王様の耳はロバの耳

横浜在住の偏屈爺が世の出来事、時折の事件、日々の話、読書や映画等に感想をもらし心の憂さを晴らす場所です

イッセー尾形 「太陽」を見た

2006-09-14 09:17:11 | 天皇家
昨日は朝から雨が降っている こんな日の店番は暇と決まっている 午前中は何とか客もあったけれども午後はぱったり そこで午後は3時半過ぎに店を閉め(どうせ隠居仕事だ)横浜駅傍の映画館にイッセイー尾形主演の「太陽」を見に行った

ロシア映画で監督・脚本がロシア人が作る「昭和天皇」という事で興味はあった 天皇を映像で表現するので日本での公開を危ぶむ声もあったが夏の初め銀座の小さな映画館で上映が決まった この手の映画は「大入り満員にはならないから」横浜で上映する劇場がなければ銀座に見に行くかと思っていたところ(まあまあの入りなのか)各地の映画館でも上映する事となった様だ

さて感想だが監督が何を伝えたいのか爺には良くわからなかった 家に戻り映画評論家山根貞夫氏の評や映画の宣伝文句そしてイッセー尾形氏の芸歴等をみて幾らか整理が付いた

監督アレクサンドル・ソクーロフは激動の20世紀の中心にいた人物のシリーズ3作目(前はヒットラーとレーニン) 物語は昭和20年8月の御前会議の朝から21年1月1日俗に言う「天皇の人間宣言」迄の間を時系列で追う 
映画が始まる 地下壕でのお食事の場 日本語の音声が不明確で何を言っているのか聞き取り難い
加えて何の説明もなく場面の切り替わりで次元が跳ぶので(その極端な例がアルバムを見ながら過去を回想していると次が進駐軍によるGHQ本部への呼び出しとか 又ゆっくりと話は展開するので爺は不覚にも居眠りをしたかも?)誰もが監督の意図についていけるのであろうか? その中の主題は天皇の孤独といらだちや苦悩 そして神である事を辞め人間として再生する そのあり方は太陽のように国民を温め彼らの頭上の暗雲を払うと天皇をして語らせているがそうなのであろうか?
日本人で初老の爺から見るといまいち意図がわからない

イッセー尾形扮する昭和天皇の独白の形により舞台回しが為される まさに舞台の手法であるがイッセー尾形は一人芝居あるいは二人芝居で既に国内外で公演の実績がある そこに監督が目をつけたならば監督の人選は大したものだ 又劇中のイッセー尾形の演技がだんだん頭の中の昭和天皇と違和感無く重なってくる 大した演技だ 
皇居内では侍従長役の佐野史郎との二人芝居 GHQではマッカーサーとの二人芝居
或いは独白 この形式が繰り返される

最後のシーンの皇后役で桃井かおりが登場する 彼女も二人芝居のパートナーとか

雨の平日で350人ほど入るきれいな映画館で30人ほどの入り この後最後の部も似たような人数がロビーで待っていた
この様な興行成績の映画を作るというロシア人の映画魂 或いは日本やハリウッドと違う金の流れ方に敬意を表する

写真はイッセー尾形扮する昭和天皇 かにをご研究中
コメント (8)
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