世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

散り敷いた桜も美しい静かな村、白井宿

2006-05-14 14:35:15 | 日本の町並み
 鯖街道の宿場町の熊川も、訪れる観光客が少ないのですが、北関東の群馬県にあり首都圏から近いわりに訪れる観光客が少なく静かな宿場町の白井宿があります。通りに水路があり、集落の一方の端に白井宿の標識があって、

他方の端に道の駅があるところも、熊川に似ています。通りは人通りも少なく静まりかえっていたのですが、それとは対照的に道の駅には農産物などを買う観光客が溢れていました。付近で採れた野菜やこんにゃくなどに人気が集まっていたようで、大きな水車も記念写真のバックに好適だったようです。
 白井は、上越線と吾妻線が分岐する渋川の北に隣接し、伊香保温泉などへの観光客を尻目にタクシーで15分程度の「八重桜祭り」などの時以外は観光客の少ない町、いえ町ではなく、北群馬郡子持村白井なのです。
 利根川と吾妻川との合流点の河岸段丘に城下町として発展し、近世に廃城になった後は沼田街道の宿場町として栄えたようです。城跡は白井宿の標識のある中心の通りから外れて、坂を10分ほど上った集落のはずれにあります。周りには、田んぼや畑が広がり、城跡の一郭だけに崩れかけた石垣が残っています。もちろん建物などは痕跡すら残っていなく、堀であったであろうくぼ地や草ぼうぼうの広場があるだけでした。

現在は農業を中心とするこじんまりとした集落ですが、15年ほど前に白井宿街並み再生事業として、かつての宿場町の雰囲気を残す町並みがよみがえったとのことです。中心となる通りに面して、白壁の土蔵や格子のある家が建ち並び、通りの中央には清らかな水が流れる掘割があります。そしてその掘割のそばには8個もの井戸が残っていてほとんどが現役で使えるようです。
 4月の下旬の八重桜祭りは、この用水路に沿って植えられた八重桜を愛でるお祭りのようで、写真で見るお祭りの様子では、かなり大勢の観光客が見物に訪れるようです。しかしながら、お祭り直後のゴールデンウィークにたずねた時には、散り敷いた花びらが祭りの残り香を漂わせているだけで、通りを通る観光客の姿もなく祭りの喧騒が想像できないほど静まりかえってっていました。

 お祭りというのは、写真やテレビでの中継など、その場にいなくても日本はおろか世界中のお祭りが自宅などで見ることができます。高速のインターネットの普及でテレビには放映されないようなローカルなお祭りの様子もライブ映像などで見ることが可能になっています。それでも、最近は現実のお祭りに出かける人も、むしろ増えているようにも思えます。お祭りの熱気というか、参加する楽しみのようなものは、現場にいないと味わえないようにも思えます。これからのネットワークはこの熱気をも伝えられるようになるのでしょうか、それともネットワークでお祭りの様子を知ったさらにたくさんの人々が、現実のお祭りに参加するようになるのでしょうか。