歴史上の人物を探偵役にしたミステリーは多い。
最近「創元推理文庫」から出た、アンナ・マクリーン『ルイザと女相続人の謎 <名探偵オルコット 1>』。オルコットというのはもちろん、『若草物語』等の作者ルイザ・メイ・オルコット。本格デビューまえのルイザが出会う事件。この話は、新婚旅行から帰ったばかりの親友がなにか不安を抱えているらしく、それを打ち明けられないまま死んでしまう。、まずは夫が怪しまれて密告の手紙で逮捕される。しかし、兄にも動機がありそうだし、ほかの身内とも関係は良好ではなかった様子。
19世紀半ばのボストン、中流階級の婦人たちの不自由さとそれに対する抑えた反抗心が作品のそこここに反映されている。歴史ものに現代の感覚を持ち込み過ぎると抵抗を感じることもあるが、この作品の場合はたぶんオルコットの心にもかなっているだろう。
三雲岳斗『旧宮殿にて 15世紀末、ミラノ、レオナルドの愉悦』 光文社文庫の新刊。こちらは副題の通り、探偵役はレオナルド・ダ・ヴィンチ。ミラノの宰相ルドヴィコ・イル・モーロの友人として大きな顔したレオナルドが、彼や、その庇護下にある才色兼備の令嬢チェチリアの持ってくる奇異な話の謎を解いてみせる。
同じ趣向の長編『聖遺の天使』でも、この短編集でも、レオナルドの初登場でたいていは「美しい男なのである」が出てくるのにはなんだか笑ってしまう。その周囲の描写を、ところどころ言葉を入れ替えて尊厳者に使いたいものだ、と私は当然思うのだった。
最近「創元推理文庫」から出た、アンナ・マクリーン『ルイザと女相続人の謎 <名探偵オルコット 1>』。オルコットというのはもちろん、『若草物語』等の作者ルイザ・メイ・オルコット。本格デビューまえのルイザが出会う事件。この話は、新婚旅行から帰ったばかりの親友がなにか不安を抱えているらしく、それを打ち明けられないまま死んでしまう。、まずは夫が怪しまれて密告の手紙で逮捕される。しかし、兄にも動機がありそうだし、ほかの身内とも関係は良好ではなかった様子。
19世紀半ばのボストン、中流階級の婦人たちの不自由さとそれに対する抑えた反抗心が作品のそこここに反映されている。歴史ものに現代の感覚を持ち込み過ぎると抵抗を感じることもあるが、この作品の場合はたぶんオルコットの心にもかなっているだろう。
三雲岳斗『旧宮殿にて 15世紀末、ミラノ、レオナルドの愉悦』 光文社文庫の新刊。こちらは副題の通り、探偵役はレオナルド・ダ・ヴィンチ。ミラノの宰相ルドヴィコ・イル・モーロの友人として大きな顔したレオナルドが、彼や、その庇護下にある才色兼備の令嬢チェチリアの持ってくる奇異な話の謎を解いてみせる。
同じ趣向の長編『聖遺の天使』でも、この短編集でも、レオナルドの初登場でたいていは「美しい男なのである」が出てくるのにはなんだか笑ってしまう。その周囲の描写を、ところどころ言葉を入れ替えて尊厳者に使いたいものだ、と私は当然思うのだった。