「神の近くにある」 詩篇73篇1~28節
この詩人は、一つのことで躓き問うていました。「神に支配される世界において、なぜ正しい者が苦悩し、悪人がさばかれずにいるのか」というものです。
Ⅰ 幸いとは何か
3~12節をみますと、「悪人は苦しみがなく、身は健やかで、悩まず、打たれず、肥え太り、民衆に支持され、神を畏れず、富はまし加わっている」との内容が記されています。一方、「義人は苦しみ、打たれ続けていて、時には自分の信仰が無意味なものではないかとさえ疑いたくなる所を通過している」とのものです。詩人はこのことをどんなに考え抜いても理解できずにいます。このことは人間の思考の中で解決できる問題ではないと告白します(16,17)。真の幸いとは、この世の何かではありません。この世のものは一時的ですべて過ぎ去るからです。
Ⅱ 真の幸い
神の前に出て神と交わり、神の言葉をうけなければこの問いの解決はありません。彼は神の臨在の場に出て祈ります。そして神からの言葉を受けます。その内容は、「悪人は必ず滅ぼされる」(18.19.27)ことと、「神の近くにいることが真の幸い」(23,24)であることでありました。彼は、信仰による洞察において解決を得たのです。
キリスト者は、世の成功者といわれている者達を妬む必要はありません。真の幸いは、神と共にいることなのですから。
2013/6/9 説教者 杉本守