銀幕大帝α

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隣人 -The Neighbors-

2014年10月20日 02時21分13秒 | 韓国サスペンス
THE NEIGHBORS
2012年
韓国
110分
サスペンス/ホラー
劇場未公開



監督:
キム・フィ
『ホラー・ストーリーズ2』
出演:
キム・ユンジン
キム・セロン
キム・ソンギュン
マ・ドンソク




<ストーリー>
カンサン団地で発生した連続殺人事件。恐怖に怯えて生活していた住民たちは、とあることをきっかけに102号室に住む男性を疑い始める。



-感想-

こりゃまた韓国映画からとんでもない大傑作が生まれちゃいましたなぁ。
幾ら嫌韓が日本でも広まっているからとは云え、之ほどまでの高レベルな作品、劇場未公開にしちゃいかんでしょ。
あの国は嫌いだが、映画は娯楽の1つであって、また別だと思うんだがなぁ私は。

ある日無惨に殺されその死体を遺棄された少女。
犯人は正に題名通りの「隣人」の男。
この犯人はマンションの一階に住んでいるのだが、部屋がやけに広く、地下室まである。
その地下室こそが、殺した人間を解体する場所。

この犯人を中心にして、殺された少女の義母、違う棟に住む少女の姿に良く似た同級生、同じくマンションに住むヤクザな男、カバン屋のオヤジ、その隣のピザ屋の宅配青年、そしてマンションの(殺人容疑で身を潜める)管理人と、多くの人物が次々と絡んでくる。
この一見全く関わりの無い人々が、入れ替わり立ち代りに殺人鬼の部屋を訪れたり、駐車場で揉めたりするものだから、静かに事を進めたい犯人としては苛立ちが徐々に募りだし、終には全員抹殺という暴挙に出る。
実はその裏には殺した少女の亡霊の姿を度々見るようになり、精神的に病んできていたというのが最後に分かるのだが、犯人は自分の顔を知られた者達を全員消す事で、気持ち的にも安らぐ上に、亡霊を見るという悩みからも解放されて、そのまま遠くへ逃げたかったのだろう。

だが然うは問屋が卸さないのが本作の醍醐味。
「どいつもこいつも俺の邪魔をしやがって!」と犯人が吼えるのも当然、彼に関わった者全員が以前から犯人の行動を怪しんでいた為に、それぞれに「救出」「仕返し」「仇討ち」目的で地下室へと雪崩れ込んでくる。

事の全てに決着をつけたのは例のマンション管理人。
最後に階段上で見せた笑みから予測すると、彼にとっても自分に優しくしてくれた少女が生きていてくれた事で、少しばかりだが罪滅ぼしが出来たと自覚し、更に日々悩まされ続けられていた悪夢をも浄化し得たので、自然とあのほほ笑みが浮かんだのかもしれないな。

そして同時に、生前時、母子の関係に大きな溝があったのが、この事件解決によって殺された少女にも、彼女と自然に接するのが下手だった義母にも、ようやっと本来有るべき笑顔と愛が宿り、二人共々に明るい道が前に開けるんだよね。
鬼畜な殺人鬼のせいで胸糞悪い気持ちを持ったまま観続ける事になるが、エンドロール前に後日談として再び取り戻した平穏な日常を描く事で、私自身かなり気持ち良く観終える事が出来ました。
韓国映画の持ち味はこういう風に余韻をしっかり残して終わらせる上手さにあり、その点で言うと邦画はまだまだ負けているなぁと思う。

少女を拉致し結局殺してしまった犯人の目的は何だったのか、カバン屋のオヤジは何故に暗証番号を教えなかったのか、鳥の件はどういう伏線があったのか(あ、これは柿をくれた少女への鳥なりの恩返しか。停電起こしてヤクザ男を逃がせたし)、色々と後から思えば疑問に思う部分もあるっちゃあ有るが、観ている間は気にもならなかったから、もうそういうのこの際どうでも良いよ。
冒頭から事の顛末で一時も目の離せない優れた作品でした。

評価:★★★★★
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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは♪ (yukarin)
2014-10-20 14:55:07
またしてもすごい作品でちゃいましたね。
すっかり日本は負けてしまっております、、、
最初から犯人がわかってての緊張感は半端なかったです。
しかし母と子の微妙な関係を描くことで後味が悪い終わり方にならなかったのが良かったです。
未公開なのが本当にもったいないですね。
返信する
Unknown (ミス・マープル)
2014-10-20 15:33:11
確かによく考えるとあれ?と思うシーンもありましたが、全体に漂う雰囲気や団地内の人間模様などがうまくかみ合ってとても面白い作品になっていました。
日本では未公開だったんですね。テーマがちょっと問題だったのかなあ。
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>yukarinさんへ (ヒロ之)
2014-10-21 00:02:45
こんばんは!
コメントありがとうございます!
この作品が劇場未公開?て思う程に良く出来たストーリーでした。
まぁ少女が殺されて・・・という部分に日本の配給会社は難色を示したのかもしれませんが。
犯人が分かっておきながらの、この緊張感ですものね!
ストーリーの運び方が上手いですよ。
後味良く終わるってのが大きな救いでした。
返信する
>ミス・マープルさんへ (ヒロ之)
2014-10-21 00:06:12
こんばんは!
こちらにもコメントありがとうございます。
そうなんですよね。
後から、あそこは・・・?と思う部分が出てくるんですが、観ている間は気にもならない位に引き込まれちゃっていましたから、かなりの演出力が高い作品だったと思います。
テーマが少女殺害ですから、そこが日本では駄目だったのかもしれませんね。
返信する
こんにちは (maki)
2015-04-04 09:29:01
なんでこう韓国映画ってコミカルとサスペンスのバランスが素晴らしく上手いのでしょうか
同じ脚本家ってわけでもないでしょうに、
出てくる出てくる傑作が。
だいたいは韓国人らしい「恨」の強い話ではあるのですが、
ま~これが面白い。
マンション特有の嫌らしい部分も出ていたりして雰囲気も良いですが、なにより、あれだけのキャラが出ているのにごっちゃにならないというところが本当に凄い!
返信する
>makiさんへ (ヒロ之)
2015-04-04 15:31:08
こんにちは!
それだけ教育がきちんとされているんでしょうね。
日本の監督はポッと出の人や、そこそこに経験は積んでいるものの適当な脚本書く人ばかりですもの。
韓国の監督や脚本家は本当に厳選されていると思います。
それがレベルの違いに大きく出ているようにも思えます。
これも日本じゃ未公開でしょ?
日本映画なら日本アカデミー賞レベルですよ。
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