事を書いたことをご本人は忘れているのでしょう。たくさんの記事を投稿されている方ですから。