「スケッチ・オブ・スペイン」(マイルス・デイビス)
( Sketches of Spain Miles Davis , 1960 )
素晴らしい。
実は原曲を知ってはいても、全曲をじっくり聴くということはしてないし、きけばなんとなくわかった、多くの人に好かれる曲だろうなという感じであった。
聴いてみないで想像してしまうのは恐ろしいものである。
録音がでた後、どう考えても1970年までにはその存在は知っていたはずだが、今よりもクラシックを真剣にきいていたこともあって、このあまりにも有名な「アランフェス協奏曲」(ロドリーゴ)をもとに鬼才マイルス・デイビスが作ったアルバムというのは、敬遠していたのである。通常、わかりやすくしたか、とんでもなくデフォルメしてしまっているかのどちらかだから。
おそらく原曲のギター協奏曲以上であろう。最後まで飽きることがない。
この緩急、冷たさと熱さとが同居・併行し、聴くものに対し、時にどちらかがすっと前に出てくる。
マイルスのビブラートがかからないきれいな音がよくマッチしているし、多様で繊細なパーカッションが心地よい。
もちろん後者は編曲全体とともに、パートナーであるギル・エバンスの腕ではあるのだが。