レールモントフ: 現代の英雄
高橋知之 訳 光文社古典新訳文庫
ミハイル・ユーリエヴィチ・レールモントフ(1814-1841) はプーシキンの次の世代、ゴーゴリの少し後だが時期はほぼ重なっている。
どうもこの二人、プーシキンが頭にあり生き急いだところがあるかなというのが、私の先入観。
「現代の英雄」というタイトルはロシアに限らずかなり特異な感があったし、書かれた時期も知らなかったから、ロシアの社会主義系の思潮を誤って想像し、手に取ろうとしなかった。
さてここに描かれている時代と地域は、プーシキン、ゴーゴリにも出てくるようなカフカス、その周辺で、そこに出入りする武官が主な登場人物として出てくる。これは前世紀後半のプガチョーフの乱に端を発したものが多いのだろうか。
本書はなかなか込み入った構成で、作者を想像させるものが出会った武官、彼が出会った武官とそれをとりまく何人かの女性、そして多くは後者武官の手記ということになっている。
このところ小説の人称には注意をはらっていてそれが面白いともいえるのだが、本作の手記の位置づけは何故これ?というところも残っている。
女性とのやりとり、さやあてなど、近代の小説らしいところもあるが、それに加えて決闘、賭博がかなり重要な要素となっていて、このあたり後のロシアの小説の端緒とも見受けられる。思い切って書き切ったところが魅力だろうか。
なお訳者の解説を見るとこれまでにずいぶん多くの翻訳が出ている。案外ロシア文学の研究にこの作品が好む人が大いのかもしれないが、その訳者の中に中村喜和とあった。中村先生には第二外国語としてのロシア語を習っていたが、どうも「現代の英雄」という作品名を先生が教室であげられたことがあったような気がしてきた。
高橋知之 訳 光文社古典新訳文庫
ミハイル・ユーリエヴィチ・レールモントフ(1814-1841) はプーシキンの次の世代、ゴーゴリの少し後だが時期はほぼ重なっている。
どうもこの二人、プーシキンが頭にあり生き急いだところがあるかなというのが、私の先入観。
「現代の英雄」というタイトルはロシアに限らずかなり特異な感があったし、書かれた時期も知らなかったから、ロシアの社会主義系の思潮を誤って想像し、手に取ろうとしなかった。
さてここに描かれている時代と地域は、プーシキン、ゴーゴリにも出てくるようなカフカス、その周辺で、そこに出入りする武官が主な登場人物として出てくる。これは前世紀後半のプガチョーフの乱に端を発したものが多いのだろうか。
本書はなかなか込み入った構成で、作者を想像させるものが出会った武官、彼が出会った武官とそれをとりまく何人かの女性、そして多くは後者武官の手記ということになっている。
このところ小説の人称には注意をはらっていてそれが面白いともいえるのだが、本作の手記の位置づけは何故これ?というところも残っている。
女性とのやりとり、さやあてなど、近代の小説らしいところもあるが、それに加えて決闘、賭博がかなり重要な要素となっていて、このあたり後のロシアの小説の端緒とも見受けられる。思い切って書き切ったところが魅力だろうか。
なお訳者の解説を見るとこれまでにずいぶん多くの翻訳が出ている。案外ロシア文学の研究にこの作品が好む人が大いのかもしれないが、その訳者の中に中村喜和とあった。中村先生には第二外国語としてのロシア語を習っていたが、どうも「現代の英雄」という作品名を先生が教室であげられたことがあったような気がしてきた。