駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

初代若乃花

2010年09月06日 | スポーツ
 去る九月一日、初代横綱若乃花が亡くなった。また一つ戦後昭和の歴史に幕が下りた感慨がある。初代と書いたが若乃花と言えば、私には栃若の若乃花のことだ。既に歴史の人の印象を持っていたので亡くなられたの報に驚いた。昔のお相撲さんは短命な方が多かったので、82歳は天寿を全うされたことになるのだろう。
 土俵の鬼などと言われ厳しい面が強調されたが、先ず第一に己に厳しかったに違いない。鬼と言われても、鬼にならなければくぐり抜けない道を通ってきたからだと思う。相撲の強さには色々あるが、若乃花は鋼のように強靱で脆さがなく本当に強かった。栃錦のファンだった私が言うのだから間違いない。なぜ栃錦だったか上手く説明できないが子供心に外連のなさを感じたからのように思い出す。今から思えば若乃花も外連のない人だったのだ。
 栃錦との大一番で一瞬立ち後れて、負けたことがある。栃錦ファンだった私はそれで良いとその時は思ったのだが、あとから振り返ればそのまま黙って勝負ありとする二人に堪らない人間の大きさを感じる。
 思いがけぬ事だが何かの折りに歌を乞われれば船頭小唄を唱われ、それが絶品だったと読んだ。厳しく鬼といわれた人の心根を垣間見たような思いがした。
 
コメント
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