世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

ガソリン車が乗り入れないツェルマットの道路をヤギの大群が闊歩していました(スイス)

2019-03-10 08:00:00 | 世界の町並み
 敦煌には仏典を運んできた白馬を鳩摩羅什が弔ったと言われる白馬塔がありました。当時は、広大な砂漠の移動にも歩くか、せいぜい馬に頼ることしかできなく、排気ガスは出さない自然に優しい移動だったわけでしょう。世界の観光地で内燃機関の車の乗り入れを禁止している所は意外に多く、アメリカでは、映画「ある日どこかで」の舞台になったマキノー島が有名で、スイスには、いくつかの観光地で禁止されています。今回は、これらの中で、マッターホルン観光の基地の一つツルマットを紹介します。

 
 
 ツェルマットは、スイスの南西部、マッターホルンやモンテローザの観光基地ですが、それらの峰の向こうは、もうイタリア領です。ブリークから南進をしてきたマッターホルン・ゴッタルド鉄道の終点で、サンモリッツからオーバーアルプ峠を越えてきた氷河急行の終点駅でもあるのがツェルマット駅です。車で来た観光客は、ツェルマットの手前のテッシュで車を駐車場に停めて、テッシュ駅で鉄道に乗り換えてツェルマット駅まで行くことになります。ツェルマットの中は電気自動車や馬車の実が走れ、ガソリン車は緊急車両など、特別に許可された車両だけです。町中の道路には、電気自動車や馬車や歩く人間だけでなく、時折ヤギの集団が通り、まるでアルプスの少女ハイジの世界です。ヤギの行進する道路沿いのホテルの窓からは、マッターホルンが望め、居ながらにして、太陽の動きによる色合いの変化も楽しめます。

 
 ツェルマット駅周辺は、窓に花鉢が並んだ綺麗な山小屋風のホテルなどが建ち並んでいますが、少し離れた場所には木造の倉庫群があります。食糧倉庫は石の基壇の上に建ち、これは鼠返しなのだそうです。16世紀ごろに建てられたものだそうで、冬場は羊小屋になるものもあります。これらの倉庫の窓も花鉢で飾られていました。

 
 
 
 ツェルマットは言わずと知れたマッターホルンの観光基地で、ここからマッターホルンまで登山をする人、マッターホルンの肩の部分までハイキングをする人なども居ますが、ほとんどはゴルナーグラートまで登山電車で上って景色を眺める観光客です。このゴルナーグラート鉄道の終点からは、ツェルマットの向こうにマッターホルンが見えますが、北壁が良く見えないようです。また、この鉄道は混雑することで有名で、乗車できるまで随分と待たされます。筆者は、このルートを避けて、ロートホルンに上ることにしました。こちらは、地下駅を走るケーブルでスネガまで登り、ここからロープウェイに乗り継ぎます。頂上は、ゴルナーグラートより高く、北にあり、マッターホルンの北壁も良く見えます。何より良いのは、このルートは、なぜか空いているのです。頂上駅の近くには、高山植物らしい花々が咲いていました。

 現在の電気自動車は、随分と性能が良くなって、一家の充電で何百kmも走れるようになりました。バッテリーとモータで動く自動車の歴史は意外と古く、ガソリン車より早くに製造されたようです。ただ、電池の性能などの問題から、その後はガソリン車が大勢を占めたようです。最近の蓄電池の性能向上は素晴らしいもので、モーター駆動の飛行機も出現しそうな勢いです。ただ、電池の充電時間が長いことから、次世代の本命は燃料電池という議論もあるようです。電気自動車は自然に優しい、と言われますが、原発を止めてしまって、火力発電ばかりの現状では、化石燃料を燃やす場所が変わっただけなんですね。