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映画 プリズナーズ(2013)娘さんを持つお父さんは必見です 

2017年05月25日 | 映画(は行)
 この世の中、誘拐事件が全くもって後を絶たないが、もし娘を持つ父親にとってそれが現実として起きてしまったら、その時父親はどのような行動に出るだろう。
 俺がそんな場面に出くわしてしまったら、きっとアタフタするだけで、ひたすら「娘が無事に帰ってきますように」と手を合わせて祈り続けるか!?

 誘拐事件をテーマにしたサスペンス映画なんかは掃いて捨てるほどあるが、今回紹介する映画プリズナーズは娘を誘拐された父親の行動に対して、そのモラルの是非を問いかける。
 大事な娘を誘拐されたんだから、あらゆる手段を使ってでも娘を取り返すのは父親として当然の責務だろうと思えたりするが、本作におけるヒュー・ジャックマン演じる熱すぎるお父さんの行動は観ている誰もが、次第にこれは法的にも道義的にもアウトだろうと思えてくるのだが・・・。

 さて、父親のモラルを問いかけるだけでなくサスペンス映画の醍醐味であるスリル、衝撃度、よく練られた展開においても非常に優秀なストーリーの紹介を。
 敬虔なキリスト教徒であるケラー・ドーヴァ(ヒュー・ジャックマン)は妻と息子と娘を連れて近所の友人のフランクリン(テレンス・ハワード)家で感謝祭パーティーを行っていた。その最中にケラーとフランクリンの両家の幼い娘が一緒に外へ出かけるが、何時まで経っても帰ってこない。
 この事件を担当するロキ刑事(ジェイク・ギレンホール)は失踪現場とみられるところに止まっていた不審者であるRV車を発見。乗っていたアレックス(ポール・ダノ)と言う青年を捕まえて尋問するが、彼は10歳程度の知能しか持っていなかった。止む無く証拠不十分でアレックスは釈放されてしまうのだが、アレックスの言動をつぶさに見ていたケラーは彼が娘を誘拐したことを確信しており、警察が証拠不十分ですぐに釈放したことに怒り心頭。
 ケラーは逆にアレックスを拉致監禁して、顔が変わるほどの拷問を加えて娘たちの居場所を聞き出そうとするのだが・・・

 ケラーは日頃から防災意識が高く、その意識付けを息子にもしっかり教えているのだが、そんな父親でもアッサリと娘の誘拐事件に巻き込まれてしまう展開にいきなりショックを受ける。しかも、いつ何時もお祈りを欠かさないように篤いクリスチャン。それなのに神にまで見放されてしまったのかと思うとダブルでショックを受けてしまう。
 次第に観ている我々も、きっとこれは幼い娘たちは助からないな~と思わせるような演出がされており絶望感が満載。しかし、娘を取り戻したいお父さんのケラーだけは違った。いささか理性が崩壊してしまっているが、父親の娘に対する愛情は凄いし、強烈な信仰心からくる行動は絶対に娘を生きて帰って来させるんだとういう執念を感じさせる。
 このようなお父さんを見せられたら、今後は父の日に見てほしい映画としてこれからは本作を挙げざるを得ない。
 そして本作は日本人には苦手な宗教が重要な要素になっている。本来なら宗教は人間を癒す役割を果たすはずなのだが、本作は宗教に裏切られた感のある人間達が多く登場する。しかし、俺に言わせれば宗教に頼り切っているのがダメ。だいたいよく「世界が平和になりますように」なんて祈っている人を見かけるが、はっきり言って祈っているだけでは永遠に世界に平和はやってこない。祈った後に必ず具体的な形として実行しないとダメだ。また神様は実行力のある人間を愛しているのは、ちょっと聖書をかじって読んでみればすぐわかる。
 そういう意味では本作のお父さんなんかは、俺から見れば宗教との付き合い方は大変好ましく思える。確かに度が超えてしまっているが、この世の中は法やモラルだけでは解決できない問題はたくさんあるだろう。
 しかし、事件の真相は意外性があって驚きに満ちているし、緊迫感を煽る演出は楽しいし、そしてホイッスルが巧みに活かされたラストシーンは本当に素晴らしい。
 また、キリスト教に詳しいだけでなく北欧神話に詳しい人が見るとロキ刑事という名前から色々と想像できることがあり楽しめるだろう。2時間半の長い時間が少々ネックだが、それでも決してダレルことは全くない。何だかまだまだ良い所を紹介しきれなかった気もするが、今回は映画プリズナーズをお勧め映画として挙げておこう

プリズナーズ [DVD]
ヒュー・ジャックマン,ジェイク・ギレンホール,ポール・ダノ,ヴィオラ・デイヴィス,マリア・ベロ
ポニーキャニオン


プリズナーズ [Blu-ray]
ヒュー・ジャックマン,ジェイク・ギレンホール,ポール・ダノ
ポニーキャニオン


 監督はカナダの俊英ドゥニ・ヴィルヌーヴ。この人の映画は今までに灼熱の魂複製された男ボーダーラインと観てますが、どれもお勧め。ラストシーンがどれも印象的です。
 
 
 
 

 
 
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映画 バード(1988) チャーリー・パーカーの伝記映画

2017年05月09日 | 映画(は行)
 先日、音楽バトルムービーのセッションを観たが、あの映画からパッと頭の中に浮かんだのが今回紹介する映画バード
 セッションの中で、たびたびジャズの天才の代名詞で使われていたのがチャーリー・パーカー。それまでのマンネリ化しつつあったジャズに革命をもたらしたサックス奏者として現在でも人気の高いミュージシャンだが、そんな彼の伝記映画だ。
 ちなみにタイトル名のバード(Bird)は鳥の意味だが、チャーリー・パーカーの愛称として、今日においてもその呼び方が定着している。

 モダン・ジャズの原型となるビー・バップの創始者であるチャーリー・パーカー。彼の偉大な生涯を2時間半を超えるロングドライブで描いた映画だ、と言うのは半分ぐらいは嘘。
 正直なところ観ていて彼の偉大さなんか全く俺には伝わってこなかったし、それどころか麻薬、アルコール漬けで、だらしないダメダメな男にしか見えなかった。

 さて、ジャズ好きな人ならば誰でも知っているチャーリー・パーカー。なぜ、彼は天才と呼ばれたのかが理解できる?ストーリーの紹介を。
 1954年、娘を亡くしたショックから自殺を図ったチャーリー・パーカーことバード(フォレスト・ウィティカー)。入院先の精神科の病院で自らの半生が走馬灯のように脳裏を横切る。バードが16歳の時に見たヘロイン中毒で遺体となってしまった父の姿。そしてコンテストの最中に下手くそだったためにシンバルをブーメランのように投げられたことを。
 1943年、ニューヨークのクラブでデイジー・ガレスビーサミュエル・E・ライト)と組んでビー・バップの創始者として売れ出した頃、彼はダンサーだったチャン(ダイアン・ヴェノーラ)と出会い、結婚し二人の娘を儲ける。
 やがて彼らは活動の場をニューヨークから西部へ拡げていこうとするが、彼らの音楽は西部の人からは侵略者とののしられ失敗に終わる。それ以降、バードのアルコールの量は更に増えていくのだった。
 その後、ニューヨークに戻ってのジャズクラブのバードランドの開店、アメリカ南部での旅巡業、パリでのコンサートを成功させていくのだが、良い時期は長く続かない。麻薬捜査官の手が彼の周辺に伸びてきて、冒頭の方で描かれたように娘を亡くし自殺未遂を起こしてしまう。
 音楽でしか生きることが出来ないバードは再起を誓うが、既に彼の身体はボロボロで・・・

 2時間半を超える長い時間をかけているだけに、バードの多くのナンバーが豪快に挿入され、聴くことができる。本作の監督であるクリント・イーストウッドはジャズ好きなだけあって、演奏シーンにかなり力が入っているのがわかる。
 そして麻薬、アルコールがバードの音楽的才能を覚醒させ、女性の存在が彼の才能を磨き続ける。この辺りの展開は、なぜか説得力がありすぎだ。
 そして、クリント・イーストウッド監督らしくラストを観ている者に余韻が残るように締める。バードの死亡年齢は34歳。年齢だけを考えると若過ぎる死だが、本当に彼の人生は短かったのだろうか!?彼の死体状況は観ている我々に何を問いかける?。
 セッションは観たが本作をまだ観ていない人、チャーリー・パーカーの演奏するジャズ音楽が好きな人、クリント・イーストウッド監督作品は好きな人、自分のことを天才だと思っている人等に今回はバードをお勧め映画として挙げておこう

バード [DVD]
フォレスト・ウィテカー,ダイアン・ベノラ
ワーナー・ホーム・ビデオ


 監督は前述しているようにクリント・イーストウッド。元々は荒野の用心棒ダーティー・ハリーといったアクション俳優として売れ出したが、今や映画監督としてすっかり巨匠としての座を得た感がある。
 前述したようにジャズ好きなだけあって本作以外にも音楽関連の映画にも傑作を遺しているが、そちらの方のお勧めとしてセンチメンタル・アドベンチャージャージー・ボーイズを挙げておこう。 

 

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映画 アメリ(2001) 幸せな気分になれます

2017年05月07日 | 映画(あ行)
 DVDのパッケージなどで見ると女の子の絵面がちょっと不気味に感じるが、実際に映画を観たらなかなか可愛いフランス娘。そんなパリジャンヌが周囲の人々を幸せにするために、パリ中を奔走するのが、今回紹介する映画アメリ
 今、気づいたのだが実はこのパリジャンヌと俺には共通点があった。それは自分が幸せになることを忘れて、周囲の人が幸せになるために行動していること。
 滅私奉公をモットーに生きている俺だが、時々俺の生き方って損しているよな~なんて思うことがある。しかし、本作を観終えた後、俺のような人間もこの世の中には必要だと実感することができた。

 さて、ちょっと生まれた環境が悪かったために人とのコミュニケーションが苦手になり、空想することが大好きな可愛いらしい女性主人公であるアメリ。そんな彼女がショボいいたずらを駆使しながらも周りを幸せな気分にするおとぎ話のようなストーリーの紹介を。

 フランスのモンマルトが舞台。両親の冷淡な性格や大きな勘違いのおかげで、学校に登校することもできなかったアメリ(オドレイ・トトゥ)。おかげで少女時代はひたすら孤独で、いつしか現実よりも自分が想像する空想の世界を好むようになり、そのまま大人になってしまった。たまに気晴らしですること言えば、近くのサン・マルタン運河で石を投げて水切りをすることぐらい。
 そんなある日のこと、ひょんなことをきっかけにアメリの運命を変えるようなことが自宅で起きる。それ以来アメリは、悩んでいたり、悲しんでいたり、いじめられている人々を人知れず喜ばすことに生きがいを感じるのだが・・・

 可愛らしい外見、ピュアな気持ちを持っているオドレイ・トトゥ演じるアメリを見ているだけでも俺なんかは胸がキュ~ンとなってしまうのだが、独特な映像表現、カメラワーク等のビジュアル面でも惹きつけられるし、時々放たれるギャグも、この監督らしいブラック・ユーモアが炸裂していて、かなり笑える。
 アメリが手を差し伸べる人といっても、自殺しそうになるほど困っている人を助けているわけではない。そのまま放っておいても今まで通り生活できる人ばかりであり、実は何の助けも要らない人ばかりに手を差し伸べている感すらある。しかもアメリの行っている事は決して自分に恩返しとして返ってこないことを彼女は知っている。でも、本作を観終えた後に幸せな気分になるのはなぜだろう。

 実は幸せって小さな喜びから得られるものであり、ごく日常的な出来事の中にも幸せを見つけることができるのだ。ちなみに本作はフランス本国では大ヒットしたが、日本でも大ヒットした。このような映画がヒットするということは、まだまだ日本という国には希望があるということだ。
 そうは言っても私利私欲にまみれた人間が日本にもたくさん存在する。すぐに恩返しを求める人間を多く見てきたが、そういうのを露骨に目の当たりにすると、本当に嘆かわしい。
 本当に困っている人を助けるのならば、恩返しを求めるのではなく、誰かが言っていたが恩送りでなければならない。
 自分の善意ある行動がなぜ報われないのかと悩んでいる人、金持ちになることが幸せだと思っている人、笑いと感動の両方を求めている人、何だかとっても素敵な気分になりたい人・・・等に今回はフランス映画のアメリをお勧め映画として挙げておこう

アメリ [DVD]
オドレイ・トトゥ,マチュー・カソヴィッツ,ドミニク・ピノン
パンド


 監督はジャン=ピエール・ジュネエイリアン4の監督でもあるが、独特の世界観のストーリー展開を見せてくれる監督。ロスト・チルドレンデリカテッセンミックマックがお勧めです。 


 

 


 
 
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映画 眺めのいい部屋(1986) 英国らしさを感じさせます

2017年05月04日 | 映画(な行)
 イギリスといえば階級社会。イギリスを舞台にした文学、映画となると階級社会がテーマとして何らかの形で扱われているのが殆ど。シェイクスピアのロミオとジュリエットよろしく、映画で大ヒットしたタイタニックしかりだ。
 そりゃ~、身分の違いによる障壁が高ければ高いほど男女の仲が燃え上がるというのは映画の題材としてはうってつけ。
 英国出身のE・M・フォスターの同名タイトル小説を原作とする映画が今回紹介する眺めのいい部屋。原作者はもちろん、イギリス人のスタッフとキャストが勢ぞろいした本作はまさに階級社会をテーマにした恋愛映画。
 ありふれたテーマだがイギリスの郊外の綺麗な風景、華やかな衣装、音楽は聴き心地が良くて、全体的にイギリスらしい気品が漂う映画だ。そしてイタリアのフィレンツェの文化遺産も見せてくれるように観光気分にも浸れるようなお得感が本作の特徴だ。
 
 また個人的にこの映画の設定として、何かと堅苦しいイギリスと情熱的なイタリアという二つの国が活かされているアイデアに感心した。イギリスに閉じこもっていた女子が、外国に出てみると解放感から本当の恋愛に目覚めようとする女性の心の機微が上手に描かれている。

 まあ、俺もそうだが本当に好きな人を前にすると素直になれない自分に発破をかけたくなるストーリーとはいかなるものか。
 1907年、イギリスの中産階級の令嬢ルーシー(ヘレナ・ボナム=カーター)は、だいぶ年配にあたる叔母のシャーロット(マギー・スミス)を付添人にしてイタリアのフィレンツェにやって来た。
 イギリス人が多く泊まっているホテルに来たものの、案内された部屋は窓から見た景色が眺めのいい部屋ではなかったためにシャーロットは文句たらたら。
 食事中も不平を言っているシャーロットに対し、同じイギリス人の宿泊客であるエマソン氏(デンホルム・エリオット)とその息子のジョージ(ジュリアン・サンズ)の父子から、自分たちが泊まっている眺めのいい部屋との交換を申し出てくる。
 シャーロットは階級社会の常識にとらわれないエマソン氏の態度を不快に思いながらも部屋を交換する。
 ルーシーはイタリア滞在中にフィレンツェの観光を楽しみ、次第に今まで会ったことのないタイプの男性であるジョージに惹かれるようになっていくのだが、結局その恋は実らずイギリスに帰って上流階級に属し、教養のあるセシル(ダニエル・デイ=ルイス)と婚約するのだが・・・

 せっかく向こうから素敵な景色を見ることができる部屋の交換を申し出てきているのだから、喜んで引き受けたら良いじゃん、なんて俺なんかは思ったりしたのだが、このあたりのイギリス人の感覚は、ちょっと日本人には理解しがたいものがある。階級社会に捉われた変なプライドが垣間見ることができるシーンであり、本作における全体的なテーマになっている。
 そしてこの映画のクライマックスだが中産階級に属するヘレナ・ボナム=カーター演じる乙女チックな女性が果たしてどっちの男性を悩みながら選ぶのか、ということ。上流階級に属していてウロウロしながら本ばかり読んでいる男か?それとも労働階級でありながらも一緒に飲むと楽しく思える男か?
 個人的には女性に声をかけるのが恥ずかしくて。勤勉家の俺とよく似たタイプである上流階級の男の方を選んでやれよ!と思ったりしていたのだが、金が無くても一緒に居て楽しい方をやっぱり選んでしまうよな。
 男どもが全裸で走り回っているシーンが見苦しくも感じるが、ビジュアルの面では文句のつけようがなく、読書した気分にもなれるように芸術的センスが高い映画。ラストシーンは女性ならきっとウットリするはずだ。
 文学作品を映像化する見本のような映画として今回は眺めのいい部屋をお勧め映画として挙げておこう

眺めのいい部屋 HDニューマスター版 [DVD]
ヘレナ・ボナム=カーター、デンホルム・エリオット、ジュリアン・サンズ、ダニエル・デイ=ルイス、マギー・スミス
アネック


 監督はジェイムズ・アイヴォリー。本当にこの人は上品な映画を撮る印象があります。他では本作と同じくE・M・フォスターの小説を映画化したハワーズ・エンド日の名残りが良いです。 

 


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映画 セッション(2014) 熱い音楽バトルです

2017年05月01日 | 映画(さ行)
 「若き天才」かつては俺もそのように言われたことがあった。しかし、今や40歳代も半ばを超えても、孔子の論じるところの不惑の40歳どころかフラフラしてばかり。実は俺って「大器晩成」じゃん、なんて思う今日この頃である。
 さて、野望を秘めた若き天才ドラマーと体罰教師も真っ青のスパルタ鬼教師である指揮者の熱いバトルが繰り広げられるのが今回紹介する映画セッション。男の意地と誇りをかけた激しいぶつかり合いに観ている誰もが熱くなれる映画だ。
 しかし、熱きバトルとは別に個人的に感銘を受けたのが、真の天才になることの苦しさと厳しさ。生まれて持った才能が輝くあまり、俺を含めて若き天才と言われた人間が古今東西において多く登場したが、大した功を成し遂げずに露のごとく消えていった人間がなんと多いことか!。
 真の天才になるために汗と血を流し続け、好きになった女性ともお別れ、精神的にも追い詰められなければ真の天才になれないことが、本作を観ていれば理解できる。実際に観終わった後に俺にはその資格も適正もないことに愕然としショックを受けた。まあ、俺には無理

 さて、一流ドラマーを目指す若き天才ドラマーとスパルタ指揮者との熱いバトルの結末はこれいかに。それではストーリーの紹介をしよう。
 一流ドラマーを目指してアメリカの名門音楽学校であるシェイファー音楽学校に入学したアルフレッド・ニーマン(マイルズ・テイラー)は、ある日のことドラムを叩いていたら、この音楽学校の最高指揮者であるテレンス・フレッチャー(J・K・シモンズ)から彼が率いるシェイファー音楽学校の最高のバンドにスカウトされる。
 しかし、フレッチャーがキレキレのスパルタン指揮者。彼のいじめ同様の指導はニーマンを精神的に追い詰めていく・・・

 ストーリー的には一度挫折した男が再起をかけて立ち上がろうとする話。と言うよりも一度は持ち上げておいて二度挫折させられているか。俺なんかだと一度の挫折で再起不能に陥ってしまうが、真の天才はドン底の挫折を味わっても自らの力で這い上がることができる。
 まあ、この世の中這い上がることができずに自らの命を断ってしまう人が多いが、その理由がこの映画を観れば何となくわかった気になる。
 自尊心を傷つけられた男同士の争いなんかは、普通はみっともないとしたものだが、本作はそれ故に盛り上がる。マニアックなジャズの知識があれば本作をもっと楽しめる気がするし、もっと俺が若ければ細かくリズムを刻みながら打ち続けるドラムの演奏をマネしてみたいところだ。
 いつまでも天才という言葉に踊らさせられて人生を損している人には、きっと癒しを得られる?映画セッションをお勧め映画として挙げておこう

セッション コレクターズ・エディション[2枚組] [DVD]
マイルズ・テラー,J・K・シモンズ
ギャガ


セッション コレクターズ・エディション [Blu-ray]
マイルズ・テラー,J・K・シモンズ
ギャガ


 監督は最近もラ・ラ・ランドが好調なデイミアン・チャゼル。全く知らない監督だと思っていたら、まだ30歳代前半の若さ。これから新作が発表されるたびに期待が持てる監督ですね。


 


 

 
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映画 未知への飛行(1964) 核戦争の恐怖を描く

2017年04月30日 | 映画(ま行)
 我が国ニッポンのお隣の朝鮮半島ではミサイルを盛んに飛ばすだけでなく、核実験も繰り返し行っている。今や世界で一番の危険区域に日本はあると思うのだが、どうやら我が国民の多くは、日本が核兵器を持つことに対しては大声で反対と叫んでいる割りに、よその国が核兵器を持つことに対しては殆んど非難もしないし、核兵器を力づくで廃止させようとする気など毛頭もないらしい。もはや北朝鮮の暴走を止められるのはアメリカの軍事力だけなのか。
 米ソ冷戦時代においては一歩間違えれば本当に核戦争が起きるような雰囲気があったという。そして当時ハリウッドでは核戦争をテーマにした作品が多く作られた。その中でもスタンリー・キューブリック監督の博士の異常な愛情と今回紹介する映画未知への飛行は双璧をなすだろう。

 さて核兵器を持つことの恐ろしさを描いた内容のストーリーの紹介をしよう。
 米ソ冷戦時代において。アメリカ空軍のグレディ大佐率いる核搭載爆撃機の編隊の巡回飛行中に指令が下される。それは「ソ連の首都モスクワを核攻撃しろ!」。仕方なくグレディ大佐はモスクワに向かうのだが、実はアメリカの軍事コンピューターの誤作動によるミス。早速アメリカ政府は対策を協議するのだが、グタグタしている内にグレディ大佐率いる爆撃機の編隊はフェイル・セイフを超えてしまう。それは大統領が命令しても引き返さないことを意味していた。
 アメリカ合衆国大統領(ヘンリー・フォンダ)がクレディ大佐に命令しても、当然の如く無視して規約どおりにそのままモスクワへ向かう。大統領は核戦争を回避するために、ソ連首相とホットラインを通して対策を練るのだが・・・

 博士の異常な愛情は核戦争の恐怖を悪ふざけのノリで描いていたが、本作は極めて真面目に描いている。ヘンリー・フォンダ演じる大統領なんかは、現在のアメリカ合衆国大統領よりも大統領らしく見える。
 しかし、本作を観ていると核兵器が存在している限り、ヒューマン・エラーだけでなく、あらゆる原因で核戦争が起きてしまう可能性があることに気付かされる。ましてや今や核兵器を持っている国が有数あり、北朝鮮のような狂った独裁者が支配している国も持っていることを考えると、俺なんかは不安で安心して寝られない。
 核兵器が投下されそうになる緊迫感は相当なものだし、ラストではヘンリー・フォンダ演じる大統領の苦渋の選択に驚き、世界を動かすリーダーの責任感の重さを実感させられる。まあ、今観れば何だか違和感のある描写があったりするように思うが、米ソ冷戦の緊迫感の真っ只中に制作された映画として観ると本作の凄さを感じることができるだろう。
 今や何かと油断のならない情勢が日本の近くで起こっているが、だからこそ観ておきたい映画として未知への飛行をお勧め映画として挙げておこう

未知への飛行 - フェイル・セイフ - [DVD]
ヘンリー・フォンダ,ダン・オハーリヒー,ウォルター・マッソー,フランク・オバートン,ラリー・ハグマン
Happinet(SB)(D)


 監督は社会派サスペンスの分野で多くの傑作を遺したシドニー・ルメット十二人の怒れる男セルピコ狼たちの午後ネットワークがお勧め。


 


 

 
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映画 アメリカン・スナイパー(2014) 伝説の狙撃手の自伝映画

2017年04月23日 | 映画(あ行)
 イラク戦争でアメリカ海軍の特殊部隊ネイビーシールズの狙撃手として160人もの敵を射殺し、伝説と呼ばれた男であるクリス・カイルの自伝映画が今回紹介するアメリカン・スナイパー。伝説と呼ばれるだけあってその腕はピカイチ。2キロ先の相手でも狙い撃つ凄腕だ。
 それだけに戦場では味方にとっては非常に頼りになる英雄として崇められ、俺がアメリカを守るんだという使命感からせっせと敵を撃ち殺す。ところがある日のこと、今日もいつも通りに照準を定めて狙撃銃を構えていると、ふと自分の行動に疑問が生じる。果たして俺のしていることは本当にアメリカを守るためなのか?と。
 父親から教えられたことを信念として行っていたことが、音を立てて脆くも崩れ落ちていくその姿から、そこには伝説も無ければ、英雄も存在しない。伝説と呼ばれたアメリカンな男であるクリス・カイルの精神崩壊は、古き良きアメリカの価値観そのものを問いかける。

 善悪の境界線を明確にする難しさを、あらゆるテーマで描き続けるクリント・イーストウッド監督。そのテーマ性は本作でも遺憾なく発揮され本国アメリカでは保守とリベラルで論争が起こった。観る人によっては賛否両論真っ二つに別れ、また人間の二面性を考えさせられるストーリーの紹介を。
 愛国心に駆り立てられ海軍に入隊し、厳しい訓練をクリアしたクリス・カイル(ブラッドリー・クーパー)はやがて特殊部隊ネイビー・シールズの狙撃手としてイラク戦争に派遣される。戦闘場面で味方が撃たれそうになっているのを、いち早く察知して逆に敵を狙撃し、多くの仲間を救ってきたクリス・カイルは伝説と呼ばれるようになる。その一方で、敵からは悪魔と呼ばれ、彼自身の首に18万ドルの賞金を掛けられる。
 しかし、彼には戦場での大活躍とは別にアメリカ本国に置いてきている家族との間に次第に溝が出来はじめ、四度に渡るイラク派遣において次第に精神を病んでいき・・・

 父親から『羊を襲ってくる狼から守る番犬になれ!』、すなわち弱き者が襲われていたら助けられる人間になれ!と言われるのだが、クリス・カイルはその言葉を実行し、俺もこのオヤジ良いこと言うね~なんて思った。しかし、ストーリーが進んでいくうちに、カイルだけでなく観ている我々も気付く。アメリカを守る使命感が強すぎて、すっかり家族を守ることを忘れてしまっていること。そして番犬どころか狼になってしまっていること。一人のスナイパーを描きながら、アメリカが抱えている問題を同時に描き出してしまうクリント・イーストウッド監督の手腕は凄い。
 人間の内面を辛辣に描くだけでなく、砂塵に巻き込まれながらの戦闘シーンもそこら中にあるようなアクション映画を凌ぐ出来栄え。緊迫感、悲壮感、迫力を大いに感じる。さらにはアメリカのテロ対策がドロ沼にはまってしまっている理由がなんとなくわかる。
 そしてこの映画の価値を更に高めているのがエンディング。こんな結末が待っていることは作っている側もわからない。時に映画は時代を先読みするが、さすがにこれは読めない。そして、このエンディングのおかげで本当に奥が深い映画になったし、俺個人としてだが感動させられた。
 80歳を超えても楽々と大傑作を世に送り出す映画監督クリント・イーストウッド。観終わった後も余韻に浸れる映画として今回はアメリカン・スナイパーをお勧めとして挙げておこう

アメリカン・スナイパー [DVD]
ブラッドリー・クーパー,シエナ・ミラー,ルーク・グライムス,ジェイク・マクドーマン,ケビン・ラーチ
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント




 
 
 

 
 
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映画 エンゼル・ハート(1987) オカルト風サスペンス映画です

2017年04月13日 | 映画(あ行)
 ビックリ仰天の結末と謳われるサスペンス映画は現在に至るまでたくさんあるが、正直なところ俺自身がそのような映画を観て驚いたことは殆んどない。なぜならそのようなオチはもう既に今回紹介する映画エンゼル・ハートで見せてくれているからだ。本作を初めて観た時はヘェ~!と驚いた。しかし、この映画を観てからは、他の映画でラストのどんでん返しを期待させられても、ア~、やっぱりね!で終了してしまう。しかし、今でもこのようなオチの作品が懲りずにドンドン出ているから、これから本作を観る人にとっては逆に驚けないかもしれない。だが本作には、西洋人の宗教観、悪魔崇拝、ブードゥ教の儀式、占いなどが薄気味悪さを感じさせるうえに、名優ロバート・デ・ニーロが登場時間は短いものの不気味な雰囲気を醸し出す。

 早速だがオカルト風なサスペンスであり、ホラー的な要素も感じさせるストーリーの紹介を。
 1955年、ニューヨークのブルックリンでしがない私立探偵をしているハリー・エンゼル(ミッキー・ローク)のもとに、弁護士を通じてルイ・サイファー(ロバート・デ・ニーロ)から調査依頼を受ける。それは失踪した戦前の人気歌手だったジョニーの行方を調べること。
 少ない手掛かりをもとにしてジョニーのかつての知り合いを訪ねて行くのだが、なぜか出会った人間が片っ端から殺害されてしまい、迷宮入りへ追い込まれそうになるのだが・・・

 水戸黄門が行くところに必ず事件が起きるように、ミッキー・ローク演じる私立探偵が出会う人物がことごとく殺されてしまう。また、殺され方がエグイ。しかも、ミッキー・ローク自身が何者かに追いかけられたりして、叩きのめされたりもする。
 それでもダシール・ハメットやレイモンド・チャンドラーの推理小説に登場する私立探偵ならば、真相を知るまでトコトン追求するが、この私立探偵は途中で降りようとする。いかがわしさを感じさせる宗教、占いが絡み、やっと見つけたぜ!と思った人が、次に出会う時はひどい姿で死体になってばかり。そりゃ~降りたくなる気持ちもよくわかる。
 しかし、笑えるのがロバート・デ・ニーロ演じる依頼人が、降りようとするミッキー・ロークに、頼むからジョニーを見つけてくれよ!と言いながら報酬金をドンと引き上げると、結局はカネに目が眩んでジョニー探しを続行してしまう。まあ、俺だったらどれだけカネを渡されてもやらんな。

 なかなかストーリーは複雑で、日本人には理解し難い宗教が絡んだりするので、ちょっとややこしく感じられるかもしれない。でも、途中で話についていけなくなってもラストで思い出させてくれるから、意外にわかった気分になれる。そして、結末だが驚くだけでなく、当時人気絶頂で格好良くて、俺もよく似てると言われたミッキー・ロークが泣き叫ぶシーンを見ると哀切も感じさせられる。
 音楽の使い方も印象的で、にわとり、扇風機、螺旋階段、エレベーターの使い方が巧みで不気味さを感じさせるし、エロシーンにおける描写も容赦なく血の雨を降らすように妥協というものが一切ない。戦前と現在、ニューヨークとニューオリンズ、俺とお前。時間、場所、人間が違うのに実はどこかでつながっていることを感じさせる構成もテクニックを感じさせる。
 ありきたりのサスペンス映画には飽きた人、ちょっと不穏なムードが漂う作品が見たい人、私立探偵の仕事に憧れている人、全盛期のミッキー・ロークを観たい人等にお勧めしたい映画として今回はエンゼル・ハートをお勧めしておこう。

エンゼル・ハート [DVD]
ウィリアム・ヒョーツバーグ
パイオニアLDC


 監督はアラン・パーカー。名作、傑作を多く残しているが、ここでは死刑制度をテーマにしたサスペンス映画ライフ・オブ・デビッド・ゲイルをお勧めとして挙げておこう。





 
 

  
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映画 ゴーン・ガール(2014) フィンチャー節が炸裂です

2017年04月10日 | 映画(か行)
 多かれ少なかれ結婚生活に憧れる人はいるが、今回紹介する映画ゴーン・ガールを観れば、理想的な結婚生活とはどういうものかよくわかる、と言うのは嘘。実はこの映画の主人公達は誰もがうらやましがる様なロマンチックな出会いをし、愛し合いながら結婚したはずの素敵なカップル。幸せになるしかないように思われた夫婦は一体どこで歯車が狂ってしまったのか、偽りに満ちた結婚生活が暴かれた時に、夫婦の絆ってかくも弱いものだったのかと、観ている我々は知らされる。
 しかし、突拍子もない展開をたどって行くのを見せられて、こんな夫婦はいね~よ!なんて思ったりしたのだが、観終わった後に俺の思っていることが180度変わってしまった。夫婦の関係ってこんなものだよね~って。サスペンスタッチの映画の宣伝文句に衝撃の結末というフレーズがよく使われるが、本作の結末は普通の家族が望んでいるところに落ち着いたことに、ある意味で衝撃を受けた。

 次々に驚きの展開が連続するだけにネタバレ厳禁のタイプの映画。実は前述していることですらネタバレの可能性が少々あるのだが、ほんの少しだけストーリーの紹介を。
 ミズリー州の田舎が舞台。非常にめでたい五回目の結婚記念日において、ニック(ベン・アフレック)は家に帰ってみると、その光景に驚く。妻のエイミー(ロザムンド・パイク)が失踪したことに気付いたのだ。警察も直ぐに駆けつけ、エイミーは有名人の娘でもあり、家の中で争った形跡があることから事件の可能性があると捜査を始める。
 ニックは勧められるままにテレビの記者会見に出て、エイミー失踪の手掛かりを呼びかける。しかし、なぜかニックにとって不利になる証拠が次々に出てくる。やがて彼は警察や世間から犯人じゃないのかと疑われてしまい・・・

 外見からして魅力的な美人妻はどこへ消えてしまったのか?というミステリー感で楽しませてくれるのかと思いきや、大体的なマスコミ報道でわかってくるのは、美人妻がどこへ消えてしまったのか?ではなく、ニックのいい加減な結婚生活。マスコミによる1人の人間に対する集中砲火を浴びせるかの如くのような報道の仕方は日本でも最近見られるが、まさにニックがそんな状態。捏造、印象操作、大衆を煽るこの報道の仕方は、もし自分の身にかかったとなると怖い。
 他にも警察は殆んどニックを犯人と決め付けて捜査をするし、雇った弁護士は無罪を晴らすことよりもカネに興味のある奴だったり、社会に対する警報を同時に描いてしまうあたりなんかは、さすがセブンの監督であるデヴィッド・フィンチャー。凶器を使ったシーンも含めてフィンチャー節が炸裂している。しかし、なんて言ったってドン引きさせるのは女性の恐ろしさ。5年間夫婦をやってきて、奥さんの本性を知らなかった旦那のアホさも相当だが、あらゆる面で旦那を上回る頭のキレが凄い。
 サスペンス映画が好きな人を充分に満足させる面白さがあり、大人の男女なら満足できる。それに「俺は女の事は全てわかっているんだ」と豪語している男には特にお勧めできる。更に、あんまりいい加減なことは書けないが、個人的には夫婦で一緒に観るのがお勧めの方法。観終わった後に議論すればきっと白熱すること間違いなし。いずれにしろ最近のサスペンス映画では味わえない余韻に浸ることができるゴーン・ガールを今回はお勧め映画として挙げておこう。

ゴーン・ガール(初回生産限定) [DVD]
ベン・アフレック,ロザムンド・パイク,ニール・パトリック・ハリス,タイラー・ペリー,キャリー・クーン
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


 監督は前述したデヴィッド・フィンチャー。凝ったビジュアル、脳ミソを刺激するような作風が俺のお気に入り。セブンファイト・クラブの有名どころはお勧めだし、衝撃的な結末という点ではゲームが良いです。




 
 
 



 
 

 

 
 
 
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映画 ミュンヘン(2005) 実録スパイ映画です

2017年04月06日 | 映画(ま行)
 1972年にドイツのミュンヘンでオリンピックが行われた。しかし、平和の祭典であるはずのオリンピックに悲劇をもたらしたのがミュンヘンオリンピック事件。イスラエルの選手団11人を黒い九月と名乗るパレスチナ過激派グループが殺害した事件。
 ミュンヘンオリンピック事件の顛末を描くだけでも充分にサスペンスフルで面白い映画が出来そうなものだが、本作はその後のイスラエルの諜報機関モサドの暗殺部隊による黒い九月の幹部に対する報復作戦の様子が実話を基にじっくりと描かれている。
 本作の監督はユダヤ人のスティーヴン・スピルバーグなだけにイスラエルに肩入れした作品になるかと思いきや、意外にもそんな単純なイデオロギーに満ちた映画ではなかった。
 彼が凄いのは一つの事を切っ掛けに多義に渡るテーマを内包した作品を撮りあげてしまうこと。本作が制作された30年以上前の出来事から、祖国、家族、戦争、人間性、復讐・・・といった普遍的テーマを本作品にぶち込んだ。
 しかし、そうは言っても平和ボケした日本人が観れば色々と驚きの場面が登場する。国家公認の暗殺部隊の存在、国を持たない民族の悲劇、各地で繰り広げられるスパイの暗躍など。しかし、驚くといっても世界を見渡せばこんな事はアッチコッチで行われているのは当たり前のこと。この映画の出来事が現実だと思わせない日本って本当に素敵だと感じる。

 実は本作を観ていて最も驚いたのがモサドにに対する俺が持っていた認識の甘さ。古今東西においてモサドが最も優秀な諜報機関であり、そこに属するスパイの連中も一寸のスキもないぐらいストイックで、愛国心に満ち溢れ、特殊能力を兼ね備えていて、うつ病になんかならないと思っていたのだが、意外にも粗だらけ。
 爆弾作りの担当者なんてオモチャを作るのが専門だったり、ハニートラップに引っ掛かる奴がいたり、家族が心配で仕事に集中できなかったり。この辺りは俺が今まで抱いていたモサドのイメージを大きく変えてくれたし、スパイも人間なんだという当たり前のことに気づかせてくれた。

 さて、スパイ映画と言うよりも社会派映画と言った方が正しいストーリーの紹介を。
 1972年のドイツ、ミュンヘンでのオリンピックが開催している頃、イスラエル選手団の宿舎に黒い九月と呼ばれるパレスチナ過激派集団が乱入。成り行きで2人を殺し、残りの9人を人質に立てこもる。彼らの目的はイスラエルの投獄されている200人以上の同志の解放。しかし、西ドイツ側のまずい対応もあり人質はみんな殺害。生き残った黒い九月のメンバーは逃亡してしまう。
 自国民を殺されたイスラエルは決して黙って見過ごさない。ゴルダ・メイヤ首相はモサドの長官を呼び出し、今回の事件に関係した黒い九月のメンバーの幹部11人を報復をするように命令する。モサドはアヴナー(エリック・バナ)をリーダーとする専門知識を持った5人の暗殺部隊を組織し、リストに載ったメンバーを一人ずつ消していくのだが・・・

 暗殺部隊の5人は当初こそは祖国のために正義の行いをやってきたと信じていた。しかし、他人を巻き添えにしたり、リストに載っていない人間を暗殺したり、挙句の果てに逆に自分の命を狙われたりするうちに、本当に自分のやっていることは祖国のためにしていることなのか?と次第に疑問を抱き始める。
 なんせ現在においても自国民を殺している独裁者を消し去っても、新たにさらにひどい暴君が誕生したり、テロリストの温床になってしまっているのは誰もが承知していること。本作においてもそんな矛盾に悩んでいる様子が描かれている。
 銃撃戦や爆発の激しさは目を見張るものがあり、エログロもあり2時間半を超える長い映画だが全く退屈させない。しかも、色々と深読みのしがいのあるテーマが隠されているのだから、大人の観賞にもってこいだ。
 イスラエルという国に興味のある人、スパイについて詳しい人、スリルを求めている人、なぜ中東は争いが絶えないのか知りたい人等には特にお勧めできる。
 数々の名作、傑作、楽しい映画を遺してきたスピルバーグ監督作品の中でも上位の部類に入る優れもの。まあ、結局のところ高校生以上の人ならばお勧めということで今回はミュンヘンをお勧め映画として挙げておこう

ミュンヘン スペシャル・エディション [DVD]
トニー・クシュナー,エリック・ロス
角川エンタテインメント


 監督は前述しているように今や巨匠としての貫禄もあるスティーヴン・スピルバーグ。誰もが知っている映画ばかりですが、個人的には彼の作品で最も好きな映画としてアミスタッドをお勧め映画として挙げておこう。





 
 

 
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映画 メメント(2000) 時系列が逆向きで進みます

2017年04月05日 | 映画(ま行)
 アイデアは斬新で、主人公のキャラクター設定はありそうであまり見かけないタイプの人間で、次から次へと謎が出てくる楽しい映画が今回紹介するメメント
 本作の構成は時系列が逆向き、いきなり結論から始まって最初の頃に戻ってくる珍しいパターンの映画。ちなみに映画は撃たれて死んでいる男がうつぶせに倒れている場面から始まる。
 そして主人公の男のキャラクターだが、記憶障害を患っている。これだけなら多くの映画でも見られるが、その度合いがかなり酷い。記憶が保てるのがたった10分だけ。つい先ほど出会った人物のことをまったく覚えていないのだから生活するのにかなり支障をきたす。
 最近なんだか俺もAKB48のメンバーを見ても顔と名前が一致しなくて悩んでいたのだが、俺の悩みなんかちっぽけなものだということに本作を観ていたら気づいた。
 この男のハンデは致命的に思えるが、それを克服しているのが反復行為をしっかり身につけていること。出会った人物、重要な場所、物などは必ずポラロイド写真に撮って収め、名前や重要なことは必ずメモに残す。しかも、その残し方がハンパではなく、超重要事項は自分の身体に刺青として残しておく徹底ぶり。おかげでこの男の首から下は刺青のメモだらけ。
 俺はよく仕事中にメモをとりなさいと指摘されることが多いが、この男を見ているとメモをとることの重要さにきづかされた。

 それではネタバレ厳禁のタイプの映画なので、いつも以上に気をつかったストーリー紹介を。
 ある事件を切っ掛けにレナードは(ガイ・ピアース)は、その前のことはしっかり覚えているが、それ以来10分間だけしか記憶を保てない深刻な記憶喪失に陥っている。忘れてもいいように出会った人物の顔、場所の写真を撮りまくり、メモをのこす。そして彼の身体に刻まれた「ジョン・G」という名前。レナードは自らの目的を遂行するために、ジョン・Gを探すべくアッチコッチと動きまくるのだが・・・

 わずかな時間しか記憶がもたないって苦労するから可哀そうだよな~なんて思いながら見てたら、本当に可哀そうなのは物忘れが激しいことを良いことに悪人から利用されてしまっていること。麻薬、身代わり、金絡みといった悪企みに巻き込まれている様子が気の毒になるぐらいなのだが、不幸中の幸いというか俺の心配をよそに彼は自分が利用されていることを全く覚えていないのが、チョッと笑える。
 しかし、観ている最中は次から次へとネタを提供してくれるので頭の中がフル回転状態。一つネタが出てくるたびに、すぐにネタを明かしてくれるパターンだったら単純なのだが、答えが明かされないうちに「ハイ、次~」って感じでネタを出してくるものだから、手を抜いて観ている時間がない。
 また、出てくる奴らが嘘つきが多いので観ていて何が真実なのかわからなくなってくる。実は俺だって本作を何回も観ているのに未だにモヤモヤした気分になっている。そんな俺は本作の監督であるクリストファー・ノーランの術中にハマってしまっていて、何回も観直してしまうのだろう。
 本作の主人公と同様に観ている我々の記憶力も試されている気分になったりもするが、結末はなかなかの衝撃があり、観ている最中もダレルことなく面白く感じられる。
 見る人によっては面倒くさい構成に感じるかもしれないが、監督、脚本が良いと、こんなに面白い映画を作ることが出来るんだということを理解させてくれる映画メメントをお勧め作品として今回は挙げておこう

メメント [DVD]
クリストファー・ノーラン
東芝デジタルフロンティア


 監督は前述したクリストファー・ノーラン。この監督はまだ若いのにお勧め映画が多数。バットマン ビギンズから続くシリーズ物は最高に面白くて考えさせられるし、マジック対決が次第に力技になっていく感じがするプレステージ、哲学的な感じをうけるSF映画インターステラ、そしてこの監督の才能を感じさせるデビュー作品フォロウィングなどお勧め多数です。  
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映画 ライフ・オブ・デビッド・ゲイル(2003) 死刑制度がテーマ

2017年04月02日 | 映画(ら行)
 ハリウッドというのは死刑制度をテーマにした映画が多い。まあ、だいたいどれもこれも似たり寄ったりみたいなもんだが、扱う題材は同じでも他とは少し切り口で死刑制度の是非を観てる我々に問いかけるのが、今回紹介するライフ・オブ・デビッド・ゲイル。社会派映画ではあるが、娯楽作品として誰もが楽しめる映画だ。
 ちなみに本作の舞台となるのはテキサス州。アメリカっていう国は州の権限が強く、州ごとに制度が違う。例えば消費税のパーセントが違ったり、そしてさらに死刑のある州と無い州がある。とくにテキサス州は死刑を行うことに積極的。最初の方で『この辺りはスタバよりも刑務所の方が多い』なんて台詞が飛び出すが、スタバ好きの俺はチョッと笑ってしまった。そういう点ではテキサス州は死刑をテーマにした映画の舞台になりやすい。

 さて、本作のケヴィン・スペイシー演じる主人公だが、何冊か本を出しているエリート大学教授にして、死刑制度廃止を求める活動家。しかし、この主人公がある事件をきっかけに社会的地位なくし、そのことが切っ掛けで愛する妻子から逃げられてしまう。しかも、自分は冤罪を主張しているのに今やレイプ殺人事件の容疑者として死刑が迫っているという踏んだり蹴ったりの人生。死刑廃止論者が死刑執行されそうになっている状況は皮肉なんて言葉だけでは済まされない気がするが、この男が凄いのは最後の最後に大芝居を放つところ。

 前フリはこのぐらいにしておいて、肝心のストーリーの紹介を。
 大学教授で死刑廃止運動を行っていたデビッド・ゲイル(ケヴィン・スペイシー)は同僚で自分と同じく死刑制度廃止論者のコンスタンス(ローラ・リニー)をレイプ殺人した容疑で死刑宣告をされてしまう。死刑執行が間近にせまって、刑務所の中から突然に敏腕女性記者であるビッツィー(ケイト・ウィンスレット)を指名してインタビューを申し込む。
 ビッツィーはこいつは死刑になって当然だと思いながらも、デヴィッドと面会するのだが、死刑執行前の3日間のインタビューをしているうちに、デヴィッドは実は冤罪なんじゃないかと思い始めるのだが・・・

 エリート教授であったほずのデビッドの人生が転落していく様子から、酒と女には気をつけないといけないことが男性から見ればよくわかる。それはさておきデヴィッドはなぜ同僚の女性を殺すことになったのか、いや本当に殺していないのか等、興味が色々と惹かれるので見ていて全く飽きることがない。一瞬、俺は大学教授をクビにさせられ、更に奥さんと子供と別れてしまうことになって、ヤケクソになって同僚の女性を殺してしまったのか?なんて勘繰ったのだが、そんな単純なストーリーではなかった。
 デビッドが最後に見せる意地と誇りに見ていた俺は大いに感動した。その人の偉大さというのは再起不能なぐらいにドン底に叩き落とされたときにこそ発揮されるのだということが本作を観るとよくわかる。なんて言いながらデビッドってそんなに良い奴だったけ?
 観終わった後は何となく色々と疑問に感じることもあったりするが、ケヴィン・スペイシーを始め、ケイト・ウィンスレットローラ・リニー、その他の実力のある俳優陣の演技に説得力があり、観ている最中は何の違和感もなくストーリーにぐいぐい引き込まれた。それは冒頭からケイト・ウィンスレットがドタドタ走っているシーンを見て、もう少しダイエットしてから撮影に臨めよ!なんていきなりツッコミから始まったのにだ。それぐらい本作のキャストは素晴らしい。
 
 死刑制度は廃止にしたらダメだよな~と思っている立場の人間が本作を観終わった後にコロッと考え方が変わるとは思わないが、それでも死刑制度及び冤罪について問いかけてくるものがあるだろう。社会派映画にありがちな堅苦しさはいっさい無く、必要以上にあおるサスペンス感は観ていて楽しく、それでいてエロと意外性もある。誰が観ても楽しいと思わせる映画として今回はライフ・オブ・デビッド・ゲイルをお勧め作品として挙げておこう

ライフ・オブ・デビッド・ゲイル [DVD]
ケビン・スペイシー,ケイト・ウィンスレット,ローラ・リネイ,ガブリエル・マン,マット・クレイヴン
ジェネオン・ユニバーサル


 監督は社会派サスペンス映画には定評のあるアラン・パーカー。他にお勧めとして反戦映画だったのか?と思えるバーディ、人権問題に切り込んだミシシッピー・バーニング、今のどんでん返し系のサスペンス映画に影響を与えまくっているエンゼル・ハート、キッツイ描写がインパクトのある脱獄ムービーのミッドナイト・エキスプレスが良いです。





 
 

 
 

 




 
  
 
 
 
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映画 グラディエイター(2000) ローマ帝国が舞台の歴史劇か? 

2017年03月30日 | 映画(か行)
 今日ではローマ帝国が始まって以来、最も平和で繫栄していたと評価される1世紀末から2世紀末にかけての五賢帝時代。優れた皇帝が五人続いた珍しい時代がローマ帝国にもあったわけだが、その中でも最後の皇帝が哲学者としても有名なマルクス・アウレリウス。その息子であり、父親とは違って皇帝の座を自らの娯楽のために利用したのがコンモドゥス。親子でありながら何かと対照的な二代にわたる皇帝が治めていたローマ帝国を時代背景に描いたのが、今回紹介する歴史映画グラディエーター
 歴史映画と聞くと世界史が苦手な人は何かと敬遠しがちで、観ていても人間関係や事実関係が把握できずに、結局は長い時間だけが過ぎてストーリーに付いて行けなかった、ということを多くの人が経験しているだろう。しかし、本作については、そんな心配は全くの無用。もちろん皇帝マルクス・アウレリウスを知らなくても大丈夫。だいたい本作は歴史的事実なんか殆んど無視して作られているし、ストーリー自体がどん底に陥った男が立ち上がるという、誰が観ても熱くなれるド定番の展開。本作から歴史を学ぼうとするのは間違った考え方で、頭の中をすっからかんにしてして観るのが正しい観賞の仕方だ。

 
 さっそくだが、歴史劇では無く、人間ドラマであるストーリーの紹介を。
 ゲルマニア遠征において、ローマ帝国軍の総司令官であるマキシマス将軍(ラッセル・クロウ)は蛮族との戦いに苦戦しながらも勝利する。しかし、その一部始終を見ていた皇帝アウレリウス(リチャード・ハリス)は戦いには勝ったものの味方の兵が多く討ち死にしたことにローマ帝国の衰退が近いことを感じていた。しかし、それ以上に皇帝アウレリウスを悩ましていたのが自らの老いによる後継者問題。彼には嫡男である皇太子コンモドゥス(ホアキン・フェニックス)が居るのだが、コレがとんでもない野心家で素行が悪い。けっきょく次の皇帝に最も信頼している部下であり、人望が厚く、高潔なマキシマスを指名する。
 そのことを知った皇太子コンモドゥスは父親の皇帝アウレリウスを殺害し、皇帝の座を略奪。そして自分に従わない態度をとったマキシマスを処刑しようとし、更にはマキシマスが故郷に置いてきた愛する妻子を惨殺する。なんとか処刑を逃れたマキシマスだったが、変わり果てた妻と息子を見て疲労とショックで意識を失い、気付いた時には奴隷として飛ばされていた。
 生きる目的を失ってしまったマキシマスだったが奴隷たちの中で剣闘士(グラディエーター)としてメキメキと頭角を現していき、思わぬ形で今や皇帝として暴政を行っているコンモドゥスと再会するのだが・・・


 日頃からローマ帝国のために血と汗を流して働き続けた将軍マキシマスだったが、奴隷に陥ってしまう。しかも愛する家族は無残な姿で殺されている。そりゃ~、誰だってこんな目に遭ったらショックで立ち直れない。しかし、彼を立ち上がらせたのが、誰にも止めることができない復讐という言葉。とにかく皇帝コンモドゥスの卑劣な計略をことごとくすり抜けて、対決シーンにまで持っていく展開に興奮を感じさせる。しかし、さすがはリドリー・スコットと言うべきか、復讐は本当に正義なのか?といった疑問を観ている我々に投げ掛けるような結末は考えさせられるし、人間の大事な物は何かということを感じさせる。
 冒頭からの戦争シーンからしてハートが燃えるし、豪華コロッセウムを舞台にした戦いにおいても興奮する。ストーリーだけでなく映像の面でも惹きつけられるし、勇壮な気分になれる音楽も観ている我々が戦っている気分になれる。
 とにかく勧善懲悪がハッキリしていて、迫力充分の戦いの数々はアクション映画が好きな人にお勧めできる。そして息子を持っている父親ならば大いに感動できる仕組みになっているのも好感が持てる、ということで今回はグラディエーターをお勧め作品として挙げておこう。

グラディエーター [DVD]
ラッセル・クロウ,ホアキン・フェニックス,コニー・ニールセン,オリヴァー・リード,リチャード・ハリス
ジェネオン・ユニバーサル


 監督は今や名作、傑作を多く残しているリドリー・スコットエイリアンブレードランナーといった古典的SF映画作品はお勧めできるし、戦争映画であるブラックホーク・ダウン、中東で暗躍するスパイ映画ワールド・オブ・ライズ、本作と同じく歴史劇であるが奥深いテーマが隠されているキングダム・オブ・ヘブンが良いです。




 
 




 

 
 

 
 

 
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映画 翼よ!あれが巴里の灯だ(1957)リンドバーグの自伝です

2017年03月26日 | 映画(た行)
 人類史上、初めて無着陸飛行でニューヨークからパリまで大西洋横断に成功したのが、日本の音楽グループの名前の由来にもなっているチャールズ・リンドバーグ。そんな彼の伝記映画が今回紹介する翼よ!あれが巴里の灯だ。名匠ビリー・ワイルダー監督の演出の巧みさが光る傑作だ。
 リンドバーグが単独飛行で大西洋を横断したことぐらいは多くの人が知っているが、そのいきさつについてはあんまり知らないだろう。なんせその偉業が達成されたのは今から90年前の1927年のこと。そんな時代の飛行機でニューヨークからパリまで無着陸で、しかも一人ぼっちでたどり着こうなんて現在に生きる我々が想像しても無謀という言葉がすぐに浮かんでくる。

 なぜ彼は命を懸けてまでチャレンジ精神を発揮することができたのか?、そして彼はなぜ奇跡的に大西洋横断に成功したのか?それでは行動力抜群のアメリカ人らしさを大いに感じさせてくれるストーリーの紹介を。
 1927年において、ニューヨークからパリまで(パリからニューヨークまでもオッケイ)を無着陸飛行で、最初に成功した飛行士に贈られる2500万ドルの賞金を目指してリンドバーグ(ジェームズ・スチュアート)は挑戦することを決意する。しかし、彼の前にも何人もの飛行士が挑戦するのだが多くのパイロットが志半ばで失敗していた。
 その時は郵便配達の飛行士に過ぎなかったリンドバーグは全くの無名であり、スポンサー募集、飛行機設計に苦労するのだが、誰もが大西洋横断に成功していないうちに、ようやく飛び立とうかというところまできた。
 自らが設計に携わった飛行機にスピリットオブセントルイス号と名付け、いよいよニューヨークを飛び立ちパリを目指すのだが、前日から興奮して寝れなかったことによる睡魔に襲われたり、飛行機全体に氷が付着して重さで墜落しそうになったり、今どこを飛んでいるのかわからなくなって迷子同然になったり、様々な困難に飛行中に出遭うのだが・・・

 当時の飛行機の様子が映画の中でも見られるが、これがかなり危ない。機械工学や物理学などなんだか非常に怪しい当時において、こんな飛行機で飛んだのかと唖然とする。だいたい飛行中に前が見えない飛行機って何だ!
 しかし、アメリカ人のでっかい賞金をぶら下げられて飛びついてしまうチャレンジ精神はあんまり褒められるような気がしないが、優柔不断で奥ゆかしい性格の俺から見れば少し羨ましい気になったりする。
 しかし、リンドバーグは運が良いのは確かだが、それだけでは寝ずに33時間以上も掛かって大西洋を横断できるわけがない。
 飛行機を運転しながらも地図を見て、距離、時間、燃料の必要数をアッと言うまにしてしまう計算力、どこを飛んでいるかわからなくても経験と知識によって導かれる方向を把握する力、まるまる三日間ぐらい寝なくても一人で飛行機を操縦してしまう(当時の飛行機は二人乗りが常識)恐るべき体力、どれだけ孤独でもハエ一匹とでも仲良くできる交友力・・・等によって彼は偉大な功績を遺すことができた。彼の一人だけの力では無理だったということだ。

 前述したハエ、女性から渡される手鏡など小物の使い方が抜群にうまいし、ところどころでリンドバーグの過去の出来事を挿入したりする構成が非常に巧みな映画。丹念に描かれ、重苦しい感じはなく、ユーモアも入れたりで、それでいてちょっとしたスリルも味わえたりで、この手慣れた演出は流石はビリー・ワイルダー監督だ。
 今まで自分はチャレンジすることがなかったと思ってる人、スリルと笑いと感動を一つの映画の中だけで求めている人、お金にどん欲な人等に今回は翼よ!あれが巴里の灯だをお勧め映画として挙げておこう

翼よ! あれが巴里の灯だ [DVD]
ジェイムズ・スチュワート,マーレイ・ハミルトン,バートレット・ロビンソン
復刻シネマライブラリー


 監督は前述したビリー・ワイルダー。サスペンス、コメディ、社会風刺など幅広い分野で名作を残しているのが凄い。とりあえず俺の大好きな映画として今回はアパートの鍵を貸しますを挙げておこう。
  

 
 

 
 
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映画 レッドクリフ PartⅡ -未来への最終決戦-(2009) 赤壁の戦いがついにクライマックスへ

2017年03月24日 | 映画(ら行)
日本でも大人気の三国志。その中でも前半のハイライトである赤壁の戦いを描いた実写版のレッドクリフ。前フリの余興はレッドクリフ PartⅠで描かれたが、いよいよ本作のレッドクリフ PartⅡでクライマックスが訪れる。
 吉川英治の三国志に慣れ親しんだ日本人には三国志の主役って劉備、途中からは孔明だったような印象があるが、映画版のレッドクリフシリーズにおいてはアジアの大スターであるトニー・レオンが演じる周喩だ。総司令官の役割のような周喩だがレッドクリフ PartⅠの最後の方の戦いで、関羽、張飛、趙雲に戦いを任せておけばいいのに、後ろの方で黙って椅子に座っていることが出来ずに猛然と敵に戦いを挑んでいくシーンに周喩ってこんなに武闘派だったけ?、と三国志好きの俺も驚いた。もちろん本作でも剣を持って戦うし、アクロバチックなアクションを見せてくれる。
 PartⅠに比べて火薬の量を増やしたかのようなアクションは見ていて俺のハートが熱くなるし、それ以上に俺の気持ちを燃えさせてくれるのが、どれだけ身体に矢が突き刺さっても立ち上がって戦う武将たち。微熱ぐらいですぐに寝込んでしまう俺は大いに反省させられた。

 さて、これぞジョン・ウー監督だと思わせるストーリーを簡単に紹介を。
 中国全土制覇と絶世の美女である周瑜(トニー・レオン)の奥さんの小喬(リン・チーリン)を我が物にしようと南下してきた曹操(チャン・フォンイー)の80万の大軍が赤壁に押し寄せてくる。それを迎え撃つ孫権・劉備の連合軍はわずか5万。しかも、曹操の卑劣な疫病作戦で苦境に追い込まれる。
 すっかり怖気づいてしまったのか劉備(ヨウ・ヨン)は部下を引き連れて撤退。しかし、孫権(チャン・チェン)と部下である指揮官の周瑜、そして天才軍師として誉れ高い孔明(金城武)は曹操の降伏の要求にも屈せず、自らの命よりも大切な物を守るために戦うことを決意。そして三国志最大の戦いである赤壁の戦いの幕が切って落とされるのだが・・・

 最初の方は頭脳戦が繰り広げられる。金城武演じるチョッとひょうきんな孔明が知力、知識を活かして流石は天才軍師だと思わせてくれる。そして決戦に突入してからの水面までも火でいっぱいになる戦いは見るからに熱い。しかし、それ以上に俺が熱く感じたのがデブ助と呼ばれる孫権の妹(ヴィッキー・チャオ)と敵方曹操の部下との友情。まるまるストーリーから消しても良さそうな二人の関係が描かれているが涙が出そうになるこの熱さが流石はジョン・ウー。彼の映画はこうでなくっちゃならない。
 また、その奇麗さから単なるビジュアル担当に思えたリン・チーリン演じる小喬も、祖国への熱い想いが突き動かす行動も見ていて感動するし、我らが日本代表の中村獅童にもとっておきの場面があったりで興奮する。
 ジョン・ウー監督の映画が好きな人はもちろんのこと、ド派手なアクションが好きな人にはお勧めできるし、三国志について大して興味のない人にもお勧め。もしかしたらPartⅠを観ていなくても、いきなり本作から観ても楽しめるか。今回はレッドクリフ PartⅡ -未来への最終決戦-をお勧め映画として挙げておこう。

レッドクリフ PartⅠ&Ⅱ スペシャル・ツインパック [DVD]
トニー・レオン,金城武,チャン・フォンイー
エイベックス・ピクチャーズ


 監督は前述したようにジョン・ウー。この人のアクションの見せ方は俺のような単細胞の男には感動させてくれる。男たちの挽歌狼/男たちの挽歌・最終章フェイス/オフ、戦争アクションウインドトーカーズ、SFアクションペイチェック 消された記憶などお勧めありすぎです。 
 

 

  
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