駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

睡眠薬代わりにもなる

2015年03月05日 | 医療

                

 今朝は穏やかな朝で、賑やかな小鳥の声を聞きながら、気持ちよく出勤してきた。

 新しい作用機序の画期的な睡眠薬が発売されたというので、その講演会を聞きに行ってきた。今までの睡眠薬は抑制性の神経伝達物質GABAを介して作用する物ばかりで鎮静作用抗不安作用筋弛緩作用などを併せ持ち、依存性や易転倒性などの問題があった。新しい睡眠薬は覚醒作用を持つアレキシン受容体拮抗薬で、より特異的に睡眠を導入し、依存性もなさそうという優れものらしい。

 らしいというのは実は講義を聞き出して15分ばかりで睡魔に襲われ、頬を抓ったり水を飲んだりして眠らないように努力したのだが、はっと気が付いたら最後のスライドという体たらくで、大部分を聞き逃してしまった。

 新薬よりも講義のDVDを売り出した方がよく眠れるのではないかと悪い冗談を言いたくなるほどの心地よい話しぶりであった。

 従来のベンゾジアゼピン系の睡眠薬は快適に眠れて良く効くのだが、依存性があり止められなくなるため、七八年前から極力使わないようにという指導がされてきた。しかし、前線医への浸透は不十分で使用は徐々に減りつつあるがまだ頻用されており、専門医は回されてきた依存中毒の患者さんの対応に苦戦しているとこぼされた。

 ちなみに新薬作りに貢献したアレキシンの発見者は日本人とのこと、嬉しい新薬だ。正直、新薬なので、果たして本当に依存がないか、未知の副作用がないかはまだ分からない。例によって私は少なくとも半年、出来れば一年ほど様子を見てから使う予定だ。

コメント
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