王と鳥 (Le Roi et L'oiseau、1980仏、84分)アニメ
監督:ポール・グリモー、原作:アンデルセン「羊飼い娘と煙突掃除人」
脚本・台詞:ジャック・プレヴェール、音楽:ヴォイチェフ・キラール、ジョゼフ・コスマ
高校の同期の人との間で、子供のころ見た映画で、ディズニーでなくちょっとかわったアニメで「やぶにらみの暴君」というのがあったねという話になった。調べてみたら、1952年製作、日本公開は1955年、このとき見たのだろう。アニメだから子供でもということだったのだろうが、今でいうとハイブロウというか、よくわからなかった。とはいえタイトルだけは正確に覚えているのだから子供というのは面白い。
製作者が配給してしまったものが監督のグリモーの意にそわず、彼が後に編集し直してこの題名で発表、これも評判になったらしい。ジブリの人たち(高畑・宮崎)は大きな影響を受けたそうだ。
アンデルセンの原作は知らないけれど、ある王国の専制君主の城、大きく複雑でハイテクに極み、そのてっぺんに住んでいる王の寝室に王と羊飼いの娘、そしてなぜか煙突掃除人の若者の絵が飾ってあって、若者は娘に恋をし二人は絵から飛び出して逃げる。絵に描かれた王も娘と結婚したいと思っていたからやはり絵から飛び出し、その配下達や城のあらゆる仕掛けを駆使して二人を捕えようとする。二人は途中で鳥の子供を助けたことから鳥たちは二人を助けるようになり、壮絶なチェイスが続く。そのうちに他の野獣たちゆあ盲目の辻音楽師など、いろんなキャラクターが登場し、クライマックスに向かっていく。
専制主義、専制君主、その国家装置など、近現代から未来についての考察は見てとれるけれど、それと話の面白さのバランスがよくできている。
アニメにはうとくて、宮崎駿作品も「魔女の宅急便」をたまたまテレビで見ただけである。だから比較もなにもないのだが、この映画はなかなか飽きずに見せてくれる。大人向けといえばそうだが、子供が見て悪いところもない。鳥の絵が特にいい。実は王の絵はいろいろ工夫があるけれど、若い二人についてはあまり工夫がなく、特に娘は妙に肉感的で現代的な娘である。
そしてこのスタッフ、プレヴェールとコスマはなんとあの「枯葉」のコンビ。当方、フランス語は少しききとれる程度だが、やはりさすがプレヴェールの台詞は音楽的というか、、、コスマの音楽もいい。
あと、ラストがとってもいい。多くは見るものにゆだねていて。
私が初めて見た映画はディズニーの「白雪姫」でこれは幼時、そんなに映画館に行く時代でないから「やぶにらみの暴君」は10本までいかないころだったと思う。それにしてもこの版のフランス語タイトルはアンデルセン原作のとおり La Bergere et Ramoneur だが、「やぶにらみの暴君」とは素晴らしい邦題だと思う。この後の版でしか確認できないが、「やぶにらみ」ということは話の中で言われないものの(王様にそんなこと言えない)、見ているとわかる。
DVDで新装発売されたのはよかった。
ところでフィルム・アーカイブの観点からいえば、グリモーがノンと言ってしまった最初の版も広く配給・公開されているわけで、映画というものの公共性を考えればこの版のフィルムのアーカイブがあるといい。世界のどこかには残っているかもしれない。それを見るとなると、権利問題特に同一性保持ということから難しいかもしれないが。
監督:ポール・グリモー、原作:アンデルセン「羊飼い娘と煙突掃除人」
脚本・台詞:ジャック・プレヴェール、音楽:ヴォイチェフ・キラール、ジョゼフ・コスマ
高校の同期の人との間で、子供のころ見た映画で、ディズニーでなくちょっとかわったアニメで「やぶにらみの暴君」というのがあったねという話になった。調べてみたら、1952年製作、日本公開は1955年、このとき見たのだろう。アニメだから子供でもということだったのだろうが、今でいうとハイブロウというか、よくわからなかった。とはいえタイトルだけは正確に覚えているのだから子供というのは面白い。
製作者が配給してしまったものが監督のグリモーの意にそわず、彼が後に編集し直してこの題名で発表、これも評判になったらしい。ジブリの人たち(高畑・宮崎)は大きな影響を受けたそうだ。
アンデルセンの原作は知らないけれど、ある王国の専制君主の城、大きく複雑でハイテクに極み、そのてっぺんに住んでいる王の寝室に王と羊飼いの娘、そしてなぜか煙突掃除人の若者の絵が飾ってあって、若者は娘に恋をし二人は絵から飛び出して逃げる。絵に描かれた王も娘と結婚したいと思っていたからやはり絵から飛び出し、その配下達や城のあらゆる仕掛けを駆使して二人を捕えようとする。二人は途中で鳥の子供を助けたことから鳥たちは二人を助けるようになり、壮絶なチェイスが続く。そのうちに他の野獣たちゆあ盲目の辻音楽師など、いろんなキャラクターが登場し、クライマックスに向かっていく。
専制主義、専制君主、その国家装置など、近現代から未来についての考察は見てとれるけれど、それと話の面白さのバランスがよくできている。
アニメにはうとくて、宮崎駿作品も「魔女の宅急便」をたまたまテレビで見ただけである。だから比較もなにもないのだが、この映画はなかなか飽きずに見せてくれる。大人向けといえばそうだが、子供が見て悪いところもない。鳥の絵が特にいい。実は王の絵はいろいろ工夫があるけれど、若い二人についてはあまり工夫がなく、特に娘は妙に肉感的で現代的な娘である。
そしてこのスタッフ、プレヴェールとコスマはなんとあの「枯葉」のコンビ。当方、フランス語は少しききとれる程度だが、やはりさすがプレヴェールの台詞は音楽的というか、、、コスマの音楽もいい。
あと、ラストがとってもいい。多くは見るものにゆだねていて。
私が初めて見た映画はディズニーの「白雪姫」でこれは幼時、そんなに映画館に行く時代でないから「やぶにらみの暴君」は10本までいかないころだったと思う。それにしてもこの版のフランス語タイトルはアンデルセン原作のとおり La Bergere et Ramoneur だが、「やぶにらみの暴君」とは素晴らしい邦題だと思う。この後の版でしか確認できないが、「やぶにらみ」ということは話の中で言われないものの(王様にそんなこと言えない)、見ているとわかる。
DVDで新装発売されたのはよかった。
ところでフィルム・アーカイブの観点からいえば、グリモーがノンと言ってしまった最初の版も広く配給・公開されているわけで、映画というものの公共性を考えればこの版のフィルムのアーカイブがあるといい。世界のどこかには残っているかもしれない。それを見るとなると、権利問題特に同一性保持ということから難しいかもしれないが。