駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

勉強する

2010年09月19日 | 身辺記
 実は日曜日の午前中は特別な行事がなければ二時間ほど勉強してきた。我々の業界では日頃患者のわがままを聞いて疲れるので、日曜日はストレス発散にゴルフ、テニス、釣りなどに出かけるのが常識?になっており、勉強しているなどと告白すると変人扱いされるので黙っている。もっともいい年をして勉強というのが気恥ずかしいだけで、本当はそこそこの数の仲間が日曜日に勉強している気もする。
 午前中は頭が冴える、と言っても悲しいかな十年前の半分ほど、ので新知見をまとめるのに都合がよいのだ。たぶん私が本質的に朝型人間だからだろう。
 勤務医時代には付き合いで年に数回ゴルフに出かけたのだが、一日潰し、かなりの金額を支払うゲームに馴染めずやめてしまった。悪い性格でスコアにこだわり、いつもブービー賞ばかりに嫌気がさしたせいもある。
 医学は科学なので類推や応用は利くが、自分で考え出すことはできない。どうしても学ばなければならない。勿論、臨床経験からずれた内容は少ないのだが、自信ある臨床経験にも科学的なデータと専門家の論証の裏打ちが必要になる。尤も、これが臨床の玄妙なところで患者には個性があるので、一万人の治験から得られたデータが特定の個人に100%適応できるかと言えばそうではない。そこに主治医のある範囲の裁量が要求される。それが上手くできるように最近では各疾患の治療ガイドラインが出ている。専門医達が知恵を絞って最新のデータから最良の方針をまとめたものだ。ガイドラインと言ってもそこそこ厚みのある一冊の本で、内容は豊富で使いこなすのは容易ではない。
 臨床医学は難しくはないが、範囲が広いので量がべらぼうに多くて、通暁するのは至難の業である。それでも五十歩と百歩は微妙だが明らかに違うので、覚えるよりも忘れるのが得意になった脳味噌に詰め込んでいる。これは謂わば薫陶で身に付いた習慣で、つくづく恩師先輩はありがたいものだと思う。
コメント (2)
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