昨晩、宮古地方も
雪が降った。盛岡は吹雪いているという
。
成年後見と選挙権/権利剥奪、時代遅れ
財産を守るために成年後見人を付けたい―。そう願う障害者や認知症のお年寄りから、選挙権を一律に奪う公選法の規定を、14日の東京地裁判決は「憲法違反で国際的な潮流に反する」と断じた。
障害者の権利擁護が世界的に進む中で立ち遅れ、利用者数も低迷する日本の成年後見制度。
ハンディのある人が安心して暮らせる社会とは程遠く、制度の抜本的な見直しが急務だ。
▽自己決定の尊重
「権利を守るという制度の趣旨にまで踏み込んだ画期的な判決だ」。日本成年後見法学会理事長で、中央大の新井誠(あらい・まこと)教授(民法)は判決をこう評価する。
成年後見制度は2000年、認知能力が十分でない人の財産管理や契約を手助けするため、禁治産、準禁治産制度に代わって導入された。
判決は「禁治産制度ができた明治時代とは状況が変わり、高齢者や障害者の自己決定の尊重や、普通に生活できる社会をつくるという新しい理念で設けられた」と言及。選挙権を行使できる人からも権利を奪うのは「制度の趣旨に反する」と“時代遅れ”を指摘した。
欧州では、障害者への差別を禁止し、社会参加を促進する国連の障害者権利条約が採択された06年以降、選挙権の制限を見直す動きが目立つ。
フランスは07年、後見開始時に裁判官が個別に選挙権を維持するかどうか判断するよう法改正。欧州人権裁判所は10年、日本のように後見人の利用で選挙権を一律失うハンガリー憲法の規定を「欧州人権条約に抵触する」と判断。ハンガリーは昨年、憲法を改正した。
▽ナンセンス
日本も07年に障害者権利条約に署名し、批准のための国内法整備を進めている。だが、条約は「投票や選挙の機会を確保する」と明記しており、訴訟の原告弁護団の一人、国学院大法科大学院の佐藤彰一(さとう・しょういち)教授(民事訴訟法)は「公選法の規定を削除しない限り、批准は難しいだろう」とみる。
成年後見の先進国とされ、日本が参考にしたドイツ。人口の約1.6%に当たる約130万人が利用する。1992年には法律が全面改正され、後見人が付いても選挙権を一律に失うことはなくなった。
後見人の支援団体を運営するヨヘン・エックスラーケーニヒさん(39)は「投票権は人生に欠かせない権利。剥奪はナンセンス」と断じる。剥奪しないと、第三者が誘導して特定候補に投票させる不正が起きるとの国側の主張には「確かに不正はあるだろう。だが、そのリスクよりも、自己決定権の尊重の方がはるかに大切だ」と話す。
▽車の両輪?
日本の成年後見制度は介護保険と同時に導入され、当時は「高齢社会を支える車の両輪」とうたわれた。だが、12年時点で認知症の高齢者が約300万人と推計されるのに対し、同年末時点で後見を受けている人は約13万6千人(最高裁集計)。人口の0.1%にすぎない。
一方、国民生活センターによると、認知症や知的、精神障害で判断能力が十分でない人が高額な商品を購入させられるなどの相談は毎年、1万件前後も寄せられる。
新井教授は「日本は後見の必要な人に支援が届いているとは言い難い。選挙権を失うなどの権利制限や公務員になれないといった欠格事由があることも、利用が少ない原因の一つ」と指摘。
「国は欠格事由をなくすとともに、判決を機に制度全体を見直し、裁判所と福祉を担う行政機関のネットワークをつくるなど、利用を促進するための体制整備を急ぐべきだ」と話している。
(2013年3月14日(木) 共同通信社)
成年後見制度の利用によって選挙権がはく奪される。マスコミ・新聞等から厳しい指摘が続く。
ご批判も前向きに考えて、できるだけ全部オープンにしたいものだ。
国が作った法律に基づいて、家庭裁判所が審判して成年後見人が選任される。後見類型は投票する権利もなくなる訳だ。
当然ながら利用する際に詳しく説明してきたと思うのだが、投票権がほしい人は成年後見制度の利用をやめるしかない。
キツイ選択だ。家裁は、もつれたトラブルを調整したり、審判で白黒をつけて解決を図る場所だと思うが、後見事案も「事件」として扱う感覚に対して、いまだに違和感がある。
司法の改革と言いながら、家庭裁判所も権威の象徴で、敷居が高く、気軽に行ける場所ではない。
こうした家裁が行う成年後見の実務に対しても、東京地裁の判決はお灸をすえているように思えてならない。
憲法違反と判っていて成年後見類型の手続きが出来るだろうか・・?申立を家裁が受理してくれるだろうか・・・?
早急に、対策を講じないと成年後見制度を利用する人がいなくなる心配がある。
私の周辺にも成年後見制度を利用して権利を守らなければならない人がたくさんいる。
施設や行政が責任を持って守ってくれるなら、それでも良い。
家族が責任を持つなら最良だ。
では、一人暮らしの方はどうするのか?、家族と疎遠になっている方はどうするのか?
国民・住民が1人1人、人生の将来に向けた覚悟を決めておかなければいけない時代だ。
身体が弱った時に誰に託すのか・・・?どんな老後を望み、介護はどうするのか、看取りの最後は・・?
こうした人生を支える仕組みの1つに成年後見制度があるべきだ
。