世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

湧水が豊富で水道が要らない西条の市街から2駅先には古い町並みも残っています

2012-11-11 08:00:00 | 日本の町並み
 国鉄の線路が通らないので、自分たちで私鉄を引いてしまったのが加悦鉄道でした。鉄道は廃線になってしまいましたが、数多くの鉄道遺産を保存するSL公園が残されています。国鉄といえば、東海道新幹線の父と言われた人物が十河総裁で、出身地の西条の駅のそばには四国には走っていない新幹線車両も展示する四国鉄道文化館があります。今回は、その西条駅から氷見駅にかけてを紹介します。

 
 西条は愛媛県のやや東より、石鎚山系の北に位置する町です。石鎚山系に降った雨水は、地下にある自然のダムによってせき止められ、水圧が増した地下水が井戸を掘れば自噴するそうです。この自噴井戸は「うちぬき」と呼ばれ、市内に2000本ほどもあるそうで、上水道は不要な珍しい都市です。自噴井戸は家庭の生活用水だけでなく、農業用水や工業用水に使われているそうで、川原のあちこちにも湧き出していて、都市の河川とは思えない清冽な流れが見られます。湧水のそばにはサギなどの野鳥がいたり、モニュメント化された湧水もあります。



 
 
 自噴井戸の源となる水源は、JR伊予西条駅から西に伊予氷見駅あたりまで東西に5kmほどにわたって分布しているそうです。この西に端の氷見駅の南側には、四国八十八箇所の第63番札所の吉祥寺や、旧金比羅街道沿いに古い町並みが残されています。かつては日本のどこにでも見られたような民家で、土壁や格子、それに大きな瓦屋根を見ていると、なぜか落ち着いた気分になります。これらの民家群の中にも湧水があり、ポリタンクに水を汲んでいる人を見かけました。井戸の上には祠があって、その下にきれいな水が沸いていて、井戸が神格化されているようです。

 西条ではしないのいたるところで井戸を掘れば水が湧くようですが、通常は闇雲に井戸を掘っても水が湧くとは限りません。地下水脈を探査する手法はいくつかあるようですが、VLF探査と呼ばれる電波を利用した手法もあります。VLFという電波は3~30kHzというAMラジオで使われている周波数の1/10~1/100のとても低い周波数で、水の中に伝わるために潜水艦通信に使われています。この電波が水中だけではなく、地中にも10mほど浸透することを利用して、地下にある水脈によって電波が乱れることを利用して探査をするそうです。VLFの電波の利用は、戦争のための通信ではなく、水脈探査だけにしてほしいところです。