メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

さざなみ

2017-03-21 20:55:51 | 映画
さざなみ(45Years, 2015英、95分)
監督:アンドリュー・ヘイ
シャーロット・ランブリング、トム・コートネイ
 
イギリスの田舎町に住んでいる老夫婦、夫(トム・コートネイ)はこの町の工場を退職して80歳あたり、妻(シャーロット・ランブリング)は70歳に近い。二人は終末に結婚45周年を迎え、パーティを計画している。それまでの一週間ほどの話である。
 
夫にある通知が来る。結婚より以前、つきあっていた女性と登山していた途中、女性が遭難、その彼女の遺体が当時のまま発見された(氷河の中?)というものである。夫は思いを馳せる。妻は結婚前のことと納得してはいるものの、さまざまに動揺が現れ、夫を問い詰めたりする。
それでも、それは自省を伴い、波打ちながら、最後はパーティにたどり着く。
 
大きなドラマではないのだが、その進行と演技、映像の見せ方がうまい。
夫はぼけが出ていて、妻はそれを理解はしていても、明確な答えを求めてしまったり、それを後悔したりする。
 
このように映画として、地味なもののよく出来てはいるのだが、結婚前のことで、女性が死んでしまっているのに、そして45年間それはとりたて後を引いてはいなかったのだが、それでもこうなるということが、映画で描くほどのことなのか、よくわからない。私が男だからなのか、、、
 
妻を演じるのがシャーロット・ランブリングだったから、見られたのだとは思う。私と同い年、この映画製作時69歳だが、表情、スタイル、こういう歳相応があるのかと思うほど、感心する。やはり「愛の嵐」、かなりたっての「スイミング・プール」のひと。
 
夫のトム・コートネイ、気がつかなかったが彼は「長距離ランナーの孤独」(1962)の人。その映画の監督はトニー・リチャードソン、このころは出してくるものを追っかけて見た記憶がある。
 
同じ世代だからかなじむのは、シーンの進行で使われ最後にパーティでも出てくる音楽で、たとえば「煙が目にしみる」(ザ・プラターズ)、二人だけのデート(ダスティ・スプリングフィールド、後にベイシティ・ローラーズがカヴァーしてヒット)、「ハッピー・トゥゲザー」(ザ・タートルズ)など。
 
最後に一つ、見終わって思ったのは、男が45年以上前に愛し失った女性のことを、こういうきっかけで思い出し、少し妻に隠れて想いを馳せる、それはわかるし、そうしてやってほしい、ということ。

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