世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

全国的に地名はあまり知られていませんが日出にはかつての城下町の名残が残されています

2017-12-10 08:00:00 | 日本の町並み
 伊豆の長八の鏝絵の美術館があり、なまこ壁の町並みが続くのが西伊豆の松崎でした。この鏝絵は全国の1/3が大分県に集中していて、これは伊豆の長八に習った鏝絵を故郷の大分に戻って広めた青柳鯉市の影響です。拠点としたのが日出で今回は、民家の壁に鏝絵の残る土野町並みを紹介します。

 
 

 日出町は、大分県の中部、国東半島の南の付け根当たり、別府湾の北西端に位置します。JRに日出駅がありますが、鏝絵や日出城跡など、町の中心は隣の駅の暘谷駅の南の600m、南北300mほどに広がります。この駅名は日出城の別名の暘谷城に由来するもので、三代藩主が中国の古書に因んで命名したそうです。この日出城は明治の廃城令で売りに出され二つの櫓を除いて壊されてしまいました。現在は、この櫓が移築復元され、城跡には小学校が建ち、その周りに石垣が残るのみです。城跡からは、別府湾の眺めが綺麗です。

 
 
 城跡には、郷土が生んだ儒学者の帆足万里の像が立ち豊後の三賢人の一人と言われているようですが、全国的にはあまり知られてはいないようです。この帆足万里の記念館としても一時期使われたのが、藩校の致道館の建物です。門と家屋全体が残され、現存の藩校の遺構としては大分県唯一です。

 
 日出城跡の東には、金山開発で富を得た成清博愛が建てた的山荘(てきざんそう)があり、現在は重要文化財に指定され料亭として使われています。的山というのは成清博愛の雅号で鉱山開発で山を的てたいの気持ちを表すものだそうです。別府湾を眺めながら城下が令などの料理が味わえるのだそうです。

 
 鏝絵のある民家は、的山荘の東北寄りで町中にうずもれてしまっていて、見落としそうになります。筆者が見つけたのはウサギの絵とカレイの絵で、いつごろに作成されたものかは不明です。普通の民家の妻部の壁に何げなく描かれているのがいいのかもしれません。

 成清博愛は数々の鉱山開発でしっぱいし、最後にたどり着いた馬上金山で的を射たそうです。金山というと、2020年の東京五輪の金メダルの金は馬上金山のものではなく、都市鉱山から採取するようです。パソコンやスマホやケータイで買い替えた後に廃棄された古い機体から金を抽出するのだそうですが、これが尋常な量ではなく、現用のIT機器までを含めると金では世界の埋蔵量の16%、銀に至っては22%にもなるのだそうです。現用の機器で使われる貴金属はともかく、買い替えによる廃棄はあまりにも無駄ではないでしょうか。使わない機能が増えているだけの新しいスマホへの買い替えをあおるキャリアに踊らされるのは止めにしては。