「クイーン」(The Queen 、2006年、英・仏・伊、104分)
監督:スティーヴン・フリアーズ
ヘレン・ミレン、マイケル・シーン、ジェームズ・クロムウェル、シルヴィア・シムズ、アレックス・ジェニングズ、ヘレン・マックロリー
エリザベス女王とブレア首相との駆け引き、理解、結託のストーリーを、実写も交え、どこまで取材による確証があるのかはわからないが、さもありそうに描いたものである。
1997年、ダイアナ元妃の事故死の直前にブレアが首相に就任していたのは、もう忘れていた。
この労働党出身のブレアが、最初は簡単にロンドンに戻らず原則を守り弔意もあらわさない女王に対し、いろいろ働きかけるが、新米首相ゆえのこともありうまくいかず、ブレアよりさらに過激な妻からいろいろ責められる中で、最後は女王と解を見出し、また女王への尊敬も増していく。
かなり揺れ動くブレア(マイケル・シーン)となかなか変化を見せないエリザベス女王(ヘレン・ミレン)、これは演技としても対照的なものを要求されるわけだが、二人はなかなか見事に演じている。
有名は大鹿と女王の邂逅は本当にあったのか映画のための創作かはわからないが、このシーンは彼女の唯一といってよい可愛さの表出となっている。これがあるから、最後の意見表明ではむしろ抑えたそれゆえ役柄としては自然な演技が活きたということだろう。
この二人の芝居を除けば、あとはそうどうという映画ではない。
首相秘書の一人にアフリカ系のスマートな女性がいる。「ラブ・アクチュアリー(2003)」でも別のよく似た容貌の女性が、ブレアを想定した首相(ヒュー・グラント)の秘書役だった。多分、現実にもこういう秘書がいたのだろう。