メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

補足「ばらの騎士」

2015-01-14 08:50:22 | 音楽一般
昨日書いたザルツブルグの「ばらの騎士」でもう一つ気がついたこと。


公爵夫人にはモハメドという黒人の男の子の小間使いがいて、まず最初にオクタヴィアンがまだいる朝の寝室に食事を持ってくる。
そして対称的に最後に登場するのもこの子である。もっとも今回は通常より年長の子を使っている。
最後の場面、侯爵夫人の部屋、夫人が去ってオクタヴィアンとソフィーの愛の二重唱があり、二人が去った後、誰もいなくなった舞台にこの子が入ってきて、何かと思えばソフィーが落としたハンカチを拾って出ていき、そこで印象的な音楽で幕になる。


さて今回の演出、部屋と屋外が切れ目なく、照明で観客に明示するようになっていて、小間使いはハンカチを持って外に出てたたずむが、音楽の最後、なにかそれを口のあたりに持っていき、ふっと吹いて飛ばしたように見え、その瞬間暗転して終わった。
ソフィーのハンカチだから、これはもしかして、夫人は若い二人にあとを譲ったのだが、その内心は穏やかではないということを強調したのだろうか。


まあその感情はこれがなくても理解できるが、普通の演出だと、貴族の夫人の部屋はきれいにして次の世代にというような感じに舞台としてはなるかもしれない。美的にはこっちの方がいいけれど。

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