世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

吉見ノ里の重厚な街並みをはさんで南東側は玉ねぎ畑、北西側の海の向こうは関空と対照的な風景です

2022-06-05 08:00:00 | 日本の町並み
 泉大津、泉佐野と紀州街道を南下してきましたが、今回は関空の対岸を南に通り越して吉見ノ里を紹介します。

 
 
 吉見ノ里は江戸後期に幕府領となり、漁業や農業で栄え、近年は江戸時代後期からの綿花栽培地をバックにした紡績業行が盛んになったところです。玉ねぎは特産品で京阪神の市場をにぎわしています。南海電車の駅名は吉見ノ里ですが、行政的には泉南郡田尻町の一部で、この田尻町はかつては日本一面積の小さな町でしたが、埋め立てによって土地が広がり、現在は二番目になったようです。そういえば、かつて大阪府は日本一面積の小さな都道府県でしたが、吉見ノ里の沖合にある関空の埋め立てで二番目になっています。

 
 
 
 
 
 古い町並みは、南海電車の線路に沿って横に細長く広がる地域で、平壁に腰板のある重厚な家々が並んでいます。この辺りも、江戸時代の前から門徒集団が多い地区だったそうで、寺内町の様相を引き継いでいるのかもしれません。駅の西にある浄林寺は安土桃山時代創建の浄土宗のお寺で、北西方向にある春日神社は、もっと古く創建は奈良時代までさかのぼる野だそうです。これまで紹介してきた泉大津や泉佐野は、街道状の比較的直線部分が長い道路に沿って街並みが続いていましたが、吉見ノ里では細い路地沿いにゴチャゴチャと家々が並んでいるという感じがします。ただ、街並みからちょっと外れると畑が広がっていて、玉ねぎ栽培がされているのでしょうか。こののどかな風景とは逆に、海側を望むと、沖合に関空島があって大型機が頻繁に発着をしています。

 吉見ノ里の対岸にある関空というと、なんとはなくネガティヴなイメージがします。技術的に埋め立てには向かない深すぎる海を無理に強行したため、今だに不等沈下が収まらず、空港島の建物はジャッキで持ち上げているのは有名な話です。また、関空島を某国のネットワーク業者が日本の通信規格とは異なる方式で構築する話も聞いたことがあります。おそらくこの話は立ち消えたのでしょうが、治外法権のまかり通る居留地になりかねないところでした。