チェーホフ: 桜の園 ー 喜劇 四幕 ー
神西 清 訳 新潮文庫
チェーホフ晩年の四大劇作品の最後で1903年発表、上演は翌年である。四つが二つずつ文庫に入っていて、2つ目の最初がこの「桜の園」、三つ目の「三人姉妹」はまだこれからである。
舞台となっているのは「かもめ」、「ワーニャ伯父さん」に近いところがあり、田舎の地主階級の屋敷、土地のまわり、中年を過ぎようとしているラーネフスカヤは最初の結婚に失敗、その後一緒になった男といまは別れているが、パリにいる男には未練があるようだ。
兄のガーエフとともに、領地のやりくりに苦労し、破産しそうで、その相談相手がかっての農奴の息子だった商人ロバーヒン、彼が最後はここを入札で落し、その金でラーネフスカヤとガーエフはここを去る。その思い、美しかった園への哀愁、過去への決別が流れとなっていて、若い世代の男女のからみ、執事、従僕、小間使いたちのやりとりはこの変化を受け入れて、つぎの時代へ動きはじめる。
細かいやりとりはよく出来ているようだから、舞台で見れば面白いだろうが、主人公二人の時代への決別、諦念などは今一つ読んでいてせまってこない。
チェーホフの劇のタイトルをよく見たのは1960年代、70年代だったが、この「桜の園」が一番多かったと思う。これは戦後、昭和の時代変化を象徴するものに読み替えられる感じで、評価され好まれたのかもしれない。四つの劇のうち読んでないのに役名を知っていたのはタイトルにあるから当然のワーニャを除けばラネーフスカヤだけである。
ラネーフスカヤは東山千榮子をはじめ何人か当時のいわゆる新劇大女優が演じていたと思う。舞台の詳細は面白かったかもしれず、一回くらいみておけばよかったと思う。
神西 清 訳 新潮文庫
チェーホフ晩年の四大劇作品の最後で1903年発表、上演は翌年である。四つが二つずつ文庫に入っていて、2つ目の最初がこの「桜の園」、三つ目の「三人姉妹」はまだこれからである。
舞台となっているのは「かもめ」、「ワーニャ伯父さん」に近いところがあり、田舎の地主階級の屋敷、土地のまわり、中年を過ぎようとしているラーネフスカヤは最初の結婚に失敗、その後一緒になった男といまは別れているが、パリにいる男には未練があるようだ。
兄のガーエフとともに、領地のやりくりに苦労し、破産しそうで、その相談相手がかっての農奴の息子だった商人ロバーヒン、彼が最後はここを入札で落し、その金でラーネフスカヤとガーエフはここを去る。その思い、美しかった園への哀愁、過去への決別が流れとなっていて、若い世代の男女のからみ、執事、従僕、小間使いたちのやりとりはこの変化を受け入れて、つぎの時代へ動きはじめる。
細かいやりとりはよく出来ているようだから、舞台で見れば面白いだろうが、主人公二人の時代への決別、諦念などは今一つ読んでいてせまってこない。
チェーホフの劇のタイトルをよく見たのは1960年代、70年代だったが、この「桜の園」が一番多かったと思う。これは戦後、昭和の時代変化を象徴するものに読み替えられる感じで、評価され好まれたのかもしれない。四つの劇のうち読んでないのに役名を知っていたのはタイトルにあるから当然のワーニャを除けばラネーフスカヤだけである。
ラネーフスカヤは東山千榮子をはじめ何人か当時のいわゆる新劇大女優が演じていたと思う。舞台の詳細は面白かったかもしれず、一回くらいみておけばよかったと思う。