「ラブ・アクチュアリー」(Love Actually)(2003年、英/米、135分)
監督・脚本: リチャード・カーチス、音楽: クレイグ・アームストロング
ヒュー・グラント、リーアム・ニーソン、エマ・トンプソン、アラン・リックマン、コリン・ファース、ローラ・リニー、キーラ・ナイトレイ、ローワン・アトキンソン、ビリー・ボブ・ソーントン、ビル・ナイ、マルティン・マカッチョン、ルシア・モニス、オリヴィア・オルソン
もう何回見ただろうか。これはクリスマス前5週間の物語、少しずつ関係があってつながっている10組近くの人たちの愛の、その難題の話である。一つ一つのシーンとバックの音楽が良くできているから、もうほとんど頭に入っているのだけれども、年に何度か見たくなる。特に今頃は。
リチャード・カーチスは「ミスター・ビーン」シリーズ、「ノッティング・ヒルの恋人」、「ブリジット・ジョーンズの日記」の脚本を手がけ、これがはじめての監督作品らしい。
彼の脚本の評価がいかに高いかは、ここに集まったキャストを見ればわかる。
おそらくそれぞれの話、シーン、音楽は、彼がこれまでにどこかで使おうと考えていたこの数倍の数のエピソード集から選んだものだろう。そしてこれをうまくつなげながら、モザイクを完成するようにクライマックスに盛り上げていく手法は、変な力みがない。おそらく本来自分は脚本家で監督ではないという自己分析が、無理のないつくりをさせたのだろう。
この映画は、愛こそすべて、愛があれば地球は、、、などどまとめることはしない。最後は皆一人一人の物語に帰っていく。だからLove Actually。
そう、多くのカップルがなんとかハッピーエンドになるなかで、見終わってあの人たちはどうなのかなと、気にかかるのだ。
夫の愛人の存在を知った後、寝室に一人閉じこもりジョニ・ミッチェルが歳をとって再録音した名曲「青春の光と影」(Both Sides Now)が流れる中、自分の頭を仮に整理して、家族の前に再登場、外出した、エマ・トンプソンはどうなったか。
精神障害を持つ弟を気遣うために恋人との逢瀬がいつも変になってしまうローラ・リニーはどうしただろう。
そう思わせて終わるのもこの映画の気持ちいいところといったら言い過ぎだろうか。
最後にコリン・ファースがポルトガル・料理店で結婚を申込むところ、店の中にいる人々の顔が皆いい、絵になる。おそらくこういう役者を集めたのだろう。手を抜いてない。
今頃になると街で聴くクリスマス・ソングはやはりマライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス」(All I Want For Christmas Is You)が多い。曲も歌唱も好きだけれど、この映画を見てから学芸会で歌うオリヴィア・オルソンがついうかんでしまう。うまいのなんのって、、、
DVDによっては付録でついているメイキング部分、リチャード・カーチス自身が解説するいくつかの音楽とそのシーンは、これだけでも買う価値がある。