世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

神戸山手では異人館だけでなく世界中の宗教施設を見て回れます

2011-12-11 08:00:00 | 日本の町並み
 三条通や五条通のように観光客が闊歩する通りではありませんが、お城や教会それに京町家が並ぶのが裏通りのような雰囲気を持つ二条通でした。一方、神戸の山手の異人館通りは観光客と妙なお土産やであふれていますが、少し裏に入ったり、異人館街を外れると神戸らしい町並みや建物が残っています。今回は、海から上がってきた町並みが山に突き当たる少し手前の山手界隈を紹介します。


 神戸はいわずと知れた港で栄えた都市で、外国人の数の多さも東京の港区と似ているかもしれません。この外国人が多いせいで、世界中の宗教施設が、それも山手地区に揃っています。

 
 キリスト教会はカトリックでは、阪神大震災で壊れた3つの教会を統合した神戸中央教会が丸い聖堂とシャープな鐘楼で生まれ変わっています。
 プロテスタントは、やはり地震で壊れた栄光教会が、もとあった道路が分岐する三角形の場所に、壊れる前と同じ姿で再建されています。

 
 日本では2箇所のみのユダヤ教の教会(シナゴーグ)の入り口には、6つの頂点を持つダビデの星が掲げられています。
 イスラム教会は、やはり日本では2箇所のみで特徴のあるドームを持つモスクは、巨大な建物で目立った存在です。

 
 日本では神戸にしか存在しない寺院が、ジャイナ教の寺院で、インドに居るような錯覚を覚える一郭です。
 商売をする中国の信仰を集めているのは、横浜などにもある関帝廟です。

 
 日本の神社やお寺は数多くありますが、お寺では、山手でもやや西寄りですが禅宗の修業道場の祥福寺が雰囲気のあるお寺です。神社は、一宮から七宮まで数字が付いた神社があり、この中の三宮神社は繁華街や駅の名前にもなって最も知名度はありますが、神社そのものはあまり目立ちません。ただ、幕末に起こった神戸事件の舞台として有名で、神社の前に石碑も建っています。

 
 宗教施設ばかりの紹介では、偏った紹介でしょうから、異人館も少し取り上げましょう。公開されている異人館だけでも20棟近くあり、全てを見て回るのはずいぶんと時間がかかります。公開時期が古くて、相変わらずの人気は「かざみどりの館」「萌黄の館」「うろこの家」などでしょうか。





 レストランとして使われている東天紅や神戸北野美術館などは現役の建物として利用されているものもあります。








 
 ゴールデンウィークには、インフィオラータにより道路が花で埋め尽くされ、年末にはイルミネーションや飾りつけがされて、華やかさが絶えない街です。

 ただ、今でこそ観光客であふれる異人館街ですが、筆者の学生の頃はスケッチブックを持った人が時たま訪れるくらいの街でした。あまり、人を見かけない町並みだったかもしれません。1981年に開催されたポートアイランド博覧会の頃から、異人館街として観光化が進んだようです。あまりの観光客の多さに閉口しますが、観光化によって内部が見学できるようになったメリットはあるようです。ただ、お土産屋の多さだけは、もう少し自制してもいいのではないかと思います。

 神戸山手は世界の宗教施設博物館の状況を呈していて、それぞれの宗教がお互いに平和共存をしているように思えます。しかし、歴史を眺めてみると、戦争の原因のかなりの部分は、宗教の対立にあるようです。宗教は口実で、宗教を後ろ盾にした、つまるところは権力闘争なのかもしれません。愛や平和や人類の幸福を唱える宗教が、人殺しの戦争を引き起こすのは皮肉なことです。戦争も困りますが、技術者としては、宗教によって科学を否定されるのも、困った歴史の一つです。