花巻地方のクロッカス、早咲きだった去年よりも、更に10日も早く3月2日に黄色の花を咲かせた。
黄色に続いて、色とりどりのクラッカスが、しばらくの間、目を楽しませる。
明治の中頃の生まれの祖母は、子供4人の内、戦死も含め3人を先に亡くし、
「子供の年を食って生きている」、と強がり、当時としては長生きの82才で没した。
地主の家に生まれた祖母は、そこそこの教育も受けたらしく、読み書き算盤をこなし、孫の私に算数を教えてくれた事もあった。
そんな祖母は近所の人たちから、良く相性占いを頼まれていた。
「見合いの話があるけど・・・」 「好きな人が、できたけど・・・・・」、
そんな話の度に、古びて黄色くなった本を出しては相性占いをしていた。
その「虎の巻」には、生まれ年による一代の守り本尊の絵が描かれ、生まれ年の良縁悪縁が書かれていたように記憶している。
単純な相性占いではあったが、外れてしまったと言うことも無かったから、そこそこ当ったらしい。
そんな祖母は、父を早く亡くした、孫の私に、格別の期待をかけて
「お嫁さんは、必ず”酉の一白”(とりのいっぱく)を貰うように」 と幼い頃から口うるさく言われた。
”羊の三碧”(ひつじのさんぴき)の私との相性はとても良いとのことだった。
やがて、結婚、祖母の相性占いは意識していたとは思っていなかったが、お嫁さんは二つ下の”酉の一白”
祖母は大喜びで
「安心安心、若い頃は苦労も多いが、幸せな老後だよ・・・・」 と占ってくれた。
以来50余年、大波小波を多々乗り越えて、子、孫と、”酉の一白”の老妻と、のんびり農業に励んでいる。
祖母の「格別の期待」には添えなかったが、おかげさまで「やや健康に」後期老後を迎えている。
そんな祖母は、来年50回忌を迎える。
織物を良くした祖母は、「いつか役立つようにと」”裂き織”のこたつ布団地を沢山残してくれた。
丈夫な”裂き織だが、今では壁飾りくらいの使い途しかない・・・・・