世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

長崎の南山手地区はグラーバー園だけではありません、名もない坂道や木立の先に見え隠れする洋館を眺めながらの散歩が楽しい

2021-07-04 08:00:00 | 日本の町並み
 神戸の西の市街地の中に修復のできた古墳が明石海峡を見下ろして横たわっているのが五色塚古墳でした。神戸は山が海に迫り、五色塚も海岸段丘の端のようなところに造られています。北野町や塩屋などの山麓部分は海の眺めが良く、異人館や別荘が立ち並ぶ場所になっています。山が海に迫る町は尾道などもありますが、居留地がある港町はさほど多くありません。今回はそれらの中で、長崎市の南山手地区を中心に紹介します。

 


 
 長崎市の南山手地区は、長崎駅の南、長崎電気軌道(路面電車)の大浦支線の終点の石橋電停の南南西に横たわる山塊で、グラバー園や大浦天主堂のある地区です。山手と聞くときつい坂を上らなければ、と思いますが、南山手地区には石橋電停の南側から斜行エレベータと通常のエレベータを乗り継いで、苦労なくグラバー園の一番高いところにある入り口そばまで登られます。グラバー園内にも、動く歩道がありますが、こちらは入園料が必要、斜行エレベータなどは、無料で乗ることができますが、籠が1台なので利用客が多いと待たされることになります。

 
 
 
 
 
 
 長崎の坂というとオランダ坂が有名ですが、もともとは特定の坂を指すのではなく、旧居留地の石畳の坂の総称で普通名詞化していたようです。そのためか、神戸の異人館街にもオランダ坂なるものがあるそうです。もちろん長崎の南山手にも、その名称の坂があったようですが、現在は東山手の三つの坂のことを呼ぶのだそうです。南山手の坂には、いろいろな名称がついていて、地獄坂があると思えば祈念坂もあり、ドンドン下るためなのかどんどん坂、分からないのはプール坂でこの坂の近くにプールを作れるような平地が見当たりません。これらの坂で西に向かって下る坂からは、市街地の向こうに長崎湾と、その先には対岸も見え、この景色に魅せられて多くの異人館が建てられたのではないでしょうか。

 
 
 
 
 坂を下ってい行くと、海が見えるだけではなく、思いがけない所に現れることがあります。祈念坂を降りてゆくと、通常は正面からしか見られない大浦天主堂を後や横からみられます。狭いところに建っている須加五々道美術館は上から屋根の状態まで見ることができます。祈念坂を降りきって大浦天主堂を通り過ぎると祈りの丘絵本美術館もありますが、こちらの建物はは正面から眺めることになります。

 
 
 逆に、祈念坂の上部には、異人館の南山手乙27番館を流用した南山手レストハウスがあって、市内を一望にできる眺めの良い場所に建っていて、坂歩き散歩の一休みもできます。

 グラバー邸を作ったトーマス・グラバーは、討幕派、佐幕派の両方に武器弾薬を売って巨万の利益を得た死の商人ですが、キリンビールの基礎を作ったことでも有名です。日本のビールは長くラガー・ビールばかりが作られてきました(これもキリンビールのためのようです)が、最近は地ビールなど様々な種類のビールが作られるようになりました。中には、AIと職人とが組んで、世代間のコミュニケーションを促進するビールというのもあるようです。各世代が育った頃の色流行色をビールの液色に、トレンドワードから香りに、そしてファッションを味にと、AIが連想して、それを職人の手で製品に仕立てるというものです。また、嗜好向の多様化に併せたビールの試作は醸造という時間がかかる過程を伴うため、過去のデ^タを覚えこませたAIを利用して、この過程を短縮することも行われているそうです。