「ファクトリー・ガール」(Factory Girl 、2006米、91分)
監督:ジョージ・ヒッケンルーパー
シェナ・ミラー(イーディ・セジウィック)、ガイ・ピアース(アンディ・ウォーホル)、ヘイデン・クリステンセン(ロック・スター)
アンディ・ウォーホルのスタジオ「ファクトリー」、そこに集う人たちがどんなだったか、1960年代前半の時代の空気、そういうものが感じられれば、と期待してみた。どんなもの、ということからすれば、やはり別にどうでもいいようなことだけれど、こういうところからいくつかの代表的なアートが生まれた、それはある意味で束縛を離れた、力の抜けた姿勢から、ということは理解出来た。それらは今から見て、何らかの価値はある。
恵まれた旧家出のイーディ・セジウィックはそこでアイドル、アイコンと、いろいろ言われたが、彼女がいることで、いろんなものがまわり、焦点を持ち、トレンドが見え、ということはあったのだろう。
ゲイのウォーホルと、一時は波長があって、彼の聴き役になったようにも描かれている。
イーディ(1943-1971)の短い生涯の物語としては、親との葛藤、当時のニューヨーク前衛とのなじみとアレルギーの双方、薬、筋書きは特に目立つものではない。ロック・スターとの関係はこの物語の中では居心地わるそうである。ロック・スターはボブ・ディランのはずだが、フォーク・シンガーよりもう少しロッカー・イメージにしている。
ディランといえば「アイム・ノット・ゼア」(2007)でもこのファクトリーに近いものはあったが、イーディ・セジウィックという名の登場人物はいない。二つの映画がともにディランに遠慮しているのだろうか。
実物によく似ているという評はともかく、シェナ・ミラーはイーディ役に「入って」いて、これまではゴシップでしか知らなかった人だが、ひとかどの女優である。
「アイム・ノット・ゼア」を渋谷パルコ近くで見たとき、確か「ファクトリー・ガール」も隣かなにかでやっていたはずで、予告編も見たと思う。