世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

そろそろお彼岸なので、飛び入りで、日高市の巾着田の彼岸花の群生です

2017-09-17 08:00:00 | 日本の町並み
 9月23日は秋分の日、お彼岸です。お彼岸というと、おはぎ(萩の花に由来で春の彼岸に食べるのはボタンの花由来のぼたもち)や彼岸花ですが、今回は、ちょっと寄り道で、彼岸花が一面に咲く巾着田を紹介します。

 彼岸花というと縁起が悪いとおっしゃる向きもあるでしょうが、球根に毒があるので食べると彼岸に行ってしまう、などの言い伝えからかもしれません。一般的には、秋の彼岸頃に咲く花ということでの命名と考えられます。一方、彼岸花は曼殊沙華という呼び名もあって法華経に由来し極楽に咲く花の一つというおめでたい命名もあります。かつては、球根の毒性を利用し、障子を張る糊にとして使われたこともあるようで、障子の虫食い予防になったそうです。最近は、リコリスという名前で園芸品種が出ていて、赤色だけでなく、白、黄、オレンジなどの花が売られています。

 
 
 さて、巾着田は埼玉県日高市の南西部、高麗川が南側に大きく蛇行をして、川に囲まれた場所が巾着の形のように見えることから名づけられた場所です。最寄りの駅は西武池袋線の高麗もしくはJR八高線と川越線の分岐駅の高麗川になります。高麗川の名前は、8世紀ごろに高句麗からの渡来人がこの地域に住み着いたためで、巾着田も彼らによって開墾された田畑です。

 
 
 彼岸花は、湾曲する高麗川の河川敷に群生するもので、500万本の花が咲くと言われています。松林の足元がすべて彼岸花という状態で、この巾着田の彼岸花を見てしまうと、他の彼岸花の群生を見ても感動しなくなるほど、ここの花は見事で圧倒されるボリュームがあります。筆者が訪れたのは10年以上も前ですが、その頃はまだ無料で見られましたが、その翌年から入場料を徴収するようになったようです。入場料を払うだけの値打ちがあるとも思いますが、もともと野生で咲いていた花で場所も河川敷なんですがね。

 
  
 西武池袋線の高麗からJRの高麗川までは、途中に巾着田を経由してのどかな田舎道が続きます。この季節には、曼殊沙華に加えて、芙蓉の花や栗のイガイガなども眺められます。天気が良ければ、のんびりと散歩をするのにも向いているかもしれません。帰りに川越線で川越に出て、駄菓子を買って帰るというコースも可能です。

 彼岸花の球根にはでんぷんが含まれているため、飢饉などで食糧が不足した場合には、これを食べたそうです。含まれている毒物のアルカロイドは水溶性のため、1日以上水にさらすと毒が抜けたそうですが、それでも誤食を含めて、事故が絶えなかったようです。電子センサーを利用して、いろいろな成分の検出が可能になった現在ですが、「食べても害はないか?」といった、お毒見センサーというものは存在しないようです。特定の物質の検出能力は、モノによっては人間の間隔をはるかに超えるものまで開発されていますが、漫然とした毒の存在は、個々の毒を検出するセンサーをずらっと並べるしかないのではないかと思います。現在でも、命を懸けたお毒見役が必要なのでしょうか。