カイユボット 展 - 都市の印象派
ブリヂストン美術館 2013年10月10日(木)-12月29日(日)
ギュスターヴ・カイユボット(Gyustave Caillebotte) (1848-1894)については、ブリヂストンにある「ピアノを弾く若い男」と今はオルセーの看板の一つになっている「床削り」しか知らなかったから、今回こうしてまとまった展覧会を開催してくれたのはありがたい。
金持ちの家に生まれ、モネをはじめとする印象派仲間の絵を多く買い取って彼らを経済的に支え、そのコレクションは国に寄贈されたから、それが今オルセーなどの骨格にもなっている。
絵を見ていくと、自画像、人物などのポーズ、画角度など、同じ時期に同種のものとして参考展示されているセザンヌやルノワールと比較しても、むしろカイユボットの方がしっくりくるところがある。
逆にそれが、見ていて気持ちよく絵の中に自然に引き込まれていく反面、絵のタッチや視線の複雑さなどで、他の画家のように抵抗感ゆえに何かこっちに考えさせるようなところは少ない、ともいえる。微妙なところである。
もっとも、人間や人間に見えてくる社会の影というものが、すっと入ってくる。これはこの人の魅力である。
画家の弟が写真をやっていたこともあって、絵の対象を撮った写真がいくつか参考に出ている。写真をうまく使っているのもあり、また全体にあるいは部分的により広角サイドにデフォルメしたものもあり、そこらにこの画家の才覚が見られる。有名な「ヨーロッパ橋」など。
こういう画家にフォーカスした展覧会を企画・開催できたのは、この美術館の底力といっていいいだろう。