くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「海馬が耳から駆けてゆく」④ 菅野彰

2010-01-07 05:07:52 | エッセイ・ルポルタージュ
福島は会津に行ってきました。やっぱり会津なら菅野彰だよね! と「海馬」④をバッグに入れ、周囲をきょろきょろ見回しながらの日程です。
磐梯熱海でそばと田楽を食べたにも関わらず、つい喜多方ラーメンまで食べてしまい、夕ご飯が辛かった……。おいしいのに、残してしまうこの悲しみ。そして、夜、息子が腹痛になって苦しんでいました。やっぱり食べすぎでしょうか。パンも食べたしなー。
さて、菅野さんはこの本で、三十路を迎えたと嘆いていますが、もうそれからも十年です。
ジョギングをしうさぎを飼い弟たちの散髪をしてやり、浅草で鍼灸に通い通訳と間違われ、山梨でドアに指を挟みフランスを旅し、と読んでいてどうもこの時期はまだ福島在住ではないのではないかということが判明。あとがきを読んだところ、文章が出る頃に福島に引越したことが綴られていました。
でも、喜多方に帰ると毎日ラーメンを食べてしまう話とか、冬は水抜きしないと水道が凍るとか、福島らしい話題も結構あって、やっぱり旅の目的に合っていたと再認識。
わたしは「海馬」を四冊平行で読んでいたので、どの本を読み終わっていてどの本をどこまで読んだのか定かではないのですが、これはカバーを栞がわりに挟んでいたので安心して続きを読みました。
ご本人もあとがきで言っていましたが、旅の記録が頻出する④でした。沖縄、釜山、青森というところにも旅し、同行した友人に迷惑をかけたとうなだれる菅野さんですが、これがどこをとってもおもしろい。読んだはずのところも読み返してみましたが、何度読んでも新鮮なのですよ。
わたしにはとても、こんなふうに旅行記は書けません。食べたもののことばかり羅列するに決まってる。二日めに猪苗代で食べたピッツアはおいしかったよ! 雪の中世界のガラス館を探しまわったとか旅館にはわたしたちしか宿泊客がいなかったとかありましたが。あ、郡山ふれあい科学館では、「ダーウィンの部屋」を企画展示していて、絶滅動物に関心のあるわたしには、すごくおもしろかったですー。
菅野さんは人間観察に優れているのでしょうね。その視点をいきいきとした文章で書いているのが素敵です。
個人的にいちばんのツボは、ペンネームを知った友人から、
「何に書いてんの? ジャンプ? マガジン? 女性セブン?」と聞かれた場面でしょうか。ふふふ……。