先日、友人宅にお招きを受け、ちょうど赤シタビラメがあったので処理をして持参したら、奥さんがムニエル作ってくれました。魚料理はちょっと苦手でとおっしゃっておりましたが、これはご謙遜で、大変美味しくビールが進みに進みました。私が作ると大量のニンニクが付いて、酒飲みの大人が食べるには丁度良いのですが、これは非常に上品な味で、小さなお子さんも喜んで食べてました。この小さなお子さんが喜んで食べると言うのがポイントです。大変勉強になりました。これは朝揚がったばかりの魚なので臭みも全く有りませんでしたが、東京など産地から1~2日遅れで店頭に並ぶ赤シタは牛乳に20~30分浸しておくと臭いは殆ど気にならないと思います。家庭でフレンチの気分です。
今年はイワシが良く揚がってました。“良く”という表現ですが、浜の先輩方に聞くと、10年前に比べれば1/3程度で、昨年に比べれば5倍くらい。イワシの周期のようなものも関係するらしいのですが、ここ数年の推移と、全国的な傾向を見れば、銚子は良く揚がっていると言えそうです。中羽と言われる手の平くらいの大きさが殆どですが、これがちょうど食べごろサイズ。刺身、塩焼き、煮物なんでも美味いです。イワシ=塩焼きという感覚が有りますが、イワシほどどんな調理法とも相性が良い魚はいないと思います。叩いてツミレで良し、酢の物との相性も抜群、梅干で炊く銚子煮という料理もありますし、サンガ、なめろう等という漁師料理もあります。定番のフライも....。とにかくどのように調理しても美味しい。写真はいつもの如くオリーブオイル&ニンニクで。イワシに少々小麦粉をまぶして焼いてみましたが、外はカリカリ、中はジューシー。臭みは一切無く、あまりに美味いので、無言で5枚平らげました。これステーキです。
昨日のバーベキューで焼いていたマグロのほほ肉を頂いてきましたので早速食べました。小学校1年から高校3年まで一緒だった同級生が居て、彼はマグロのスペシャリスト。その同級生の目利き。今まで彼の目利きで選んだマグロを食べて外れた事がない。同じ水産業の後継者として、早く彼くらいのレベルにと思ってますが...。身近にこういう仲間が居ると本当に勉強になります。マグロ業界は華やかなところで、魚の中では別格と思っておりましたが、どうも最近は難しい問題が沢山起こっているようです。燃料高など漁船の経費の問題、世界的な資源保護の動き、にも関わらず末端売価は上がらず、消費者としては歓迎すべき事かも知れませんが、業界としては存亡の危機。そんな記事を水産新聞で読みました。以前掲載しましたが、“ごちそう”が無くなってしまった弊害の1つかもしれません。安くて美味しい商品は食べる側にとって有り難いことですが、その安さは仕組みとか、理由があって実現されているのか?流通経路の誰かが泣いているのか?....、これからは本当に食べる側の意識が重要な時代だと思います。さて写真のステーキ。オリーブオイルにニンニクを少々、低温で香りを出してからマグロ投入。外側をカリカリに、中は半生くらい.....。食欲をそそる匂いが充満してました。味は?....これでまずい訳がありません。絶品です。
今度は煮付け。深いところの魚の特徴を持っている訳ですから煮て美味くないハズは無い。と思いましたが、まさにその通り。実に美味かったです。強いて難を言えば、少々骨っぽいという事くらいでしょうか。この魚は天日干しにもしてみましたが、これまたとても美味しい。スタートは、珍しい魚が揚ったので今すぐ市場に来い。と、この道50年という水産加工の大先輩方からの電話でした。この大先輩は銚子の浜での師匠のお一人ですが、とにかく市場に毎日来て、見て、感じて、触って、食べろ。そう教わりましたので日々実践しております。一本の電話から輪が広がり、名前が分かって、生息場所が分かって、特徴が分かって(ウロコが非常に固い、腹が黒い...)、いろいろな料理にチャレンジして、味が分かって....深く記憶に残りました。蒲鉾はもともと豊富な前浜の魚を無駄にしないようにするための先人の知恵。とにかく実体験を通して全身で魚を知らない事には美味しい商品が出来ない。そう思っております。最近は“豊富に”は揚らないけれど、まだ価値を見出されず葬られている魚がきっといる。この魚はその典型の1つのような気がします。
昨日の赤サバ(正式名称:ハチビキ)刺身にしてみました。新鮮なイワシの身にキンメダイの脂をまとわせたような、何とも言えない甘みと旨みがありました。腹を割いてみると、ハラスのところがメヌキなどのように黒く、この魚がかなり深い水域に生息している事が察せられましたが、深いところの魚の特徴、“まったりとした脂”を感じながら、それでいてクドくない。仲間10人ほどで食卓を囲みましたが、ものの数分で無くなりました。鮮度劣化が非常に早いようで、この刺身が食べられるのは産地特権なんですが、地元の方々も今までこれは食べた事がないと一様に感心しておりました。次はいつ揚るのか不明ですが、好奇心を持って毎日市場に通っていると、沢山の発見があります。この刺身は忘れられない一品になりそうです。
カルパッチョとは、旬の食材を生でいただくイタリア料理の調理技法。こんな定義でよいのかどうか分かりませんが、最近レストラン等で“カルパッチョ”の名前が増えました。歓迎すべき事と思います。写真はヒラメです。ヒラメというと、“寒ビラメ”なんて言われ、寒い時期が身が締まって美味しいと一般に言われてます。反対に夏のヒラメは大味でマズイ。なんて言われてましたので、早速食べてみました。私には繊細な舌の感覚が欠如しているのかもしれませんが、ただただ美味い。でした。薄切りのヒラメにオリーブオイルを絡めサラダ感覚で食べましたが、焼酎が進みましたね。以前、スズキの項でも申し上げたかと思いますが、スズキは夏が旬といわれ、冬場のスズキは可愛そうなくらい人気がありませんでした。でもオリーブオイル&香草焼きなんて最高でした。旬の魚は和食系で、旬を外れたら(ヒラメやスズキは旬以外にも水揚げがありますから)洋食系。勝手にそう決めてます。
ツミレは冬場の鍋のみ。という既成概念を越えるには、まず自らが様々な料理に挑戦して情報発信を。と思っております。協力してくれる仲間が銚子には沢山いますので、時間を見付けては創作料理に挑戦してます。まずこのツミレグラタン。以前からツミレとホワイトソースやチーズの相性は抜群なのではないか?と思っておりました。匂いが出てしまったようなものや、魚の味がしないものは論外ですが、家庭で作ったり、混ぜ物の少ない商品で作るとツミレからダシが出て、とても美味しくなります。この写真、プロが作るようなソースは使わず、市販のホワイトソースやチーズを使っております。バターを塗ったグラタン皿に具と市販のホワイトソース。表面にチーズやパン粉を掛けてあとは焼くだけ。家庭でも手軽に出来ますので、是非一度お試し下さい。これは美味いです。
写真は昨日のエイヒレです。これは私が作ったのではなく、割烹のプロが即興で作ったのですが、見た時は豚のスペアリブか?と思いました。見た目で美味しく、食べて尚美味しい。これがあのエイか?と思います。このエイヒレは身離れが良く、食感もコリコリして独特です。エイは(サメなんかもそうですが)、実は食べて美味しく、健康効果の高い成分をふんだんに含んだ非常に貴重な魚であります。このエイですが食べた翌朝は顔がツルツル。エイヒレに含まれるコラーゲンの影響だと思います。理化学的な検査は後日行おうと思っておりますが、これまた昔の方の知恵で、“煮こごり”なんて料理があります。エイヒレを煮た鍋を翌日見ると、プルンプルンとした(恐らくコラーゲンの成分なんでしょうが)かたまりになっています。魚の健康効果というと、ヘルシーだとか、青魚に含まれるDHA,EPAばかりに注目が集まりますが、足元を見渡すと、もっと沢山の宝の山が眠っているように思います。また食品はバランス。魚同様、もっと見直されるべき健康効果が食肉にも沢山残っております。肉か?魚か?という前に、各々の食材をもっと知る。そのための情報提供に少しでもお役に立つような情報発信を。と心掛けております。
木曜日に伊藤さんから投稿を頂き、なんだムニエルなんてそんなに簡単なのか?と素人の私は勇んで市場に向かい、今夜さっそくチャレンジしてみようと思いましたが、あれだけ揚っていた青ヘラが昨日は殆どナシ。漁師さんに聞くと潮目(潮の流れ)が変り、揚る魚種が変った。とのこと。毎日市場に通っていると、何か法則性のようなものがある。これを感じ始めました。本日はカワハギ、ホウボウが多く、ヘラやショウサイフグが少ない。こんな日は決まって蒲鉾原料のホシザメが殆ど揚らない....。とにかく私は素人ですから毎日の変化を感じながら、何事も経験、学習を続けます。さて写真。ムニエル残念だな。と思っていましたが、漁師さんから勉強のため本日はこれを食え。と言われホウボウを頂きました。東京の寿司屋さんなどで、ホウボウはタイに匹敵と言われる高級魚(ホウボウに付いては後日改めて)です。NHKの番組でジローラモさんが、ホウボウを使ったアクアパッツアという料理はナポリのマンマの味で最高に美味い。と言ってました。グットタイミングでしたので、その料理に挑戦しました。ホウボウのウロコを取り除き、内臓を除去(頭は付けたまま)、オリーブオイルでニンニクのスライスを炒め、そこにホウボウ投入。皮目を良く焼いた後に、ムキエビ、アサリ、マッシュルーム投入。その後白ワインで酒蒸し、最後にアンチョビを少量入れて、ホールトマトを投入。味付けは塩、コショーのみ。これで美味いのか?と疑心暗鬼になりましたが、食べたら....唸りました。絶品です(煮崩れしてしまいましたが)