いーなごや極楽日記

極楽(名古屋市名東区)に住みながら、当分悟りの開けそうにない一家の毎日を綴ります。
専門である病理学の啓蒙活動も。

やっぱり地上波アナログを残そう

2007年11月07日 | たまには意見表明
対談:小寺信良x椎名和夫(1)小寺信良x椎名和夫(2)
 視聴者に期待されているとは言いにくい地上波のコピーガード、「ダビング10」の導入経緯について、また著作権の乱用でコンテンツ利用およびIT政策の大きな障害と見做されてきた「コピーワンス」が本当に著作権団体が望んだものだったのか、小寺さんが対談を通して検証してくれています。

 やっぱり、「消費者代表」があっさり著作権団体と折り合ったことが、膠着状態だった議論を一気に著作権側主導に押しやったのですね。高橋伸子さんは余計なことをしてくれた、と言うべきでしょうか。それとも当初からこのような路線ができていたのでしょうかね。対談ではJEITAの対応が批判されていますが、この委員会で消費者の立場に近いのは間違いなくJEITAです。味方であるはずの消費者代表にも裏切られ、孤軍奮闘の状態では態度が硬化するのも無理からぬことと同情します。

 椎名さんの話によれば、多くのユーザーが疑問に思っていた通り、本当にコンテンツを製作する著作者は録画やコピーを絶対悪と見ているわけではなく、製作に対する正当な評価さえあれば機器の進歩による新しいコンテンツの楽しみ方も許容できるようです。ロビーストと化した著作権団体ばかりが前面に出ることが多いので、どうしても一方的な権利主張ばかりが聞こえてくるのですが、無益な誤解を防ぐためにこのような対談は貴重なものだと思います。「消費者と著作者が対立している」という図式のほうが都合のいい人もいるでしょうが、ね。

 著作権団体にしても、椎名さんのように率直に対談に応じてくれる人ならその立場も主張もわかりやすいのですが、裏から私的録音録画小委員会を操ろうとした人、例えば企業側の立場の人や、コンテンツの録画や編集に対する十分な知識もない人を「消費者代表」の委員として潜り込ませた連中については、このような話し合いも成立せず、消費者として可能な手段で闘う以外にありません。

 消費者として最も強力な手段は「買わないこと」「見ないこと」です。何回も書きましたが、せいぜい静止画の画質向上を引き換えに、消費者がコストを負担して、コピーガードでがんじがらめの地上デジタル放送に移行するメリットなどほとんどありません。このまま地上デジタルへの移行が遅れに遅れれば、2011年にはきっと「アナログ停波の見直し」が政治決着されることになるでしょう。圧倒的なサイレント・マジョリティーの数を無視してきた政策の大失敗です。

 次はパブリック・オピニオンなどで自己主張することでしょう。せめていんちきな「消費者代表」を委員会から引きずり出して、適正な委員を採用することを要求しても損はないと思います。

 アナログでコピーができるのなら、デジタルでもコピーができるように。アナログで編集ができるのなら、デジタルでも編集ができるように。この消費者にとっての「当たり前」が実現されるまで、地上波アナログの拙速な停波には反対します。
コメント
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