コヒーラ検波器の構造は単純そのもの。アルミ箔の小片をいくつか丸めて電極の間に詰めておくだけです。純度の高いアルミニウムは表面に均一な酸化皮膜を形成し、そのままの状態では電流を通しにくい性質を持ちます。電波を受けるとこの皮膜の性質が局所的に変わるか破壊するかして電流を通すようになります。
電波を受けると抵抗値が下がるコヒーラ検波器は一種のスイッチング素子と言えます。一度電波を受ければ、その後電波が止まっても入りっぱなしのスイッチなので、切る時には手で叩けばアルミの粒がずれて電流が流れなくなります。後にはコヒーラが流した電流でコヒーラそのものを振動させるなどして接続を切る仕組みもできたそうで、こうなると電波の有無でスイッチのON, OFFができますからモールス通信機ぐらいは製作可能です。実際にコヒーラ検波器を使った通信機もあり、タイタニックの事故などを契機に普及したようです。