王様の耳はロバの耳

横浜在住の偏屈爺が世の出来事、時折の事件、日々の話、読書や映画等に感想をもらし心の憂さを晴らす場所です

「単騎千里を走る」をDVDで見た

2006-09-20 09:50:06 | 芸能
昨日は老妻とDVDで高倉健主演「単騎千里を走る」を見た 健さん75歳に近いのにとてもそんな風に見えない 良かった 良かった
この映画を中国で撮影している話(単騎千里を走る 高倉健 中国へ)を書いてから1年も経たないのにDVDで見る事が出来る 幸せー

前回の訂正と補足を
「単騎千里を走る」とは有名な京劇の演目の一つで三国志の関羽が劉備の妻子と共に宿敵曹操の陣営に捕らえられる 曹操の帰順の説得を聞かず最後には曹操への義理を果たし劉備への誠を貫き通して劉備の妻子を伴い生還する話を骨子としている 中国語で「身在曹営 心在漢」(身は曹操に捕らえられていても心は劉備の元--つまり心ここに有らずという場合に使うらしい)そしてそれを貫き通す心を中国人が感動したのであろう 爺が超雲が阿斗を懐にと思ったのは間違い

又仮面劇も四川省辺りの顔の早替わり劇と勘違い 場所は雲南省の麗江市で本当に仮面と言うよりお面をつけて(この場合関羽)謡い踊る であるから顔に隈取はしない

さて物語りだが高倉健さん扮する高田剛一は地方の漁師で長年不仲の息子が東京でガンになった事を知る 息子に面会を拒まれ帰途息子の嫁から1巻のビデオテープを渡される それには中国の民族学に興味のあった息子が前年雲南省の仮面劇を録画した物であって「千里単騎を走る」だけが録画されず来年又という所で終わっているのを知る

舞台は変わって雲南省麗江市 健さんは中国人ガイドと現地ガイド(うんと地方に行くと現地語と中国語のガイドが必要になる)に案内され前年息子が仮面劇を録画した場所に行く ところが主演の李加民が傷害事件で刑務所に服役している事がわかる 彼はどうしても李加民による仮面劇を撮影したいと言い張り引かない この後ガイドと健さんのセリフ回しで刑務所に入る段取りが語られる 健さんが「命長くない息子の為、李加民演じる仮面劇」を撮影したい思いもわかる
芽出度く刑務所内での撮影が許される 李加民との面会も許されいよいよ撮影となったのだが李加民が鼻まで垂らし泣き崩れ芝居にならない 健さんの思いを聞きこれこそ「息子を思う心が単騎千里だ」と言う事と分かれて八年になる未だ会っていない自分の息子の事が重なってしまい歌えないのであると

所長の取り成しで数日後に気が落ち着いてから再録となる 健さんはこの間を利用して石頭村(ここからすごく遠い)に李加民の息子に会いに行く決意をする
中央のガイドはあきれはて帰社、現地ガイドと二人で村を尋ねる 息子楊楊(ヤンヤン)は母と死別1週間 村長は健さんに託しヤンヤンを李加民の元に送る事を決める 村人総出の食事会 もうビルマに近い小数民族の村なのであろう 翌日健さん、現地ガイドとやんやんがトラクターに引っ張られた荷車に乗って戻る途中 機械が壊れた その隙に逃げ出すヤンヤン追う健さん いつしか道に迷い一夜を明かす 健さんにもたれて眠るヤンヤン コートを脱いで着せ掛ける健さん ふと自分はいつ息子を抱きしめた事があったであろうか思い起こす 翌朝村人総出の捜索で見つけ出される ヤンヤンの真意を問い質すと父の元に行きたくないのだと
全てを察した健さんはヤンヤンを村に残す事を決断 マイクロバスで去る健さんを追うヤンヤン その時東京から電話 昨日息子が死去したとの知らせ 母の死を機に互いに仮面を被り真実の自分を見せなかった告白 麗江に言ってくれて嬉しいとの遺言

再び刑務所 ヤンヤンを連れ帰らなかった事、息子の死で健さんは「単騎千里を走る」の録画を断る しかし息子の成長した姿をデジカメの機能でTV画面で見た李加民は健さんの誠意に感動し背一杯「単騎千里を走る」を演じる事を誓う
ビデオカメラを取り出し撮影準備をする健さん 演じ始める李加民 舞台が遠く引かれると一巻の終わり

人が余韻を楽しんでいると老妻が健さんは漁師の役なのにハンチングと徳利のセーターが新しくて粋すぎるだと お前!見ている所が違うだろーちゅーの

確かにあの様に一民間人に親切な公安関係(政府共産党の関係者)なんて居る訳がない 爺も私費で10年ほど前北京に居たけどまあ役所の連中の不親切さ・木で鼻をくくる様なサービス精神の無さ には腹がたった だから窓口に「為服務 人民」と張り紙してある 皆のためにサービスを だけどそんな事をやっていないからスローガンになる

一方田舎のお百姓さんは親切だ 言葉が通じないときは筆談 よく働いたグローブの様な手で綺麗な漢字を書く こちらの金釘流が恥ずかしい位 スイカの種を分けてくれたり万頭をくれたり また季節の混雑で満員三等車で10数時間飲み食いはともかくトイレに行かず頑張るのだから日本人の爺には考えられぬ耐久力だ
今まで中国の王朝が変わるのはこのお百姓が生活が成り立たず反乱を起こす事に端を発している 共産党政権はこの不満をなだめる為最大の努力をしている筈だけどなにしろ人数が多いから目も手も届かぬ事が多かろう 良い中国人も居るし未だに鉄飯椀(親方共産党)もいる 懐の深い国だよ
ところで監督の張芸謀 初期の作品 初恋の来た道と女優の章子怡(ジャンツイイー)あの頃は光っていたね これも悪くは無いけど中国人に受けるかなー

コメント
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