今年の将棋NHK杯は森内九段が優勝した。行方(なめかた)八段は準優勝に終わった。行方はどうした縁かは知らないが、大山十五世名人しんがりの弟子でユニークなキャラクターで知られていた。将棋は局所で鋭く全体としては粘り強い印象で、そこそこ優秀な成績を残すがタイトル戦には出場できなかった。このほど名人戦の挑戦者に名乗り出て、遅咲きの花が咲くか注目されている。
こんな事を言われると行方は不本意だろうかあるいは素直に同意してくれるかよく分からないが、三十半ばを過ぎて沈まずむしろ強くなってきたのには結婚が効いていると見ている。常識的な大人の発言が出来るようになったのが、将棋に常識的効果を与えバランスが良くなり一枚強くなったのではと思う。
行方ファンには申し訳ないが羽生には勝てないだろう。勿論、二割程度のチャンスはある。NHK杯決勝は肩に力が入って、中盤入り口で踏み込みすぎた。これをいい経験に名人戦を意識せずにのびのび指して欲しい。将棋ファンは接戦が大好きなのだ。
NHK杯碁の方は20才対17才という初出場同士の異例の対決で20才の伊田が優勝している。伊田は碁の才能が洋服を着ているような印象で、これからが楽しみだ。更に若い一力は老成の優等生の印象だが、これからは傍若無人に伸びていって欲しい。