世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

ロマネスク最大規模のシュパーアー大聖堂の周辺にもユニークな教会がありました(ドイツ)

2012-04-22 08:00:00 | 世界遺産
 皇帝が死後も自身の権力を誇示するために巨大な墳墓を作ったのが明・清王朝の墳墓群でした。中国の陵墓は人工の山を作ってしまいますが、ヨーロッパでは墳墓の上に教会の建物を作るのが一般的です。今回はこれらの教会の中から、ドイツで2番目に世界遺産に登録されたシュパーアー大聖堂とその周辺の町並みを紹介します。

 シュパイアーはドイツのフランクフルトの南80km、ハイデルベルグの西南西20km、マンハイムの南南西20kmほどに位置し、人口5万人ほどの町です。世界遺産の大聖堂は、駅の南東で歩いて25分ほどの距離にあります。駅を出て鉄道と平行に南に800mほど行くと、鐘楼のある広場に出ます。この鐘楼が巨大で、こちらもなかなか存在感があります。





 世界遺産の大聖堂は、この広場で東に曲がって800mほどの通りの突き当たりに壁のように立ちはだかっています。身廊の先端の切妻のファサードに接して両側に翼が伸びていて、正面から見える壁が広く、これが衝立のように見えるのかもしれません。正面から見ると直線的な聖堂ですが、裏側に回ってみると祭壇の後方は丸い外観になっていて、とんがり帽子を被って口を開けた人形のように見えます。

 シュパイアー大聖堂は、11世紀に当時の神聖ローマ皇帝が自身の永眠の場所として建造し、その後も7人の皇帝などが葬られています。皇帝たちの棺は、地下聖堂に安置されていて、祭壇の手前から降りていくことができます。世界的にもロマネスク様式で建てられた教会として最大級の建物です。ドイツではゴシック、ロマネスクはフランスやスペインの建物というイメージが強いのですが、意外にもドイツにもロマネスクの建物が数多く残されています。このコラムでも紹介した、アーヘン大聖堂、トリアー大聖堂、マインツ大聖堂、ロルシュ修道院などがロマネスクを代表する建物です。

 
 鐘楼のある広場をシュパイアー聖堂のほうに曲がるのではなく、まっすぐに行くと2つの教会があります。ガイドブックにも載っていない教会ですが、それぞれに個性があって寄り道をしたくなります。右手の教会は、尖塔が多く端正な感じで、左側は天を突く塔が印象的です。
 
左側の教会はGedächtniskirche Speyerという名前のようですが、内部で古い金管楽器の展示を見ることができました。常設展示なのか、たまたまの特別展だったのかは判りませんが、現在のホルンなどとはだいぶ違った形の楽器を見ることができました。

 楽器の電子化によって、難しかった楽器の演奏も少しは楽になってきているようです。電子化トランペットでは、マウスピースからメロディーを口ずさんで吹き込めば、その音程をトランペットの音に変換してくれるそうです。電子化楽器は、シンセサイザーや電子トランペットのように音を合成するものや、電子バイオリンなどのように音の共鳴を補助するもの、自動ピアノなどのように、人間の動きを擬似するものに分類できるでしょう。最後のカテゴリーのものは、電子技術が発達する前から機械式のものも作られていました。機械式の自動ピアノ用に残された演奏家の演奏は、録音技術の悪かった頃の演奏家の演奏より、良い音で録音が残されているという、奇妙な現象が起こっているようです。