レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

淫行疑惑の真相?

2006-08-05 14:26:32 | ローマ
 スエトニウスの『ローマ皇帝伝』は、想像をかきたてるネタの宝庫である。もっとも、ウワサを集めてあるというだけあって、互いに矛盾する記述もあるし、信憑性の高さはバラバラだ。
 さて問題の『アウグストゥス』のロリ疑惑(厳密に言えばロリと処女は違うのだが)、この話とて信用に値するかどうかは怪しい、かといって、無視してそれっきりというのもなんだか芸がない(?)というかズルイ気もするので、なにかそんな醜聞のネタにされるような事実があったとすればどんなんだ?と考えてみた。

 例えば、彼が娼館である女の子に目を留めて関心を示した。主は、あれはただの下働きなのに、と思ったけど、試しに磨いてみたら中々キレイになって売れっ子に成長してしまった。そんな類のことが何度かあったので、「身内にキレイな人のたくさんいる人だけに、美人を見抜く目が肥えているに違いない!」という評判が一部(娼館の経営者とか奴隷商人とか劇団の座長)で立って、将来を鑑定してほしいというわけで女の子たちが連れて来られることがあったーーいわば、子役オーディションみたいなものだった!そういう子たちから若干名、リウィアがひきとって侍女としてしつけたとか。(リウィア直属のコには手を出さないというルールがあった・・・と思いたい)

 私と逆に、スエトニウスの記述をグロテスクな方向に誇張しているのがパスカル・キニャールの『アルブキウス』(フランス文学の棚にあります)。『皇帝伝』よりもエグいです、破瓜の痛みに泣くのを喜んだとかなんとか。リウィアの関与も強く書かれているし。仮に彼が、ぴちぴち(死語)の少女を愛でたとしても、苦しめて喜ぶような嗜虐性はなかったと思うので(根拠はない)このアレンジはとっても不愉快。 もっとも、全体としてすこぶる諧謔に満ちた調子で描かれているので、こういう小説を読む人は内容を鵜呑みにはしないだろうと期待します。

 ティベリウスのカプリの「淫行」説、「お魚さん」、あれは実は寺子屋状態だった!と私は思ってます。取り巻きの友人たちにインテリを集めていたくらいだから、お小姓たち(?)にも学問させていて不思議はあるまい。無学者は側におきたくなかったのだ、きっと。
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2 コメント

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先物買いですか (HAYA)
2006-08-06 12:00:30
芸能人やスポーツ選手など、新人に目をつけてご贔屓にするタイプのファンがいますが、そんな感じなんでしょうかね。



塩野さんは、アウグストゥスが指揮官として無能だった理由の一つに「痛いのがイヤだったのでは」というのをあげていましたね。推測でしたが。

そういう人は他人が痛がるのを見るのも嫌そうなものです。剣闘試合とか処刑とかは普通に見ていたみたいですが…、義務感から見届けようとするタイプだったのかもしれないし。



公生活のストレスの反動で、私生活では若くて無垢なかわいい子たちと遊びたい、みたいなことは、まああっても変ではないのかなぁと思います。
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痛いのは私もキライ (レーヌス)
2006-08-06 20:01:38
致そうな話きくのもイヤです。(それで新選組ファンよくやってるな)



 安彦良和の『我が名はネロ』で、キリスト教徒たちの虐殺を煽りながら、その実嘔吐していましたね。

 オクタも案外、イヤな見もののあとは眩暈でもおこしていて違和感ないです。



 私の個人的シュミでは(「あんたのシュミなんかどうでもいいんだあ!」と黒須仮名子のように言われそう)、あ~んまりガキ相手なのは他人事でもきもちわるいので、せめて結婚可能の12歳以上にしておいてほしいものです。
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