世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

首都と言っても時間がゆったりと流れるビエンチャンです(ラオス)

2011-08-14 08:00:00 | 世界の町並み
 3大瀑布の一つとなっているナイアガラの滝は、3つある滝の間にカナダとアメリカの国境があって、滝の下流の橋を使って行き来が行き来が出来ました。近年、タイとの国境となるメコン川をまたぐ友好橋に、タイから鉄道が延びてきたのがラオスの首都のビエンチャンです。今回は、ラオスで最初の鉄道駅も出来たビエンチャン周辺を紹介します。

 ビエンチャンはインドシナ半島の内陸国ラオスの首都で、メコン川挟んでタイと接しています。ラオスには鉄道は無かったのですが、2009年にメコン川に架かる友好橋に線路を引いて、タイからの鉄道が延長されて、ビエンチャン郊外に駅が出来ました。ゆくゆくは、ビエンチャン市外の中央部まで線路を延ばす計画のようです。マレー鉄道の駅がシンガポールに1駅だけあるのと似ていますが、シンガポールの方は、旧来のシンガポール駅や大部分の軌道を廃止して、マレーシアの対岸まで縮退するので、ラオスの状況と逆のようです。

 ビエンチャンは、人口が70万人程度の、首都としては小ぶりな都市です。人口が少ないせいか、国民性なのか、はたまた暑いためなのか、町を歩いても、どことなくのんびりとした感じがします。町の中には地下鉄や路面電車はおろか、郊外に向かう路線を除いて路線バスさえ走っていません。旅人はトゥクトゥクと呼ばれる3輪に、値段交渉をしてから乗るしかないようです。ただ、見所は数km四方の中にあるので、暑さをいとわなければ歩いて回れなくはないコンパクトな町です。

 
 ラオスの現在の首都はビエンチャンですが、かつての首都であったのはルアンプラバンで、町全体が世界遺産に登録されています。このルアンプラバンに数多くある寺院と同じ意匠で作られ、通りを挟んでワット・シーサケットとワット・ホーパケオが建っています。鋭角的に空に伸びる屋根と周りを囲む回廊は、タイやバリ島で見る寺院建築とも似て、日本の寺院建築とは違った美しさがあります。

 
 美しいといえば、黄金に輝くストゥーパが天を突いているのがタートルアンです。基壇からすべて黄金色で、見る人の趣味にもよりますが、南国の青い空をバックにした図柄は、それなりに奇麗です。これらのお寺の大部分は、信者がお参りをする現役の寺院で、周辺にはお墓もあります。このお墓にも、豪華なものがあって、金色やタイルのモザイクで装飾をされ、写真を焼きこまれたものもありました。

 
 ワット・シーサケットは、町の南部、メコン川のすぐそばに建つ大統領公邸と路を挟んだ北側ですが、タートルアンは、公邸の前でT字路となる道路を北東に3kmほど行った所にあります。この道路のちょうど中間あたりに、パリの凱旋門を模したというパトゥーサイという門が道路の中央に建っています。戦没者の慰霊碑という位置づけで1960年にコンクリート造りで建てられたようですが、東洋風というかインド風とでも言うのかちょっと変わった感じです。



 コンクリート造りで変わったといえば、市内から郊外バスで30分ほど乗った、ブッダパークは、ちょっとではなく、かなり変わっています。公園の中に、コンクリート製の仏像がひしめいています。中にはどう見ても怪獣としか思えないような像や、巨大な涅槃像もあります。怪獣のような像の口から、中に入って頂上部に登ることができ、展望台のようになっているいるものもあります。同じ作者が、メコン川の対岸のタイのノーンカーイにも同じような仏像パークを作ったそうです。鉄道が開通した現在では、両方を見比べることも簡単かもしれません。

 ラオスはアメリカ人にとって一番魅力的な旅行先の一つなのだそうです。西欧には無い未知数の魅力に加えて、物価の安さも彼らを引き付けているのかもしれません。ただ、物価が安いということは、所得水準も低いと思うのですが、町の中心にあるタラット市場の2階には宝飾の店舗が密集していて、多くの人が買い物をしていた図柄は、どうも理解できません。ラオスに限らず、所得水準が低そうな所に行っても携帯電話だけは普及しているようで、これも奇妙に感じます。まさか、かつて某国の首相がのたまった「電気が無くて電話が使えないような所でも携帯なら使える!」という訳でもないと思いますが。