レーヌスのさざめき

レーヌスとはライン河のラテン名。ドイツ文化とローマ史の好きな筆者が、マンガや歴史や読書などシュミ語りします。

スペイン中世烈女物語・・・で注目した人

2020-06-23 08:46:51 | 歴史
『スペイン中世烈女物語 歴史を動かす〝華麗″な結婚模様』 西川和子 彩流社
 彩流社からはスペイン関連の本がたくさん出ていて、西川和子さんもその常連。イサベルやフェリペの本もある。これはわりにマイナーな人たち(アルフォンソ11世の愛妾レオノーラ・デ・グスマンは『アルカサル』で一部には知られているだろうけど)。
 婦人たち以上に私が注目してしまったのは、12世紀の女王ペトロニーラの父ラミロ2世である。兄アルフォンソ1世「戦士王」が戦死してしまい、子供はなく、修道院にいたラミロが仕方なく王位につく。王としての務めを果たしたらまだ修道院に戻るという決心の上で。戦争には弱いラミロ、早く跡継ぎを持とうと決意して、アキテーヌ公の娘イネス(多産の未亡人)と結婚、早々と一女が誕生する。このペトロニーラに早々とお婿さんを迎えさせて(当然実質的な結婚は先のこと)、そしてラミロは退位して修道院へ戻る。ペトロニーラは1才で女王に。このあといささかトラブルも生じて、ラミロが調停することもあったが、成長したペトロニーラと夫は仲睦まじく、生まれた息子が王位を継いだ。
 ――自分の血筋には拘泥せず、とにかく王位を無事につないで、自分はひたすら修道院暮らしに戻りたい!というラミロの心がけと執念には共感がわく。
 なお、ペトロニーラを産んだイネスはその後また出戻って、修道院で堂々と暮らしたそうである。

「少女マンガで学ぶヨーロッパ史」
mixiで紹介されていた記事。7本のうち『夢の雫~』以外は全部読んでいる。
作品舞台の年号だけでなく、マンガがいつの作品かも併記してくれたらなおよかった。こういう世界が少女マンガにもっと欲しい!

『ベルばら』でMC1巻の表紙を出すのやめてくれ!!
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意外なところで『レキアイ!』推し発見

2020-03-30 14:21:22 | 歴史
ついさっき見つけたので急ぎ貼っておく!
「東大生が全力でオススメ「勉強になる漫画」3選」


 私の場合、身近なところにダメな東大出と立派な東大出がいるので、東大が絶対だという感覚はない。
 東大でないけど私は小学生時代に日本史学習まんがを愛読したことは確かに役立った。『ベルばら』にハマってフランス革命の本を読みまくるというありがちコースもたどった。

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9日夜に「御館の乱」について放映する

2020-03-07 11:08:11 | 歴史
これで「歴史」カテゴリーに入れるのもナンだけど
「にっぽん!歴史鑑定」
来週月曜の話題は「御館の乱」である。『炎の蜃気楼』で一部で有名になったが、上杉謙信の急死のあとの二人の養子(片方は甥)の跡目争いである。
 ここでお知らせしたところでたいして影響もあるまいが、念のため。
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『ちゃんと知りたい 歴史に輝く女性たち』等

2020-01-04 06:33:26 | 歴史

 去年書いておいたぶんを投下する。

書店の児童書の歴史本コーナーで手にして気になっていた本の一つ、
『ちゃんと知りたい 歴史に輝く女性たち』清水書院 2019/11/22
「歴史に輝く女性たち」

 図書館の市外取り寄せで読んだ。
 新しく知って興味を感じたのは、
・インドの女スルタン、ラズィーヤ
・14世紀の文学者クリスティーヌ・ド・ピザン
  オルレアンを解放したジャンヌ・ダルクを讃える詩を書いた翌年に没している、その翌年のジャンヌの不幸を知らずにすんだのは幸いだった。でも、生きていればどう受けとめたのかとも想像のしがいがある。
 その次のページにジャンヌが載っているけど、髪型がシニョンなのは違和感あり。
 「イラストの衣装などは華やかさを優先したため、多少のフィクションが含まれていることをお許し下さい」と前書きで明記してある点は微笑ましい。
 孝謙・称徳天皇は、道鏡の件バッサリカット。サッフォーも「レズビアニズム」の語源という点は載っていない。
 クレオパトラは、才女とは断言しているけど、「容姿は美しかったとも十人並だったともいわれる」の記述がシンプルで公平。
 ヒュパティアが載っているのはけっこうだけど、「関連作品」として『テルマエ・ロマエ』?ヤマザキマリさんがヒュパティアを主人公とする映画『アレクサンドリア』を推していたことは知っているけど。
 マリア・テレジアもマリア・ルイーサ(スペイン)も「マリア」と書くのはいただけない。
 「マリー・キュリー」と「キュリー夫人」を併記してある点はよろしい。
 多分に女の子向けを意識してあるのだろう、伝統的少女マンガの画風。(私の思う「正統派少女マンガの絵」は昨今ではさほど多数派ではないだろうけど)

学研の「コミック版世界の伝記」の新刊、『マリア・テレジア』 まんが迎夏生、監修石井美樹子 迎さんはこのレーベルで、少女マンガ絵担当の一人。パトラの時、オクタを「かしこそうな少年」と書いてくれた(マンガ担当者の裁量ではないだろうけど)ので〇をつけている。
 このテの伝記マンガでアントワネットはよくあるけど、その母上は初めてではないかい。普通に考えて「偉人度」は娘より高いのだから遅すぎたくらいだ。 

 このまえ児童書の学習マンガの棚で見た本。

検索結果 (gakken.jp)>「感動の偉人伝」

 まえに出た5巻本の再編集だろうか?どういうメンバーが載っているのか、せめてHPにくらい載せてもらいたいものだ。

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三国志と女のファン

2019-11-23 09:10:16 | 歴史
 図書館の新着図書で、講談社現代新書『愛と欲望の三国志』by箱崎みどり という本を読んだ。簡単に言えば、三国志の受容の歴史である。私自身は特別に三国志ファンというわけではなくメジャーどころしか知らないが、著者の思い入れには大いに共感できるものがある。
 ところで、著者の箱崎さんは86年生まれで、小学生の時に再放送されていた『人形劇三国志』がきっかけだったという。高校時代に「女子高生が『三国志演義』を好きになるのはどうすればよいか」というテーマでレポートを書き、紙人形劇まで作ったという。
 86年生まれの人が高校生のころならば、2000年代の初頭。そのころそんなに「三国志」は女の子にとって遠いものだったのだろうか?
 白井恵理子の「さんごくしよんこままんが」と副題のついた『STOP!劉備君』が小説JUNEに掲載されていたのはもっと早かったのでは?と気になり検索すると、白井さんも82~84年の人形劇でハマり、同人誌を出し、そこから87年に小説Juneでの掲載が始まっている。
 光栄の「爆笑シリーズ」で「三国志」は90年代に出ている(私はミラージュのせいで『信長の野望』は読んだ、ゲームは知らんけど)。
「三国志 女性ファン」で検索すると、次の論文が出てきた。

『三国志』 −古代から現代へ ・・・イメージの変遷
トで生じた、女性の『三国志』に対する無関心な点、また、『三国志』の魅力などについて イ. ンタビューした結果をもとに、『三国志』ファン(管理者およびユーザー)の思考や イメージ. を現代的視点から考察していきたい。 それでは、質問とそれに対する応答を 要約して ...

 これは2000年のものである。本文中には、「三国志」ユーザーには女性も少なくないことは指摘されている。
 そしてもっと新しいところでは

「歴女」の新しい広がり…『三国志』に夢中になる女性たち /2013年9月

という類の記事が珍しくなくなる。

 私がこのブログで『中世英国ブンガク』を話題にした際、「三国志オタクに女性がほとんどいないのもうなずける」という部分におおいに反対したが、あの本は99年に出ている。では、当時はやはり少数派であったのか、少なくとも、世間の目につくほどではなかったということなのか。
 私はコミケにも行っていたし、とはいえ2004年夏以来ご無沙汰であるが、90年代でもすでに、歴史系で三国志サークルは充分にメジャーであったように記憶している。私の知人が『五丈原会』とかいうサークルで長池とも子さんと知り合って文通していたというけどそれは90年代のことだろう。長池さんがプリンセスGOLDで三国志ものを描くようになるのは2000年代になってからだけど。
 コバルトで朝香祥さんが周瑜もの――「かぜ江(こう)」と作者は呼んだ――を出し始めたのは97年から。私は少なくとも白井版を知っていたので、孔明がメジャーで呉が中心は珍しい?と思ったことを覚えている。
 つまり、女が三国志好きなんて、ちっとも珍しいことだとは感じていなかったのである。新選組の例を思えばなんの違和感も私は抱いていなかった。
 私のこのような尺度は一般的なものではなかったということだろうか。
 歴史ものときいて、あとずさりするか、身を乗り出すかの違いだろうか。
(そりゃ私だって東洋史となると管轄外だけど、機会があればやぶさかではない)
 
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『超ビジュアル!世界の歴史~』

2019-10-04 07:10:12 | 歴史
「超ビジュアル!世界の歴史」
『超ビジュアル!』が頭につく『世界の歴史人物事典』と『世界の歴史大事典』を借りてみた。西東社。内容上のダブりも多く、イラストレーターもほぼ同じだろう。
 『人物事典』で、
「歴史を動かしたイケメン!」は、1.ケマル・アタチュルク 2.ラファエロ 3.ブラームス
 美男であることには反対しないが、「歴史を動かした」なんて言っていいのはケマルくらいだろ。音楽家ならばフランツ・リストのほうが上だろ。
 「絵画に描かれた美女」は
1.シシィ 2.マリア・テレジア(少女期)3.ベアトリーチェ・チェンチ
まあよかろう。私はマダム・レカミエを推したい。
 これらの本、隅々まで読んだのではないが、エカテリーナをポーランド出身と書いてあることには異議を申し立てる。確かに現代の地図ならポーランドになる地域であっても、当時はプロイセン領だったのだからドイツ人扱いでよかろうに。ポーランド分割のニュアンスも違ってきてしまう。

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亀さん執筆 世界の歴史人物事典

2019-08-27 09:09:40 | 歴史
 亀さんのサイト『歴史系倉庫』で、ツイッターまではあまり読んでいないので、『偉人たちの科学講義』の発売の件はしばらく知らなかった。
 Amazonで私もレビューを書いたので貼っておく。
「まんが偉人たちの科学講義」

 『やばい世界史』は、mixiで何度も紹介されたので知ってはいたが、これにも亀さんがマンガ描いていることは上記のツイッターで知った。そして『まんが世界の歴史人物事典』も。
「やばい世界史」
 『やばい~』は、「監修」の本村さんのお名前が最も大きく載っているが、実質的な執筆者(文章)は「滝乃みわこ」さんなのだろう。イラストが「和田ラヂヲ」さん、そしてマンガが亀さん。
「まんが世界の歴史人物事典」
 こちらは、絵描きとして10人も名前が挙がっているが、誰がどこを描いたのか不明瞭なのがよくない。『踊る!アントワネット様』のにしうら染さんがいるのはもうかった気分。モネ、ルイ16世&アントワネットがにしうらさんで、ルターが亀さんなのは嬉しい。
 上記2冊、小学生向けと大人向けの違いが興味深くて笑いを誘う。前者は、「すごい」と「やばい」と両方書いてあるけど、後者は「やばい」がほぼないし。
 ところで、『世界の歴史人物事典』は、紛らわしい題でしかも同じ西東社の本が同じ棚にあり、まえにここで言及した『世界の歴史 人物事典』成美堂出版と似た感じ。ここでのアウグストゥスの絵は、かっこいいと言えなくはないけど、なんか怖い。アグリッパも出しているのは〇。 この本では、どの絵描きがどれを描いたのかが明記してあるのに、なぜ、同じ出版社の似た傾向の本で違いがあるんだ!?
 紛らわしい題の本一覧をこの際貼っておく。
「世界の歴史人物事典」

 複数の絵描きがいるのならばどこを誰が担当しているのか明確にしてほしいという点で、『大学入試 マンガで世界史が面白いほどわかる本』は、絵のひとコマといっしょに名前を並べてあったのでこれはましなほうだと言える。

 ステイシー・シフの『クレオパトラ』はやっと読んだけど、詳しく感想を書く気がわかない。アウちゃんの外見に関して、「ぱっとしない」だの「魅力がない」だの、スエトニウスをもののみごとに無視してくれた不快さだけは言っておこう。
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レキアイ!2巻  カイニスの金の鳥

2019-02-18 16:25:04 | 歴史
「レキアイ!②」

 けっこう無理やりな歴史カテゴリ。

 「歴史系倉庫」の亀さんのウェブ連載『レキアイ!歴史と愛』の書籍化の2巻目が出たので、私のアマゾンレビューへのリンクを貼っておく。
 ・・・アウちゃん&リウィアが実現しなかったことが心残りで仕方ない。
 ヴィクトリア女王のお婿さんのアルバートが、不良息子に「お父さん死ぬほど恥ずかしいんだ!」――本人たちには気の毒ながらなんだかかわいい。
 このマンガで初めて知ったのは天文学者のハッブル、知ってはいたけど妻のことは知らなかったのはラボアジェやダーウィン。 勉強家の妻の話が目立っている感じ。孔明のとことか。エカテリーナなんて夫がバカな例だけど。


 mixiに引用されたコミックナタリーの記事で知った『カイニスの金の鳥』、19世紀英国で、小説家を目指す少女の物語が始まったので期待している。
「マトグロッソ」
「カイニス」とは、ギリシア神話に由来する名前。美しい娘カイニスはポセイドンに手籠めにされて、望みを叶えてやると言われて、もうこんな屈辱を味わいたくないから男になりたいというわけで男としてカイネウスとなった。ほぼ不死身になったカイネウスは神々への冒涜的行為に及ぶのでゼウスに睨まれた。ある結婚式でケンタウロス族が女たちを襲おうとしたので奮戦したカイネウス、彼には刃が通じないのでケンタウロスたちは、大木を積み上げて攻撃した。その木の山からは金の鳥が飛び立ったという。
 ・・・なんだかこのエピを知るとタイトルですごくネタバレの気もするけど、「名誉男性」になるのではなく、女としての悔しさを忘れずに奮闘していくことを象徴するのだろう。
 (ところで上記の神話エピ、あの世界では男だって充分に被害者になりうるんだけどね、というツッコミもいれたくなるんだよね~)


 『英雄!シーザーさん』はコミックスは1巻で止まったままだけどこちらで続いているので貼っておこう。
・・・ところが、貼ってみても使えない。「マンガクロス 秋田書店」で検索してください。

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『マンガで世界史が面白いほどわかる本』?

2018-12-01 07:26:53 | 歴史
 このまえ『世界の歴史 人物事典」を話題にした。
 その関連で知ったのは『大学入試 マンガで世界史が面白いほどわかる本』。
「大学入試 マンガで世界史が面白いほどわかる本」
 表紙に注目!中心部の青年、これはローマ人の恰好ではないか?と思って詳しい紹介を見たら、まさに、オクタウィアヌスが取り上げられている!購入。
 こちらは学習書の棚に置いてあった。
 国別に書かれていて、だいたいそれぞれ重要人物3人ずつ2ページのマンガが添えられている。
 オクタは、BC27にいったん政権を返上して「アウグストゥス」の尊称を得るあたり。したたかさが適切に描かれている、アグリッパもしっかり登場してるのも◎。 彼らがロン毛(束ねてあったり後ろにまわしてあるからそう目立たないけど)なのは疑問だけど。

 マンガやイラストの担当者は複数なのに、だれがどこを描いているのか不明瞭な点は困りもの。

 誰をマンガにするか、このへんは非常に珍しい。
 カエサルでなく、クレオパトラでなく、オクタ! このまえ話題にした本の「主人公としてとりあげられる有名な人物を中心に」というのとは逆に、スター性よりも、地味に重要なところをという方針なのだろうか。カール大帝でなくオットー1世。リチャード獅子心王でなくジョン。
 フランスからジャンヌとルイ14世とナポレオンだけど、ジャンヌは知名度・客寄せとの妥協ではなかろうか。
 「世界史クロストーク」は登場人物たちの架空対談、二次創作のノリ。(亀さんや駒さんのほうが面白いけどね)

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世界の歴史 人物事典

2018-10-20 12:40:27 | 歴史
 先日、ネロに関して書いた時に頂いたコメントを許可を得て引用。


「マンガでわかる世界の英雄伝説」 (サラ)
2018-10-01 20:34:59
知名度と言えば。
先日、書店で下記の本を見ました。
「マンガでわかる世界の英雄伝説」
「マンガでわかる世界の英雄伝説」
「マンガでわかる」とありますが、四コマまんがが多少あるだけど、まんが風イラストに人物解説を添えた本です。
ローマ帝国からは、
アレキサンダー大王/カエサル/ネロ/
ハンニバル/ブーディカ/
スパルタカス/ゲオルギウス
このメンバーの中で、「ネロは『英雄』じゃないだろー」と、つっこみたくなりましたが、そこは「知名度」で選ばれたんでしょうね。
「英雄」でネロを出すなら、アウちゃんを出せと言いたいとこですが、カエサルとだぶっちゃうんだろうなあ。。。そして、カエサルは「英雄」としてはずせない、と。

 引用終わり。私もこの本を店頭で手にしてみた。前書きでは、「物語でよく取り上げられる人」も「英雄」の中に加えているという方針だという。それならばアウちゃんよりもネロが出てくるのはもっとも・・・なんだけどね。釈然としないな!
 上記のは世界史の棚で見た。
 よその店の児童書の棚で見つけたのが以下の本↓
『世界の歴史 人物事典』 成美堂出版 950円+税
「世界の歴史 人物事典」
2018年7月だからまだ新しい本。
 英雄だの偉人だのと称していないので、ついでに言えば「重要人物」とも限定していない。「活躍した」、「ドラマが小説、マンガの主人公として取り上げられるような有名な人物を中心に」なので、善悪の基準で問題ありでも、歴史を動かしたとは言えなくても出てくる。
 絵が総じてきれいである、それが時にはツッコミどころでもある。
 カエサルがな~、「心やさしき独裁者」という表現もどうかと思うが、――表紙絵をアップでご覧頂きたい、シシィの右隣、ずいぶんキラキラ繊細系美形に描かれていて、これはむしろオクタのほうが合ってるだろ~? 「ハゲの女たらし」がきちんとふまえられていることはめったにないのだ。せめて頭髪は薄くして月桂冠でごまかして、渋めの壮年に描いておいたらどうなんだ。「オクタウィアヌス」の絵も悪くないけど。「性格:冷静で我慢強い」その他説明文は妥当。でも私にこの本を購入させたのは「親友との最強タッグ  オクタウィアヌスにはアグリッパという親友がいた。アクティウムの海戦で敵を破るなど、病弱なオクタウィアヌスを支えつづけ、ローマ初の市民浴場をつくるなど、ローマの発展にも貢献した」と添えた部分である。
 クレオパトラに関して、美女と書いてないことは中々重要な点。もちろん絵としてはきれいだけど。表紙ではマリー・アントワネットの右。そのまた右はジャンヌ・ダルク。
 ルネサンスの芸術家たちにアルテミジア・ジェンティレスキも挙がっているのは〇。
ヒトラーがやけに若いのはまだしも、ヒゲがないのはダメ!せっかくのトレードマークは活かせよ。
ビスマルク、ナポレオン3世も若過ぎだよ。サン=テグジュペリ可愛すぎ。
概して美化してあるのに、実際に美女だったアレクサンドラ(ニコライ2世の妃)の絵がぱっとしないのはいかがなものか!
児童書の扱いなので、中学生の甥にでもあげるのが妥当なんだが、むしろ、歴史通の人と一緒にツッコミいれながら楽しみたい類の本である。

 絵に力を入れているのに、誰がどれを描いているのか明確にしていないのはおかしい。担当メンバーの中に「憂」という名前があるけどもしかして氷栗優さん?と思う絵がある。少なくともああいうタイプの絵。氷栗さんのブログを見たところこれへの言及はなし。
「氷栗優 世界の歴史人物事典」で検索して、疑問の答えは出ないけど、日本史マンガに関しての氷栗さんのインタビューが見つかったので貼っておく。
「学研プラス 広報ブログ」
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