恋のロンドン狂騒曲 ( You Will Meet A Tall Dark Stranger、2010米・西、98分)
監督:脚本:ウディ・アレン
ジェマ・ジョーンズ、アンソニー・ホプキンス、ナオミ・ワッツ、ジョシュ・ブローリン、アントニオ・バンデラス、フリーダ・ピント、ルーシー・パンチ、ロジャー=アシュトン・グリフィス
ウディ・アレンがこの数年、おそらく好きな都市を舞台に、好きな俳優を配して作り続けているコメディの一つ。ロンドンは何回目だろうか。
別れようとしている老夫婦(ホプキンス、ジョーンズ)、その娘(ナオミ・ワッツ)も小説家の夫(ブローリン)が新作がなかなか書けないでいる間に愛想をつかし自身でギャラリーを始めたい。
そしてこの四人が、それぞれ新しい相手をつかまえようとするなかで、困った話、おかしい話が展開していく。
最後は、うまくいきそうなところもあり、どっちに転ぶかで恐ろしいという雲行きもあるが、そのあとは想像にまかせるという形で終わる。
この種の作品で、アレン自身が出演しているものとそうでないものがあるが、本作のように出ていない方が余計な想像をしなくていい分、すんなりと見ることができる。
あるインタビューでアレンは編集の重要性、とりわけカットの重要性を言っていた。どうしようかと迷ったらその箇所は切り取ってしまうという。ここでも早めに切り上げて次の場面という感じのところはあるけれど、見ている方はその間を補うことは難しくない。そういうテンポ感は好きである。
ナオミ・ワッツ、しっくりいっていて、こんなにいい感じのうまい人だったっけ。
唯一ミスキャストはアンソニー・ホプキンス、若い子にもてようと事務で鍛えるところはまだしも、ちょっといかがわしい娘をつかまえて、バイアグラを飲んでという感じはそぐわない。一生懸命やってるけれど、風貌がどうしてもそういうおやじには見えないのである。
音楽は「星に願いを」で始まり、モーツアルトのセレナード(?)で終わる。アレンの趣味だろう。
クレジットで、ホプキンスの衣装はラルフ・ローレン、娘が不倫に走りそうになる画廊主(バンデラス)はアルマーニとあった。
退屈しのぎにはまずまず。