王様の耳はロバの耳

横浜在住の偏屈爺が世の出来事、時折の事件、日々の話、読書や映画等に感想をもらし心の憂さを晴らす場所です

前財務官 溝口氏 巨額介入を語る

2006-09-19 09:34:28 | 為替 ドル 株式
前財務省財務官 溝口善兵衛氏が外為市場に巨額介入した事情を語った

朝日新聞の19日付朝刊の経済欄に「検証 構造改革」という連続コラムがある
今日は溝口善兵衛氏の登場である

爺が「財務官とその責任」のエントリーで書いたように氏は日本が03年1月~04年3月の1年2ヶ月に35兆円という巨額の外為介入を行った時の事実上の最高責任者だ

Q:そこ迄やる必要があったのか
A:当時は日経平均株価は8千円割れ、デフレスパイラル寸前であった 日銀は既に量的緩和政策を取っており金利を下げる余地が無く政府も財政が悪化し財政出動が困難であった
一方米国も経済状態は良かったが、イラク攻撃が近いとの見方から経済停滞の懸念が有った そこでドル安の圧力が掛かっていた そこで我々は「デフレ下の円高」というこれまでに経験のない状況に直面した 異常事態には伝統的手法では対応できなかった

爺の感想:
積極的にドルを支えなくても手なりで為替市場を見守っても良かったのではないか
円高に振れても1ドル/¥100位なら輸出に勢いがなくなっても輸入が大いに潤い原油価格・食料品輸入価格・その他輸入品の全てが安くなる その結果円高はトレードオフ(プラス・マイナス結果はチャラ)でないか つまり輸出こそが経済成長の根幹という「思い込みの幻想」が財務省の中枢にあるのだ

Q:小泉総理の指示は
A:介入の時期や規模には具体的な指示は無かった 我々の(財務省の?)動きは首相の基本認識に沿っていた 80年代の米英の改革時には自国通貨が安くなって輸出競争力を高め改革の痛みを吸収した ところで日本では経済不況化で円高になった 首相はその事をよく認識していた

爺の感想:
要すれば財務官僚の進講か小泉総理個人の思い込みによる誤信・誤解なのだよ
昭和20-40年代までのドルが喉から手が出るほど欲しかった時代ならともかく
外貨準備高が6000億ドルを超えようかという03年に年間貿易収支の黒字が10兆円(870億ドル≒1ドル/115) 話を簡単にして年間10兆円の黒字を守る為後世に35兆円もの借金の付けを付回しした理由の説明にならない

Q:欧米の反応は
A:欧米は非公式の批判的な意見を言ってきた 我々(財務省?)は「デフレに対する特別な措置で経済が回復すればやめる」とそれが理解された もし公然と批判されたら介入は出来なかったし効果は減殺された
爺の感想:
欧米とはいうものの米国にとっては円安/ドル高が(日本がドルを買ってそのドルを米国の財務省証券に変わる ドルは35兆円分米国に還流する)具合が良いのだから批判が有るわけがない

Q:米国が容認した背景には小泉首相とブッシュの良好な関係があったか?
A:それもある 政治的な面で重要なパートナーと言う米政府の任しかが背景に有った
爺の感想:
上の感想で述べたように米国にとってはThank you ,Jun!
なのだから反対するわけが無い 外国為替の性格として年間税収の70%にも上る(50兆円×70%=35兆円)介入は異常であるとの批判は欧米で余無いどころではない 爺だって批判しているのである

Q:積みあっがた外貨準備高は100兆円 売るに売れない巨額の外貨資産は日本政府にとって為替変動リスクを抱え込んだのでは?
A:外国為替資金特別会計の累計運用益は35兆円、その内20兆円を一般会計に繰り入れてきた 長期に見れば損はない
爺の感想:
質問がお粗末;売るに売れない=紙くずとは言わないが物と物との交換する時の符票に過ぎないのだよ ドル表示の値札 外貨準備高のうち70-80%は米国財務省証券で保有していて自由に処分できないのである アメリカの借用証文を保有しているのであって借り手(米国)が倒産するとの発想が無い 当然溝口氏にはそこに言及しないし発想もないか「利息が払われているから良いではないか」となる
お粗末の限り

Q:ミスタードルと皮肉られた事は
A:感想は無い 日本のために為替介入したのであるから
爺の感想:
大変名誉である!米国の為のも日本の為にもなったのであるからと嘯かなければ
それでこそ高級官僚の長といえる

Q:溝口さん以降為替介入がない 溝口路線が否定されたのでは
A:日本経済が安定したときに為替介入の必要がない、というだけ
爺の感想:
あれ以降為替の相場を市場の動きに任せるとの流れが切れてしまった
爺は主張する 日本の輸出入が入超10兆円を改善し輸出入トントンになる所まで国策を推し進めるれならば円安ドル高維持の為、為替に異常な介入をする必要が無くなり内需が拡大すると思うのであるけど

溝口氏の説明はそれが全てならお粗末であるし、そうでないならもっと説明責任がある

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする