レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

モネ エルジェーベト 薔薇王訳書 おじさん&ポニテ ベラスケス

2018-06-21 15:31:55 | マンガ
にしうら染『モネのキッチン』1巻
 『踊る!アントワネット様』の次は『前略、パリは甘くて苦いです。』をすかさず連載していたにしうらさん、つくづくフランスに愛があるのだろうと感じられる。
 モネとかマネとかルノアールとか、美術に詳しくない人間でもきいたことのある名前、そういう有名人たちもぞろぞろ登場する。
 かわいい妻子と良き友に囲まれながら、絵を描き、贅沢でなくとも愛に満ちた食を楽しんでいるほのぼの世界。

 モネといえば「睡蓮」。私もスイスで見たことがある。
 99年初夏(だったと思う)、語学学校の旅行はスイスだった。チューリヒとルツェルン。行ったのは多くの見どころのうちのごくごく一部だったげど、その一つはチューリヒの美術館(Kunstmuseum)。『睡蓮』の大きな絵が展示されている部屋があった。それはたいへん暑い日だったのだが、その部屋はひんやりと涼しかった。実際に涼しく保たれていたのに違いないが、あの絵の雰囲気がそれをいや増しにしていた。


Cuevie(キュービー)『エルジェーベト』1巻 講談社
 数か月前にmixiでの紹介記事で知った。シシィを「女傑」と書いてあったので、え!?と思ったが、とりあえず買ってみた。
 ハンガリー独立を目指す娘イーダは皇后の侍女として送り込まれる。
 オビのアオリは
 「こんな皇妃みたことがない!?」「強すぎ!?」「筋トレ!?」「逆ギレ!?」「冷徹!?」
 「飽くなき美しさへの執着、鍛錬で編み出された武技、眩いばかりのカリスマ性、それら比類なさと同居する繊細な精神性・・・。
危険すぎる皇妃と侍女が辿る旅路はウィーン経由ゴモラ行き!」
 作者コメントには
「史実のうち創作に都合のいいものを錨みたいに利用させていただいて、歴史上の実在の人物にこんなことさせていいのかって叫びたいもう一人の自分の口に猿轡かませて、この物語描いてます」
 たしかに、ぶっとんだところはあるけど、全部ウソとは決して言えない。少なくとも次の巻はまだ買う気がある。

 なんで「月刊少年シリウス」連載?なんで少女マンガでやってくれないんだ!?
「半径50メートル」にあきたらない、波乱万丈大ロマンの華麗な世界を求める少女マンガ好きは健在なんだろ、と叫びたい。


 ドイツでのマンガ出版情報サイトThe Incomplete Mangaguide 「The Incomplete MangaGuide」 を久々に覗いてみた。
(左端の目次?の、Homeのすぐ下のAktuelleAusgaben(最新の出版物)をクリックすると、最新刊が表紙つきで出てくるのでドイツ語知らなくてもわかる)
 あ~知らんのばかり・・・と思っていたら、『薔薇王の葬列』が! Requiem of the Rose Kingというタイトル。英語版が先に出ているのだろうかと思ってAmazon検索すると、やはりそうだった。

「薔薇王の葬列 訳書」

 なんとなく、独訳の2巻を買ってしまったよ。コンビニ決済で払ったら翌日に届いたよ、早い!サイズがA5で原書よりも大きい。
 菅野文は『オトメン』(未読)がドラマ化されたりしてけっこう話題になったので、翻訳出版の点でも有利になったのだろうか。なんにせよ、物語の舞台である英語圏でも出ているのは嬉しいことだ。


香日ゆら『おじさんとポニーテール』  竹書房
 「おじさん」と言っているがまだ36才、目下休職中ひとりぐらし男の家に、ひょんなことから女子高校生さつきがたびたびやってくるようになる。男一人(+ネコ一匹)の家に女の子が来るのは人ぎきが悪いので縁側までしか立ち入らせないようにしながら、だんだん彼女のペースに巻き込まれ、その友達まで加わってくる。
 徹頭徹尾色気抜き。
 「まんがくらぶ」はいちおう4コマ誌だろうけど、あまり4コマらしくはない。

 今回は歴史ものでまとめるつもりだったけど、漱石ネタが有名な作者なのでまあいいやと一緒に済ませてしまおう。


 おっと、これを忘れていた、
久世番子『宮廷画家のうるさい余白(ブランカ)』1巻  白泉社
 フェリペ4世のもとで活躍した宮廷画家ベラスケスをモデルにしている。、「アブスブルゴ王家」なんてパロのような名前だけどハプスブルクのスペイン語形だし、史実の『ラス・メニーナス』等をうまく取り入れてある。
 これも「別冊花とゆめ」掲載。休刊のあとのweb版で番子さんは再登場するけど別の連載だそうで、「1巻」のあとはないのだろうか?まあ、話として一区切りはついているけど。
コメント (2)
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