朝日新聞も落ちたものである。朝日新聞の言論サイトである10月22日付の「論座」に、老マルキストの菅孝行が書いているからである。80歳を過ぎた菅に書く場所を与えたのは、天皇陛下の存在を快く思っていないからだろう。老体となった菅に登場願うのは、自分たちの意見を代弁してくれる者たちがいなくなったからだろう▼菅の文章の題名は「天皇制と闘うとはどういくことか 融通無碍な鈍感さを許さない政治的・歴史的想像力を奪還する」であった。天皇論で飯を食ってきただけに、そのテーマから離れられないのだろう。かいつまんで整理すると、近代国家の支配の形式は、菅によれば市場原理、法の正当性を根拠とする統治、支配の正当性の内面化の3つがある。菅が問題視するのはその最後であり、現在でも我が国が「君主制国家」であるのは、アメリカの占領政策があったからだと結論付ける。東西冷戦を予測して日本国民の疑問を抑え込んだというのだ▼この程度の議論で「天皇制」をなくすことなどできるわけがない。菅自身が網野義彦との「民の生活と天皇の関係を問う」(『モグラ叩き時代のマルキシズム』)をテーマにした対談で、天皇の存在が民衆のなかに息づいているのを認めたではないか。それを打破するには吉本隆明ではないが、並大抵のことではないのである。オールドメディアの朝日新聞は、菅が過去の人であることをどうして理解できないのだろう。老マルキストの繰り言に付き合うのは、一握りの極左だけなのである。
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