山井(中)2勝、館山(ヤ)4勝、スタンリッジ(神)3勝W杯デンマーク日本は25日午前3時半キックオフ
「第11部 医療を支える」
遠野市助産院「ねっと・ゆりかご」でモバイル遠隔健診を受ける妊婦。アットホームな雰囲気で2人の助産師がアドバイスする=岩手県遠野市【01】
遠野市 遠隔医療
「はい、順調です」。脇に置かれたパソコンから、主治医の声が聞こえてきた。
回線でつながれた先は、約40キロ離れた岩手県立釜石病院(釜石市)。6月に出産を控えている遠野市(とおのし)早瀬町の会社員、山内桃子(やまうち・ももこ)さん(24)は、主治医とのやりとりを終え「最近おなかをけられる。元気な証拠ね」と、ほほ笑んだ。
傍らで、助産師の菊池幸枝(きくち・ゆきえ)さん(41)と、昆野幸恵(こんの・さちえ)さん(30)が温かいまなざしを向ける。産科医不在が8年間続く遠野市で、市外の12医療機関と連携し、遠隔健診を行っている遠野市助産院「ねっと・ゆりかご」のひとこまだ。
▽妊婦の負担軽減
今年で発刊100周年を迎える「遠野物語」(柳田国男著)の舞台として知られる同市。県のほぼ中央部にあり、四方を山に囲まれた人口約3万人のまちには、2002年4月からお産を扱う施設がなくなった。
このため、妊婦は健診などのたびに、車で片道1時間以上かかる市外の病院へ通院しなければならなかった。特に道路が凍結する冬場の峠越えは厳しく、肉体的、精神的な苦痛は大きかった。
県立大船渡(おおふなと)病院(大船渡市)の小笠原敏浩(おがさわら・としひろ)副院長(49)が、遠隔医療の導入を市に提案し、経済産業省のモデル事業としてスタート。岩手県産婦人科医会も全面協力し、小笠原副院長が監督医となって07年12月、全国でも珍しい
公設助産院が産声を上げた。
出産は扱わないが、助産師2人が常駐し、テレビ電話などで主治医の指示を受けながら母体管理に努め、適切な出産・入院時期などを助言している。それまで市外に通院していた妊婦や家族の負担は大幅に軽減された。開設から10年3月末までに164人の出産を後押しした。医師不足を補うモデルケースとして全国各地から注目を集め、これまでの視察件数は100件を超える。
▽診療報酬が課題
ただ「遠野方式」の全国的な広がりはまだ見られない。現在の医師法は患者との対面診療を原則としているため、離島などの一部ケースを除いて、遠隔医療は診療報酬の対象外となっていることが一因だ。
4月中旬に視察した枝野幸男(えだの・ゆきお)行政刷新担当相(45)は「こうした市も、離島と同じように遠隔医療が必要とされている。制度も合わせなければいけない」と、医師法改正に前向きな姿勢を示した。
小笠原副院長は「地域医療を守るため、遠隔医療にも保険点数を付け、開業医も参加できるような仕組みにすべきだ」と指摘する。(岩手日報社)
まず、必要な数の医師が確保されて地域医療が充実、さらに「遠隔医療」が進化していく体制がベストだ。関係者のご努力には敬意を表するが、国や県も責任を棚上げにして「遠野方式」を最終目標にしてもらっては困る。
助産師、看護師、医師など関係者には、常に緊張した、気配りケアとサポートが続くのだ。
岩手の「遠野方式」参考にして、さらに充実した国民のための医療体制にしてほしいと願う。
「第11部 医療を支える」
遠野市助産院「ねっと・ゆりかご」でモバイル遠隔健診を受ける妊婦。アットホームな雰囲気で2人の助産師がアドバイスする=岩手県遠野市【01】
遠野市 遠隔医療
「はい、順調です」。脇に置かれたパソコンから、主治医の声が聞こえてきた。
回線でつながれた先は、約40キロ離れた岩手県立釜石病院(釜石市)。6月に出産を控えている遠野市(とおのし)早瀬町の会社員、山内桃子(やまうち・ももこ)さん(24)は、主治医とのやりとりを終え「最近おなかをけられる。元気な証拠ね」と、ほほ笑んだ。
傍らで、助産師の菊池幸枝(きくち・ゆきえ)さん(41)と、昆野幸恵(こんの・さちえ)さん(30)が温かいまなざしを向ける。産科医不在が8年間続く遠野市で、市外の12医療機関と連携し、遠隔健診を行っている遠野市助産院「ねっと・ゆりかご」のひとこまだ。
▽妊婦の負担軽減
今年で発刊100周年を迎える「遠野物語」(柳田国男著)の舞台として知られる同市。県のほぼ中央部にあり、四方を山に囲まれた人口約3万人のまちには、2002年4月からお産を扱う施設がなくなった。
このため、妊婦は健診などのたびに、車で片道1時間以上かかる市外の病院へ通院しなければならなかった。特に道路が凍結する冬場の峠越えは厳しく、肉体的、精神的な苦痛は大きかった。
県立大船渡(おおふなと)病院(大船渡市)の小笠原敏浩(おがさわら・としひろ)副院長(49)が、遠隔医療の導入を市に提案し、経済産業省のモデル事業としてスタート。岩手県産婦人科医会も全面協力し、小笠原副院長が監督医となって07年12月、全国でも珍しい
公設助産院が産声を上げた。
出産は扱わないが、助産師2人が常駐し、テレビ電話などで主治医の指示を受けながら母体管理に努め、適切な出産・入院時期などを助言している。それまで市外に通院していた妊婦や家族の負担は大幅に軽減された。開設から10年3月末までに164人の出産を後押しした。医師不足を補うモデルケースとして全国各地から注目を集め、これまでの視察件数は100件を超える。
▽診療報酬が課題
ただ「遠野方式」の全国的な広がりはまだ見られない。現在の医師法は患者との対面診療を原則としているため、離島などの一部ケースを除いて、遠隔医療は診療報酬の対象外となっていることが一因だ。
4月中旬に視察した枝野幸男(えだの・ゆきお)行政刷新担当相(45)は「こうした市も、離島と同じように遠隔医療が必要とされている。制度も合わせなければいけない」と、医師法改正に前向きな姿勢を示した。
小笠原副院長は「地域医療を守るため、遠隔医療にも保険点数を付け、開業医も参加できるような仕組みにすべきだ」と指摘する。(岩手日報社)
まず、必要な数の医師が確保されて地域医療が充実、さらに「遠隔医療」が進化していく体制がベストだ。関係者のご努力には敬意を表するが、国や県も責任を棚上げにして「遠野方式」を最終目標にしてもらっては困る。
助産師、看護師、医師など関係者には、常に緊張した、気配りケアとサポートが続くのだ。
岩手の「遠野方式」参考にして、さらに充実した国民のための医療体制にしてほしいと願う。