



高齢受刑者ら出所後の支援センター 福島県、開設遅れ
約1000人の男性受刑者が服役する福島刑務所。受刑者の高齢化などが進み、出所後の生活を見据えた対策が迫られている
高齢・障害者の受刑者が出所後、スムーズに福祉サービスを受けられるよう準備を進める「地域生活定着支援センター」の開設が、福島県で遅れている。既に全国38道府県で業務がスタート。ことし4月には青森でも始まる予定で、東北では福島だけが取り残される形になった。県は新年度予算にようやく支援センターの整備費を盛り込んだが、まだ何も具体化しておらず、実際に業務が始まるまでの道のりは遠い。
<「突然、県事業に」>
「そもそも国の事業だったのに、2009年3月に突然、県が事業主体だと説明された。支援対象者はどれくらいで(国が補助する)1700万円で何ができるのか、十分検討してから始めなくてはならなかった」
開設が遅れている理由を福島県社会福祉課はこう説明する。
支援センターは受刑者のうち高齢者や障害がある人を支えるのが目的。出所後に受け入れてくれる施設を探したり、必要な福祉サービスを受ける準備を進めたりする。
服役している段階から出所後の生活環境を整えることで、出所後に生活苦に陥って再犯に至るような事態を防ぐのも狙いだ。
国は09年7月、事業に必要な予算を計上し、各都道府県に1カ所ずつ設けるよう求めた。国の補助は一律1700万円になる。
ただ「元受刑者の福祉」の重要性に対する認識は各都道府県で温度差があり、業務開始の足並みはそろわなかった。
<青森4月業務開始>
東北では09年12月~10年4月、岩手、山形、宮城、秋田の4県で業務が開始された。青森県でもことし1月、県社会福祉協議会が運営することが決定。予算案が可決されれば、4月に業務がスタートする。
しかし福島県は新年度予算案にようやく、センター費用を盛り込んだ段階にとどまる。肝心の運営方法となると「県直営になるのか、それとも別の団体に委託するのかは、まだ決めていない。開設時期も新年度中としか言えない」(社会福祉課)と具体化にはほど遠い状況だ。
支援センターの運営を任せる団体を選ぶのは難しい。宮城県は09年9月に予算案を通過させながら、運営団体を決めるのに手間取り、業務開始が10年2月にずれ込んだ。
福島県社会福祉士会(郡山市)の島野光正会長は支援センターの重要性を強調しつつ「職員は高齢者だけでなく障害者の制度にも精通し、経験を積んだ人材が求められる。出所者への社会の偏見に対し、受け入れを促すため社会に働き掛ける姿勢も必要だ」と指摘する。
<一日も早く実現を>
福島市では昨年8月、約2年に及んだ住民の反対運動を押し切り、仮出所者が生活する国営の「福島自立更生促進センター」の運営が始まったばかり。更生保護は住民からマイナスのイメージを抱かれている側面もある。
だが支援センターの対象となるのは働くことが難しく、そのまま社会に出ればホームレスになりかねないような人たち。福祉によるサポートは欠かせない。
福島保護観察所の井坂巧所長は「支援センターができれば、孤立無援の人たちに新しい道筋を示すことができる。スタートしていない県は少なくなっており、一日も早く実現してほしい」と話す。 (2011年02月21日 河北新報)

「自立更生促進センター」や「地域生活定着支援センター」の開設は関係者の期待の1つだ。しかし、地域・地元の皆さんの不安は募るばかりである



