世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

須坂の古い家並みのはずれの豪商の庭で蓮の花を見つけました

2006-08-13 14:17:52 | 日本の町並み
 夏の早朝に蓮の花が開花するときには音がするといわれています。東京近辺では上野の不忍池の蓮の花が圧倒的な物量で見事ですが、花の茎が短くて葉の中に埋もれて咲いているのが多いように思います。この蓮の花が信州の須坂の豪商の庭に咲いているのを見つけました。

今回は、小布施の近くで忘れられがちですが、白壁や格子の家並みが続く町並みが素敵な須坂を紹介します。

 蓮の花は仏様の台座(蓮台)になるなど仏教的な色彩もある花です。泥(混沌とした現世)の中から美しい花(悟りの世界)を咲かせる蓮の花は、仏教の教えを象徴するものということでしょうか。また蓮根(レンコン)は字の通り蓮の根を食べるもので、高圧の水流で泥田から掘り取る作業はけっこうハードなようです。かつてフランスのフォションの店で蓮の香りのついたフレバリティを購入する日本人に習って購入したことがあります。フォションのアップルティは有名で日本でもさかんに売られていますが、蓮の香りの紅茶は見かけません。よい香りというより、ミステリアスな香りってところでしょうか。

 須坂は長野市の東に隣接していて、長野駅から長野電鉄の特急に乗ると2駅の20分ほどで須坂駅に着きます。最近は、さらにその1駅先の小布施が有名になり、訪れる観光客も多いようですが、須坂もなかなか見逃せない美しい家並みの残る町です。蓮の花を見つけたのは、須坂を代表する豪商、「田中本家博物館」の庭でした。田中本家は須坂藩より財力があったという商家で、

20もの白壁の土蔵とその土蔵で仕切られた4つの庭のある豪邸です。土蔵内を展示ルームとして、陶器のコレクションや日常で使われた道具や衣類などが並べられて豪商の生活ぶりが垣間見れます。

 田中本家博物館から長野電鉄の駅までは1.5kmほどで、道の両側には白壁に格子窓や虫篭窓のある家並みが続いています。民家や商店などにまじって記念館や美術館になっている建物もあるようです。

これら和風の建物の中にあって、「ふれあい館しらふじ」は、他の建物群とちょっと違ってユニークなところがあります。母屋は日本建築に白壁の土蔵が連なっていますが、もとの持ち主がお医者さんだったことから、離れとなっている病院部分は、明治期の洋館です。街づくりの拠点として開放されていて、病院の面影は薄れていますが、天井が高く、縦列構造に配置された部屋を仕切る引き戸もなかなかしゃれています。

 レンコンとして食べるのは蓮根といわれますが地下茎で、たくさん生えている蓮の葉も花も見えないところで蓮根によってつながっていることが多いのです。IT分野の製品にも、一見関連のなさそうな分野の製品であっても、それを支える基礎技術でつながっていることも多いものです。華やかな花(製品)ばかりに目を奪われますが、それらを支える地下茎(基礎技術)にも気を留めてほしいものです。