駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

受け身で自己主張を避けてしまう

2015年03月12日 | 医療

             

 ぶり返した冷気の中を出勤してきた。前を行く女子高生の大根足も寒そうだったが、さすがの若さ、どんどん離されてしまった。

 この期に及んでという気もするのだが、列車は急に曲がれないわけで、民族の特性も簡単には変わらないという話を緩和ケアの医師から聞いた。どうも戦後も日本人の受け身で横並びを選び、自己主張しない性質はさほど変わっていないようだ。

 私は明治維新や敗戦後に日本人の思考(志向、、嗜好)にどのような変化があったかに詳しいわけではなく、通り一遍の知識しかないのだが、そう感じた。

 癌が転移し抗がん剤も効かない、限られた余命をどうするかに対して、はっきりした自分の主張を表明されない患者さんも多く、家族の負担になりたくないといった周りのことを優先される患者さんが多いと言われた。最期は自宅でと思って居る様子でも、家族が大変そうだから病院でと自分を二の次にする方も多いという。緩和ケア医としては、本音を引き出せていないと感じられる様子でまだまだ自分の力量が足りないとも言われた。

 どうもあまり表面には現れないけれども、これが変わらない日本の底流というか基調なのかなと思った。

コメント
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